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Bリーグクラブの決算書を読み解く② ~秋田ノーザンハピネッツ編

2021年、7本目のnoteです。

本日は表題の通り、
B1クラブである秋田ノーザンハピネッツの決算発表資料を読み解きながら、かつて野球チームの球団運営に関わった私なりの考察を交えた記事をお送りいたします。

(とは言いつつも、財務の知識はほとんどない状態ですし、詳細が分からない部分については想像を膨らませておりますのでその点ご容赦くださいませ)

Bリーグ各クラブの2019-2020シーズン決算資料については、リーグ及び各クラブがホームページで発表しておりますのでそちらを参考にしております!

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【総括】
1、10シーズン連続の黒字達成
2、周年記念グッズ購入による収益
3、ファンの熱量に支えられた健全経営

こちらが参考にしたクラブおよびリーグ発表の決算資料となります。

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1、10シーズン連続の黒字達成

クラブ発表によると、やはりダメージとなったのはコロナ禍によるホームゲームの中止です。
ホームゲームの3分の1にあたる10試合が無くなったことで、試合関連収入が約1億円ほど消えたという報告でした。

つまり、ホームゲーム1試合あたり1000万円の売上が見込めるという計算です。

チケット平均単価を3000円とし、グッズや飲食購入を含めた平均消費額を4000円と考え、来場者数を2000人とすると約800万円。
これに放映権収入などの分配金が加わり、1試合あたり計1000万円の売上という私なりの概算となりました。

これだけの売上が消えながらも黒字を達成できた要因としては、

(ⅰ)スポンサー企業が返金を求めなかったこと
(ⅱ)ブースターがシーズンシートの返金を求めなかったこと
(ⅲ)創設10周年を記念したグッズなどによる収益(後述)


をクラブは挙げています。

こうした地域の支援により、ダメージを最小限に食い止めることができたと推察できます。

とは言え、営業利益(営業収入-営業費用)では約3700万円の赤字です。

しかし、営業外収益が4200万円ほどあり、最終的な判断材料である当期純利益は130万円の黒字着地となりました。

(この営業外収益に関して、会計の知識に乏しいため不明でした…。勘定科目の代表としては、受取利息、受取配当金、有価証券売却益、雑収入なんかがありますが、詳しい方は教えてくださいませ…)

後述の3でも再度書きますが、大資本のスポンサーが入っていない地域クラブにも関わらず、10期連続の黒字決算は、クラブがいかに地域に支えられているかが分かります。

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2、周年記念グッズ購入による収益

クラブによれば、10周年特別グッズの「フロアコートパネル」が大きな支援になったとのことでした。

実際に使っていたコートという限定感・周年記念・選手のサイン入り・コロナ禍による支援マインドなどが重なり、熱量の高いブースターにとっては非常に魅力的な商品だったのではないかと思います。

この商品に限った売上高は不明ですが、1点で1万円を超えるグッズは物販収入を押し上げたのではないでしょうか。

実際にシーズンを通した物販収入は約6300万円であり、これはリーグ平均の3700万円を大きく上回ります。

これは千葉、川崎、宇都宮、琉球といった超人気クラブに次ぐ第5位の金額です。
(4位と5位に大きな差がありますが…この4クラブは物販だけで1億円超え…)

私は現地観戦の経験はありませんが、放送などを見ていてもアリーナ一面がクラブカラーのピンクに染まっており、タオルやTシャツといった応援グッズを購入して観戦するコアファンが多いことが分かります。

個人的には、秋田県民歌の大合唱を生で聞いてみたい…
新しい観戦様式によって今は実施できていないことが本当に残念です…

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3、ファンの熱量に支えられた健全経営

1・2でも述べてきた通り、当クラブは地域やブースターの熱量が非常に高く、その結果、長きにわたり健全経営を続けられていることが分かります。

大企業が親会社となりクラブを支えるといった形ではなく、たくさんのパートナー企業に支えられる地域密着クラブです(前回書いたレバンガ北海道もそうでした)。

強化費やアリーナ演出に多額のお金をかけることは簡単ではないですが、身の丈に合った投資を行い、地域に愛され、ブースターの熱量が高く、秋田県になくてはならない永続的なクラブとなっているという点で、地方都市で活動するスポーツクラブのモデルケースとなるのではないでしょうか。

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まとめ

映像や記事ベースでしか当クラブのことはわかりませんが、それらを見ていても非常に地域に溶け込んだクラブであると感じております。

能代工業といった強豪伝統校が活躍していたことなどから「秋田県=バスケ」といったアイデンティティを県民の方は持っており、秋田ノーザンハピネッツは、県民の方々の誇り・シンボルになっているのではないかと勝手に思っております。

決算発表を見ても、秋田県の人口規模を考慮すると非常に大きな入場料収入や物販収入を実現させています。

一度アリーナにも行ってみたいな。そのために秋田県民歌を覚えなきゃ。

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