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(46) "ちょっとだけよ"どころじゃなかった、私のInnocent WorldがNOT Innocent worldになった夜。

"ハワイのホテルで缶詰め生活"


ちょっとかっこ良さすら感じる響きだけど、その響きとは裏腹に、本当に狭くて不便でストレスが山本リンダ。


"あぁ、(ストレスが)どうにも止まらないっ!"


解説しないと分からないくらいくだらないギャグをどうしても入れ込んじゃうクセも山本リンダです。(はい、これもどうにも止まらない)


私が宿泊してたホテルはホノルル空港の真横辺りです。あれから19年、そのホテルは現在も同じ場所にある。何度も言いますが、その辺りは全裸クセスゴパンタロン男こと、夫(マトさん)と出会ったエリアとあって、思い出の詰まったエリアでもある。



思い出と言えば、このBest Westernホテルのあるエリアにはもう1つ思い出がある。まだ子供がいなかった頃、私が日本からハワイのマトさんの元へトツギーノした直後、一緒に暮らし始めてすぐの出来事。



マトさんが仕事でとある日本人の団体の運転手を勤める事になった。職業柄、たまにある日米交流。職場で"日本人グループの運転手出来る人"を募っていたところ、なんとマトさんは自ら立候補したらしい。


なぜなら、


"ボクノ ワイフ ジャパニーズ" (俺の奥さん日本人だから)


えぇ、確かにワイフは日本人です。100%純血日本人。
英語ワカリマセンな日本人です。そして夫は"ニホンゴワカリマセン"のマトさんです。。。。なんででしょう、マトさんは奥さんが日本人だからと言って立候補したけど、本人は全く"ニホンゴワカリマセン"だから、日本人の皆さんとは言葉は通じません、相手が英語を話さない限り。アメリカ人に良くありがちな感じもしなくもないけれど、"コンニチワ、サヨナラ、アリガトウ"とか、


簡単な単語がちょこっと分かる=その言語を話せる



という理解をする人も少なくない。日本人だったらThank you言えても、Hello言えても英語話せるとは言わない。民族性みたいなところもあるけど、日本人は基本的に自信がない、特に英語には。一方、アメリカで育った人は結構自分に自信を持っている気がする。言葉だけではなく、何か少しでも”出来る”のであれば、


”私、出来ます”


と、自信をもって、胸を張って言い切ると思います。私の感覚だと、ちょっとだけしか出来ない事は”出来ない”と言う方が後で誤解がないから、その方が安全な気がする。



私、従姉妹Sちゃんの家に滞在中、電話に出なければならないことがあった。でも相手が一体なんて言ってるのかもわからないから、とりあえずえ中学校の英語の授業で習う簡単な英語を使ってこう言いました。


"I can not speak English."


とりあえずこれ言えば相手には私が英語を話せない事は伝わるはずだから。相手はOkと言って電話を切った。この凄い短い簡単な英語のやりとりだけでド緊張。だって英語ワカラナイから。相手は確かSちゃん義父だったかなー? とにかく義理の家族だったと思う。なので後からかけ直してくれて、Sちゃんと改めて話してた。その電話が終わった後でSちゃんから聞いたのは、その電話の相手は私がなぜ英語が話せないのか不思議だったそう。


だって、


めちゃくちゃ丁寧に

英語で "私は英語が話せません"って説明してるのに、

英語を話しながら、英語が話せないという矛盾。


アメリカ人にはそう写ったようです。アメリカ人の感覚だとこれはもう”英語話せる”と言っちゃうレベルかもしれん。でも日本人の感覚で言えばそれでも"英語が話せません"なんですよねー。だってそれ以上は無理だから。そして相手が何言ってるか分かりゃしねーっていう。。。日本人のが物事のハードルが高すぎるのかもしれないけど。もっと自信もっていい気もする。


でも運転手に立候補したアメリカ人のマトさんは日本に暮らした事もなけりゃ、日本語も勉強したことなくても、"奥さんが日本人"という、たったそれだけの理由で"ニホンゴワカル" という風な気持ちになるらしい。分かっていたのは"オハヨー、コンニチワ、アリガトウ、バカ" それくらい。バカじゃない? って私が良くいうのでバカはすぐ覚えた。運転中にバカとか使っちゃったらどうするんだ?ちなみに何語でもちょっと悪い言葉のが覚えやすい傾向にある気はする。日本でもそんな単語、大声で言ったらダメよって英語が結構使われてたりするし。。

でもアメリカ育ちのマトさんは日本人とはメンタルが違うらしい。ちょっと分からなくてもビビらないし、どうにかなると思うらしい。だって奥さん日本人だからどうにかなるっしょ!的な。

でもその程度の簡単な単語で"日本語(外国語)ワカル"って言ったら、世の中にバイリンガル、またはそれ以上の人が溢れかえるっちゅー話しです。私だって、Bonjour、adios、ニーハオ、カムサハムニダ、Holla、Chao、Bono!Bamonos !(デカビタCで覚えたやつ)
あたしゃ一体何か国語リンガルになるんだよ(笑)


とにかく運転手を引き受けたその日から、日中にマトさんから頻繁に通訳依頼の電話がかかってくるようになりました。これ日本語でなんて言うの? が30分置きくらいに何度も、何度もかかってくる。


How do you say "What's in the box?" in Japanese.


って聞かれて、私はマトさんが私の発音コピー出来るように、ゆっくり、ハッキリと電話で"ハコノナカミハナンデスカ?"って言いました。そしたら電話向こうで"あー、箱の中身ねー!"って声がした。あれ? 私マトさんにニホンゴ教えてたのに、日本人に電話代わってる。代わる前に言えよって思ったけど、まぁ無事に伝わったからいいか。なんだか郵便局にいて、日本へ送る荷物の書類記入で、箱の中身を書かなくちゃならなかったそう。


言わんこっちゃない、あなた奥さんが日本人でも日本語ワカラナイのよ(笑) さすがにマトさんもいちいち電話するのが面倒になり始めた数日後、マトさんからオファーが来ました。


"You、通訳で一緒に出勤しちゃいなよ!"オファー



でした。
翌日からマトさんと一緒に出勤して運転席横に座り、日本語通訳として出勤というよりは"ボランティア"。私で出来ることであればさせていただきますよ。当時はまだ娘もいなくて、家でマトさんの帰り待ってるだけだったから、やることがあるのは嬉しかった、しかも日本語ならまかせて!です。


運転手はマトさんだけじゃなかったし、私も運転手になって自分の車で当時は何もなかった"Ewa"のゴルフ場まで送迎もした。数日もすると、日本人の方たちも運転手達や私の存在を知ってくれて、お昼ごはん一緒に食べなよって言ってご馳走していただいたり、私が日本人ということもあり、日本から持ってきた"梅干し"くださったり。とっても良くしていただいた。


マトさんも結構サービス精神旺盛な人なので、仕事終わりに飲みに行きませんか?なんて日本人の皆さんに声かけたりするんです。ちなみに、それも全部私が通訳して説明する。


"気分はトム•クルーズの横に控える戸田奈津子"


です。


結構大きなバンに10人くらい乗ってた。その中でトム&戸田奈津子の誘いに乗った人が3人くらいて、奈津子ちょっとびっくりした(笑) どうやらその中の1人が電話越しに"箱の中身は何ですか?"と聞いていた方だった。



仕事終わってから、名乗りを上げた3名(男性)をピックアップして、確かAieaにあるDixie Grillで夜ご飯を食べました。当時はトム(マトさん)もお酒飲んでたし、日本人3名も仕事終わりのビールを楽しんで、トムと皆さんはめちゃくちゃ打ち解けて行きます。Dixie Grillには超バカデカイ"マイタイ"もあったので、それ頼んでみんな盛り上がっちゃって。奈津子(私)はお酒飲まずというか飲めないので、拙い英語で通訳に運転手に大忙し。ちなみにね、皆さん職業が似ているので、なんか通じる物があったのでしょうかね。みんなほろ酔いで盛り上がって、しかもうちのトムが一番盛り上がっちゃって、


"アメリカのセイラーの遊び方紹介する"



なんて言い始めた。


アメリカのセイラーの遊び方。。。なんか怪しい予感あり。



食事を楽しんだ後はトム隊長の指示で、ホノルル空港近くのBest Western Hotelの真横にあった、とあるお店に連れて行かれた。トム曰く、そこは同僚のChin君のオススメの遊び場らしい。

ちなみにChin君、名前がChinって訳じゃない。Chinって顎って意味なんですけど、顎が凄く特徴的だったから、それがそのままニックネームになったらしい。これ書いてて彼のこと思い出したけど、アインシュタイン"いなちゃん"にそっくりだった。いや、むしろいなちゃんがChin君に寄せてきたのか?彼は私たちの結婚式にも来てた。フレンドリーに"Yuri "と私の事を呼ぶ人が多い中、彼だけは私の事をいつも"Ms. Yuri" と"さん付け"で呼んだ。なんかとっても礼儀正しい感じで好感が持てた。


そんな"いなちゃん似の礼儀正しいChin君"のオススメの遊び場は" Gussy L'Amour's"という、ちょっと怪しげな場所だった。



入っていって大丈夫なのか?と不安だけど、トム隊長はずんずん進む。駐車場に置いてかれても怖いし、中に入るのも怖い。でも付いていくしかないです。”マット君の事を信じて着いていけば大丈夫”、お父さんもそう言ってたし。

体格の大きな用心棒のいる入り口を通過してなんかヒラヒラした暖簾的な物を潜り抜けるとそこは目眩く世界でした。。。。一体ここは何ですか?と聞いたらば、トム隊長は言いました。



"Oil Wrestling"



オイルレスリング? 聞いたことねぇ競技だけど。
レスリングって言うだけあって中央には確かにリングがある。そしてBarもあり、リングの周りには今か、今かと待っている感じの観客も大勢いた。私はトムと日本人ゲストの通訳をしながら競技が始まるのを待っていた。するとレフェリー的な人物が登場して、何やら説明してる。見てる感じからして、セリ場に似てる。オークション? 入札的な。


観客達がポロポロと金額を叫び始めたと思ったら、トム隊長もノリ始めた。しかもなんか調子のっちゃって叫んだ1言が勝ってしまった。一体何をお買い上げしたのでしょう? まぁでもそんなに高額じゃなかった記憶はあって、でも買ったくせに現金を持ってないっていう。。。仕方ないので私の財布渡した。


現金を出しながらリングに向かうトム隊長は私の長財布を小脇に抱えていた。レフェリーのおっさんにお金を渡しながら、何やら軽くインタビューされてる。私はそれを3人の日本人と共に遠くから見ていた。そのインタビューが始まった直後、レフェリーのおっさんが突然マトさんの小脇にある財布を見て目をまんまるくしました。




"オイ、オイ、オイ! ソノ サイフ オマエノジャ ナイダローー!!"



って、私の女性っぽい財布を持ったままのトムに急なツッコミ入れてきた。
そしてトム隊長は答えました。


"ワイフ ノ サイフ"


綺麗に韻を踏んでる場合じゃないんです。これ聞いてレフェリーがなんか興奮した様子で叫び始めた。



"ダッタラ ワイフ ガ WINNER ダゼ! ワイフ カモン!"


とか言い始めた。
あー、そぉーっと消えたい。どうか、私を見つけないでって思ったその時、トム隊長が


"オレノ ワイフ ハ ソコ ニ イルゼッ!"


と言って、めちゃくちゃ指差された。
外国では人に指差すのはいけないんじゃなかったのかよ?なんでガッツリ指差してるのでしょう?なんて戸惑っている間に、私は周りの人に面が割れてしまい、なんとリングまで祭り上げられてしまった。。。


そして軽いインタビューをされ、ボトルを1本渡された。
ケチャップやマスタードが入ってそうな、先が尖ったあのボトルに液体が入ってます。透明の液体、それは


"オイル"


だった。そして、オイルと共に登場した女子2名。女子プロレスと言えば私はクラッシュギャルズVS極悪同盟を思い出すけど、この時登場したのはビキニ姿のちゃんねー2名。そしてレフェリーが私に何か説明してるけど、イマイチわかんねぇ(汗)。立場は逆転して、トムが奈津子に逆通訳を始めた。英語を英語で通訳してる、何だか意味がワカラナイ。説明されてる間に、観客は盛り上がってきたと思ったら、なにやらちゃんねー(姉ちゃん)"とトム隊長は私に


"とにかく、音楽と共にそのオイルをちゃんねー達にかけろ"


と言います。そう、競り落としたのはオイルをかける権利だった。そしてオイルレスリングとは。。。


なんと、まさかの油谷さんスタイルレスリングだった(笑)



めちゃイケでしか見たこと無かったけど、どうやら本場のオイルレスリングのようです。油谷さん見るたびに大爆笑したけど、これはちょっと違う?いや、多分根本は同じかもしれん。

戸惑う私をよそに、音楽が流れてくる。一体あたしゃどうすりゃいいのさ? まごまごする私に、ちゃんねーが小声で助け船出してくれた。オイルかけてって。私、その場から早く逃げたくて一気にオイル減らしたいが為、勢い良くオイルをかけた。そしたら、レフェリー、観客、ちゃんねー2名、そしてトム隊長が一斉にこう言った。


"Wow, wow wow! Slowly!"



どうやらゆっくりかけろと言っている。。。
私のかけ方は全くみんなの期待とは違ったらしい。
セクシーにかけろって事だったらしいけど、
んなもん大勢の観客の前で出来ッか!しかもこれに金払ってるという。
もう何が何だかワケワカメ。でも場の雰囲気ね、崩すのも何なので、ちょっと頑張った後、ちゃんねーにオイル渡して"後は頼むぜ"と言うことで逃げた気がする。


私をさん付けで呼ぶ好青年、いなちゃんことChin君はここの常連だったそうで、Chinの友達だと言ったら、レフェリーにめちゃくちゃ喜ばれた。そうだ、誠実な感じがしてもChin君もセイラーだからね。


アメリカのセイラーの遊びは汚れている(笑)


という勉強を新婚の夫より講義いただいた。



しかし、トム隊長とその仲間達はバカデカイマイタイですっかり出来上がり、油谷スタイルオイルレスリングで火がつき、更にセイラーの遊びで交流を深める勢い。私はもう色々お腹いっぱいですが、運転手兼通訳で抜けるに抜けられず。この後はアラモアナ近辺にあったストリップバーに連れて行かれた。トム隊長、新妻連れてストリップバー。。どないやっちゅーねんっ!


私、人生でストリップバーなんてこの時が最初で最後ですけど、


"あぁ、ストリップバーってこんな事になってるなんて知らなんだ"



という衝撃でした。
まさか自分がこんな所に来る日がやってくるとは思いもしなかった。加トちゃんの"ちょっとだけよ"なんてもんじゃなくておったまげた。


あの時マトさんが"ストリップバー イキマシタ"と自己申告した場所では、こんな事がっ!!!というなんとも複雑な気持ち。



しかも、この状況ですが私、一応通訳でして。。。(汗)
どう通訳したら良いのか、トム隊長、考えてよ。。。まぁでも言葉はあまり必要なかったけれど。(笑)

私、もうどこを見たら良いのか戸惑う訳で。そしたらマトさんが、私の目の前にお金置いたんですよね。飲み物でも買うのかと思ったら、踊り子のちゃんねーが寄ってきた。


"ワイフ ト イッショニ キテルンダゼー"


って踊り子のちゃんねーに言った。そしたらちゃんねーが何やらトム隊長に聞いて、トム隊長が"オッケー"サイン出してる。私は横で見てたんだけど、突然踊り子ちゃんねーが私の目の前に来て、私の顔に手を添えた。。。と思ったら、


"めっちゃ乳に顔埋められた"


何、コレ? 粋な計らい的な事でしょうか? どういう反応したら良いのか。夫、トム隊長、横で大爆笑してたけど。




"アメリカのセイラーの遊び方がとても汚い"



というお勉強させていただきました。



トム隊長、新妻 奈津子はもう頭もお腹も気持ちも何もかもいっぱい過ぎで、これ以上はご勘弁ーと言ったけど、もう1軒だけと、盛り上がっている男性人。だがしかしこの状況、私は悟った。



ストリップバーでは、もはや通訳など必要ない




当時ワイキキに住んでた私達。トムとその仲間達をワイキキのクヒオ通りにある、エキゾチックバーに送り、私はギブアップで帰宅。通訳抜きでエキゾチックなお時間を楽しんた後、仲間達をタクシーに乗せて目的地をドライバーに伝え、トムは徒歩で帰宅した。

ミスチルの歌に"innocent world"って歌がある。
あれ、言い歌だよね。あの歌でinnocentという言葉の意味を知った。純粋な、清純な、無垢なとかそういう意味だそう。


この夜、私の世界は"innocent じゃない world"になった気がする(笑)


マトさんと結婚しなかったら、多分一生行かなかったと思う、あんな場所もこんな場所も、今となれば結構笑える思い出で、こんな風にネタにもなってますが。



お父さんへ、

お父さんの言葉の通り、マット君を信じて付いていったら、純粋さ、無垢さが消えた気がします。大丈夫でしょうか?(笑)


どうかこれを読んでくださる方々がドン引きしていませんように。。。ちなみに、その後もトム隊長と仲間たちの中の1名とはしばらく交流は続き、子ども達が産まれた後も、ハワイに来る度にうちに遊びに来てくれたり、一緒にお食事(ノーモア レスリング & 踊り子さん)したりの交流が続きました。実家の話をしたら、日本に帰った後、品川の私の両親を訪ねてくれた事もあったり。まさかうちの両親にその話ししたのかなぁ?(笑) 最近連絡してないけど、元気にしてるかなー?

泊まったホテルの話から思い出した、ハワイでのなかなか濃ゆい思い出の1ページ、シェアさせていただきました。






《今日のヒトサラ》

Aieaにあるアメリカ南部のお料理が楽しめるレストランDixie Grill

新婚時代も、子供が出来てからもよく通ったお店。場所柄、観光客よりもローカルやパールハーバー勤務の軍人さんが多いお店。ここで食べたCrab & Artichoke Dipが美味しくて、おうちごはんやポットラックでも作ると、とっても喜ばれる。カニ、エビ、など具はその時々で色々変えますが、作り方は基本的に同じ。レシピはインスタ↓に載せてます。



















エッセイに登場する”出演者”である家族に”出演料”として温泉旅行をプレゼントするのが目標です。イッテQ!の温泉同好会の様な宴会をすべく、各自芸を磨いて待機中との事ですので、サポートしていただければ幸いです。スキ、シェアだけでもすごくうれしいです。よろしくお願いしますm(‐‐)m