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山桜桃 えみ
2018年2月12日 16:52
「コートは重くて好きじゃない。肩が凝るから」そう言った彼女が重荷に感じていたのは、コートではない、もっと別の何かのように僕には思えた。僕達が通っていた高校は、田舎ではめずらしい私立の中高一貫校で、所謂「自称進学校」というやつだった。毎日スクールバスで通学、同級生は6年間一緒、高校受験はなし。そんな僕達のことを、よく先生は「ビニルハウス育ち」と揶揄した。僕達はそんな温室で守られながら