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ショーンK事案から学歴社会を考察する

大谷選手の通訳の件でにわかに話題になった、かつて学歴詐称でお茶の間を賑わせたショーンK。

ショーンKは九州の私立進学校を卒業後はどこの大学の正規学生として卒業しておらず、完全なる高卒です。英語に長けているだけではなくて、ハーフ系のマスク(実は整形)、ビジネス知識(人によっては当たり障りのない発言しかしていないとの説も)、お茶の間を魅了してきました。
そして極めつけは学歴。テンプル大学でBA、ハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得。パリ第1大学パンテオン・ソルボンヌに留学という設定をしており、日本の一般大衆からはよくわからんけど海外の大学だし、ハーバードやソルボンヌぐらいは日本の一応大卒であれば聞いたことぐらいはある名門大学だし、海外大学は詐称疑惑も立てづらいし、絶妙のラインを突いてきました。

学歴詐称の報道があるまで、ショーンKは実際にメディアに多数出演し、理知的なコメントで、かつ大衆にわかりやすく、あまり風変わりな発言や行動もしないことから、テレビ的にも使いやすいキャラクターで人気があったわけで、それは紛れもない事実です。
しかし、川上さんという九州のちょっと偏差値の高い、垢抜けない高卒で、同じぐらいの英語力とコメント能力があったらテレビは使いますか? 多分、いや絶対使いませんよね。

これが「学歴の力」です。

私は社会人人生で何度も辛酸を舐めてきました。ある提案をした時に却下されて、2年後に別の東大卒や一橋卒がほぼ同じ提案をしたら通って、しかもそれが好評を博して、年下で昇進したなどというケースすらありました。もっともらしく思わせることも業務上の能力であるならば仕方なく、学歴獲得に向かい風だった境遇を恨むしかありません。
高卒でどんなに優秀でも、大卒の正社員募集には応募できないし、大卒高卒混在の会社でも大企業であればあるほど給与体系やキャリアパスも変えられてしまいます。
プロ野球選手や芸能人ならばたしかに高卒でもいいのですが、ホワイトカラーや勤め人をしていくにあたって、高卒の方が有利などということはまずありません。よほどアルバイト並の単純作業しかなくて経験年数の方が重要な仕事ぐらいなものです。

ショーンKって学歴詐称なんかしてバカだよね、などと漫然と捉えるのではなく、彼を持ち上げていた正体とは何かを考え、大衆のみならず、大企業やメディアといった力ある存在も学歴を求めているわけです。学歴主義、学校歴主義を憂いているのであれば、この巨悪に踏み込まなければ意味がないのです。
余談ですが、男性が低い声でゆっくり喋ることの信頼効果は思いのほか大きいらしく、真逆の私はそんなところでも損をしているのだろうなと推測します。

※当初「公立進学校」と記載しておりましたが、指摘があり「私立進学校」に訂正いたしました。ご連絡いただいた方に感謝を申し上げます。

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