自選短歌まとめ(4〜7月)
くつくつとりんご煮詰める母の手の魔法見つめる雨の土曜日
パックから肉を一枚ずつ剥がす 花占いのような手つきで
混ざりあう音の波間にたゆたって誰かと生きていくことを知る
送り出す夢ばかり見る 裸足でも駆け出すような勇気が欲しい
そしてまた咀嚼と嚥下の繰り返し 眠らぬ首都高速とわたし
観覧車 初夏の陽気を携えて近づいてくるゴンドラの青
サンダルを下ろせばほんの違和感と爪のさきから夏の産声
今日はよく眠れるだろうベランダで揺れる大きなくまの主人は
飲み込んだ言葉をひとり吐き出して部屋に咲き乱れる彼岸花
隣人と書けばやさしく隣人はひとりの吾に寄り添つてゐる
そよ風の揺らす産毛に目を細め嬰児はかたちなき愛を知る
息の根を止めてください ポケットであの日蝶々を潰したように
線香の香りの煙草を吸う人に会ったらきっと惚れてしまうな
梅雨前の夏日みたいだ 永遠の虚像を撫でてきみと微笑む
制服のみな赤シート持っており定期試験の時期と知りたり
灰色のクレヨン捨てた 空のいろ塗ったらへんって笑われたから
えるしっているか えきではりふじんにたにんにたっくるされたりもする
・・・
少しずつスランプを抜け出しつつあります。うたの日や歌会も気になりつつ、まだ勇気が出ないのでこうしてひとりで詠み溜めています。
そろそろTANKASONICも公開かな。たのしみ。
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