(49)娘が大好きな”ダイー”の正体。

ご近所運命共同体

ハワイで子育てを通して知り合った仲間達を指しています。いわゆるママ友ってやつ?をちょっと大げさにそんな名前で呼んだだけじゃん?なんて思ってる方いらっしゃるでしょう?いえ、いえ、本当に運命共同体です。多くの共同体メンバーは


”夫が軍人=夫、ほぼ家にいない=ワンオペ育児”

この構図がピッタリハマるメンバーが多数でした。中には軍人ではない旦那様をもつメンバーもいるけれど、はるばるトツギーノしてきた私たちは、家族も周りにおらず、基本的に自分が頼り。なので、何か困った時にはメンバー間の助け合いで子育てを乗り越えてきた。ご近所運命共同体と名付けてくれたのは、”元スクールメイツ所属 93メンバー”。彼女との出会いもある意味ビビビっときた運命的な出会い。会った初日から仲良くなりたかった(笑)とにかく話が合う。笑いのツボがほぼ同じ。私が観てたテレビの昔話とかをしても、93メンバーは私が撒いた笑いの種を確実に拾い、更に面白くして笑いの花を咲かせてくれる。私が”おでん”と言えば93ちゃんは絶対にすぐに”餅きんちゃく”と答えてくれる。

笑いに関しての”あ、うんの呼吸”

これが、私は93ちゃんに出会った時に見えた気がする。93ちゃんだけではいけれど、共同体は何年もかけてメンバーが増え、今ではみんなそれぞれ離れた土地に暮らしていてるけれど、友達や家族なんて言葉は超えちゃった私たち。この深い関係はおばあちゃんになっても変わらないと思う。本当にみんなとの出会いは人生の宝物。

こんなメンバーとは絆を深めていって、ハワイライフも順調だったけれど、夫婦関係もある意味成長していた。成長というと聞こえがいいけれど、なんというか、


”新婚時代はいつまでも続かねぇ”


そう、愛や恋、好きだの嫌いだのだけじゃなくなってくるわけです。日常生活を送るわけですから、デートしてる時には見えてこなかったこともたくさん見えてくるんです。私ね、出会った頃は何しろ英語話せませんでしたから、もちろんケンカもした事なかったんですよ。まぁ言葉の問題よりもバカップルだったから相手の全てが許せたっていうのもあるよねーーーっと、今では遠い昔のことだけど。。付き合いはじめや新婚時代ってそんなもんでしょう?でもね、些細なことにイラっと来たりする日が来るんですよ。靴を揃えないとか、なんでその服買ったのよ?とか。それでもマトさんはいない日々が多かったから、帰ってきたときは嬉しいし、新鮮な気持ちも蘇るんだけど、夫婦だけじゃなくて子育て、育児をしていると、たまに帰って来てその育児のリズムを乱されることにイラーっとするんです。経験ある方多いはず(笑)


私、娘には母乳あげてたから、娘が夜泣きした時には私がいつも起きてました。これはのちに息子が生まれた時も一緒。だからマトさんに夜中起きてもらったことは一度もありません。まぁマトさんは出勤が早朝だし、私は専業主婦で時間のやりくりは何とか出来ると思ってた。ちなみに、我が家はアメリカスタイルで、子供たちは2人とも生後2か月くらいから1人で寝ていました。日本の家族の様に川の字で寝たことはほぼない。夜中に泣いたら、眠い目こすって子供部屋まで私が遠征です。遠征はとっても面倒だったし、授乳しても一向に眠ってくれない娘を抱いて途方に暮れて、なぜかスクワットをすると泣き止むことを発見し、真夜中のスクワットで足がパンパンになって。でも若かったから出来たそんな技。

でも、この欧米スタイルの寝かしつけのおかげでうちの子供たちは一人で眠る事が当たり前で、たまにベッドに潜り込んで来ることはあったけど、いつになったら一人で眠るようになるのか?という心配とかしたことない。

そんな自立した子供達でしたが、手がかかるのはマトさんの方だった。子供が小さい頃は夜泣きに付き合ったりで睡眠時間も削られて、スクワットでヘロヘロでマトさんを構ってあげる気力も体力もない私相手に、


”ヘーンシン! カマッテチャン サンジョ―”


子供かっ!とツッコみたくても、ツッコむ気力もねぇ。カマッテチャン、、まぁ愛されてると言えばそうではあるけど、育児中の母親にこれは本当にアウトです。

”仕事と私、どっちが大事なの!?”

って聞かれるのと同じレベルでアウト。どっちも大事に決まってるけど、今優先すべきはどうしたって子育てだしね。でもマトさんもいつもイライラしてたわけじゃないですよ、念のため。基本的に優しい人だから、母乳以外の育児はほぼすべてやってくれましたから。

娘をお風呂に入れるのはマトさんの仕事。でもアメリカって一緒にお風呂に入るっていう習慣がないんですよね。でもなぜかマトさんは娘と一緒に湯舟に浸かってお風呂に入れていた。でもね、やっぱりアメリカ人なんだなーって思ったのが、


”マトさん、お風呂で海パン着用”


娘に”イチモツ”をアップで見せてはいけないような気がすると言って、毎回海パン着用。見せなくないなら一緒に入らなきゃよくない?っていうか、赤ちゃんだし別に見せたってわかりゃしねぇって言ったんですけどね。あの頃はとっても気を使っていたのに、


”でも、今は素っ裸で風呂から出てくる”


娘17歳です。気を遣うのはいつ?今でしょう?的な。娘は大爆笑して母に報告したりしますけどね。娘、お気の毒。そして今じゃ私が実家の母(春美さん)とビデオ通話してる画面の後ろで、風呂上がりのマトさんがチラついたりする。義母の前だから、一応隠してますけど、アキラじゃなくてマト100%くらいの一瞬の危うさくらいの隠し方して通り過ぎてくれます。春美さん曰く

”うちのお父さんみたい”

そう言われてみれば、確かにうちの父も伯母が遊びに来ているリビングに風呂上がりにタオル一枚巻いた姿で登場して、偶然取れちゃった感じでタオルをはらりと落として伯母を驚かせるっていうモチネタがあったのを思い出した。もちろんタオルの下は”安心してください、はいてますよ”だし、タオルが取れた瞬間手で目を覆う伯母さんの目も、指の間から見えているっていう茶番的なやり取りは何度か目撃している。人種もなにもかも似つかないと思っていた父と夫ですが、蓋を開けてみたら変なところが似ているっていう(笑)


そんな話はさておいて、育児リズムが崩されてイライラな日々も、昼間は共同体メンバーたちとの楽しい公園の時間、時にはポットラックだったり、スナックもって子供達を遊ばせたり、お弁当持ってビーチに出かけたりして、美味しい物食べながら愚痴を聞いたり、聞いてもらったり。くだらない話して大笑いしたりしてスッキリすることができた。あー、また頑張ろう、マトさんに美味しいご飯作ってあげよう!とリフレッシュして家に戻ることができた。

マトさんがいなくてもへっちゃらになってきたころ、娘が少し言葉を発するようになってきた。娘が初めて発したのは

”ダイーー”

という音だった。

マトさんが留守がちな我が家、基本、私と娘と愛犬Dave(デイブ)の3人生活。娘はDaveが大好き、そしてDaveもまた家族に新入りで入ってきた赤ちゃんが心配でいつも娘の周りをうろうろしてた。そんなDaveをみて、娘は”ダイ―”と言った。24時間見ている私が言うのだから間違いない。Daveは”デイブ”が上手に言えずにダイ―になった、そう確信している。ところがですよ、うちの親ばかマトさんは私にこう言いました。

”リサ ガ ダイーッテ イッタ”

えぇ、リサはダイ―って言えるようになりました。初めての言葉はダイ―だね。


”リサ ハ ダディー ダイスキ”


えーーーーーーっと、、、、、もしかしてそれダディがダイ―になったって思ってるのかな?残念ながらダイ―はダディじゃないよ。ダイ―はDaveですよって、伝えたんです。ですが、マトさんは頑なに認めようとしません。


”ダディー ダヨ。ゼッタイ ダディー”


・・・・まぁいいよ。面倒だからそう思ってたらいいよね。ダディーが好きなのは好きだろうけど、マトさんは家にいない日々が多すぎて、娘は帰ってくるたびに

”このおじさん誰だっけ?”的な反応してたのを、私は知ってるんです。

マトさん数週間の出航を終えて、船まで迎えに行った時の事。迎えに来てって言ったくせに、なかなか船から降りてこない。ほかの人はどんどん降りてくるのに、うちの旦那だけなぜ出てこない?と思って、車から降りて娘を抱き、船の近くまで行ってみることにした。とりあえず船に向かって歩いていたら、すれ違った男性に話しかけられた。暗くてよく見えないし、誰だか知らないおじさんだけど、もしかしたらマトさんの知り合いと可かもしれないからとりあえず返事をした。そしたらその男性、私にこう言いました。


”Hey Baby!”


なんと!マトさんの友達じゃなくてマトさん本人だった(笑)そしておじさんではなくて、当時24歳、超ヤングなうちの夫だった。


全然気が付かずにその人を通過した、私も娘も。なんかこっち見てるなって思ったけど、まさか旦那だとは思わなかった。だって、マトさん髪の毛全部剃って丸坊主だった。えっ!人って髪型でこんなに変わるものなのか!?って思いつつ、顔を確認したら間違いなく夫だった。おじさんじゃなかった。妻でもわからないのに、娘がわかるわけもない。でもまぁしばらくぶりのダイー(ダディ)の帰宅だから、娘をマトさんに渡した。だって、マトさん曰く、娘はダイー(ダディ)大好きだから。


結果、娘固まって動かない。


あなたは誰?ここはどこ?状態。そしてその顔は徐々に口物がへの字にまがり、体も曲がりくねって私の方に逃げようとして泣いている。


”アレー、ヘアスタイル チガウカラ ナイチャッタ”

と言う自称ダイー(ダディ)。問題はヘアスタイルじゃないと思う。そして泣きたいのは妻のほうである。夫のスキンヘッドが全然似合ってない。髪型で人の印象って変わるもんだなと心底思った。

私に抱っこされた娘はピタリと泣き止む。車に乗り込み、家まで戻った後も、スキンヘッドマトに娘は寄り付かず。家についたとたん娘がしたこと。


”ダイー”


呼んだよ、ダイーを。だって家ではDaveが待っていました。大好きなDave(ダイー)に話しかけてました。これ以上は何も言いませんけど、マトさんも薄々感じ取ったダイーの意味(笑)


こんなたまに帰ってくる生活なもんだから、娘からは覚えてもらえず、嫁からはどこかのおっさんに間違われ、かわいそうなマトさん。でも嫁は、運命共同体の仲間たちとの絆を深め、その出会いは私の心の拠り所となった。いつだって寄り添ってくれたみんなは本当に宝物、今でもこれからも。



<今日のヒトサラ>
◇マトさんの好物"Gyoza"

新婚当時、これ食べて感激された。
私にとってはごく普通の餃子だし、ハワイでは普通に売ってるけど、本土で育ったアメリカ人には珍しかったらしい。
今じゃ感動は無いものの、常に冷凍保存しておくべきと言われます。

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エッセイに登場する”出演者”である家族に”出演料”として温泉旅行をプレゼントするのが目標です。イッテQ!の温泉同好会の様な宴会をすべく、各自芸を磨いて待機中との事ですので、サポートしていただければ幸いです。スキ、シェアだけでもすごくうれしいです。よろしくお願いしますm(‐‐)m