見出し画像

(47)ギロッポンじゃなくてハワイの鼠先輩から学ぶ、軍人家族の助け合い。

ホテル暮らしが長くなると覚悟した直後、ラッキーな事に条件の合うタウンハウスに空きが出て、Pearl Cityのミリタリーハウジングに入居した。マトさん勤務のPearl Harborまではちょこっと離れてるけど、近所にはダイエー(現 ドンキホーテ)もあったので、日本食も手に入る環境でとっても便利だった。


とは言っても、日本からの品物はハワイでは輸入品なので割高。まだ収入の低かった我が家では贅沢品に思えてなかなか気軽には買えなかったなー。棚に並ぶ"中華三昧"を見ながら買おうかどうしようか迷って、清水寺の舞台から、、、じゃないけど思いきって買って家で作って、ラーメン丼ないからガラスのボウルに入れて食べてったっけなー。懐かしい日々。


そんなミリタリーハウジング生活ですが、船に勤務のマトさんがほぼ出航している状態。でもどこへも行くところもないし、まだ娘も小さくて公園すら行かない日々で、人と話す機会がグッと減った。マトさんが帰って来るのをひたすら待つ日々。

1人暮らししたことがない私ですので、娘とフロリダから無事に呼び寄せた愛犬Daveがいるとはいえ、ほぼ1人みたいな生活。どうか何も起こりませんように、と願えば願うほど何か起こるものである。何が起こったかって、、、



出たんです。



そう、あれはとある日の夕暮れ。
娘をあやしながらテーブルで夕飯を食べていた時の事。
キッチンで気配を感じたんです。
ゾクゾク、ゾワゾワしたその気配。
その時点ではまだ"気配"だった。


気のせい、気のせい。


自分にそういい聞かせた。
んなもん出る訳ないからー、落ち着いていけやー。
って、ゆりやんのネタ位自分に言い聞かせた。



でもその気配、落ち着けない位ハッキリ見えてもーた。
見えてはいけないその姿、見えちゃった(泣)




おかーーーーさーーーーん!!!
マトさーーーーーーん!

(恐怖のあまり固まった私の心の声↑)


叫んだって誰も助けに来てくれないけど。。。
娘を抱っこして、騒ぐ愛犬Daveをなだめて、物音を極力立てずに静かにキッチンを見つめた。
ゆっくりとくっきりと、その気配はこちらを見ています。



目と目がバチコーーーーンっ!



工藤静香のMugo•ん•••色っぽいくらい目と目で通じあった。通じあったその相手。。。。



"ネズミ"



だった(泣)



家にネズミ!無理ーーーー!!!
鼠先輩じゃない、普通にネズミ。
家に鼠先輩いて"ギロッポン"歌っててもそれはそれで怖いっチュー話しですけど。
って、チューとか言ってる場合ちゃいまんねん。
本物のネズミですねん。先輩ちゃいますねん。
サイズは小さめですけど、なんか全部無理。
マトさんいない、一体あたしゃどうすりゃ良いのさ(涙)


ミリタリーハウジングだったので、そういえばペストコントロールに連絡したら来てもらえるはず!早速電話!


でも、あたし。。。。




"英語で電話出来ないーーーー(号泣)"



電話で英語、この時点でほぼ経験したことなかった。
いつもマトさん任せ。面と向かっての会話は何とかできるけど、電話。。。めちゃくちゃ壁が高い。ネズミが見えちゃったのと同じくらい泣きたい気持ちの英語で電話。でも、英語がどうこう言ってる場合じゃなくなった。とにかくもう、あたいやるっきゃない。電話するっきゃない。ペストコントロールの番号、震える指で押した。


"xouj&$@([/× pest control. How can I help you?"


って感じで聞こえた。
昔に比べたらだいぶ聞き取れるかもしれませんけどね、ド緊張です。でもとにかく伝えたい、あなたに伝えたい。聞いてください、私の思い。


"I have a mouse in my house"
(私の家にネズミがいます)



それでだいたい察してくれたけど、とにかく話しを聞いたら、明日でないと来られないという事はわかった。なんなら自分でネズミ取り仕掛けるといいかもねって。かもね、かーもね、Soかもね。。自分で取っちゃうかもね??


電話切って色々考えた。鼠先輩に家中うろうろされるのも困るし、とりあえず近所のロングスドラッグでネズミ取り買うことにした。でも。。。


仕掛けて取れちゃったらどうすりゃ良いのさ(泣)


しかもネズミさん、動きがめちゃくちゃ早くてどこに行ったのか分からないし、鳥肌立ちまくりで呆然。
仕方ないのでとりあえず外に出た。
マトさん帰ってくるの待とうかなーーー。
でも1週間帰って来ねぇ。。。
なんて悩んでいたら、お隣の奥さんがちょうどゴミ捨てに出てきて話しかけてくれた。フィリピン人のとっても優しいご家族だったので、ちょいちょい立ち話をしていた。事情話したら、なんとその奥さんがネズミ取りの設置と取れた場合の除去のヘルプしてくれると言ってくれた。




"女神降臨"




の瞬間でした。
どんなタイプのが良いとか色々アドバイス貰って早速購入。ベタベタするタイプのネズミ取りに、なんだったか食べ物おいて、3ヶ所くらい設置した。取れたら呼んでね!って言って女神様は帰って行った。
取れてほしいような、取れないでほしいような、複雑な気持ち。とりあえずテレビ点けてKikuチャンネル、めちゃくちゃ古い"そこが知りたい"という番組を音量やや大きめで観ながら恐怖を誤魔化した。女神様が家を後にして30分くらいで、その時はやってきた。



"カサカサ、カサ、カサカサ"




キッチンの奥、ランドリールームでカサカサしてる男が聞こえた。娘を抱きしめ、恐る恐る確認しに行ってみた。



"捕ったどーーーーーーーー!!"



急いで女神様のお宅に駆け込んだ。
すると女神様の旦那さんが出てきた。
事情を話したら"一家総出"で我が家に来てくれた。
女神様、旦那様、小学生の男の子2人。
捕獲場所を伝えると、すぐに見に行ってくれた。
そして女神様一家はこう言いました。



"Awww, it's a baby one! "
(あらー、まだ赤ちゃんじゃない!)



っていいながら旦那様がネズミ取りを手にして、子供たちはちょっと愛おしそうな目で眺めていた。
確かにちいさな赤ちゃんサイズだった。
外にいればそう思えたかも。
でも自分の家で見たら赤ちゃんだろうとなんだろうとネズミはネズミで。


女神様と旦那様はネズミ取りを袋にいれて、うちのではなく自分の家のゴミ箱に入れてくれた。


"神様降臨"



何かあればいつでも呼んでねと、女神様は言ってくれた。
でももう捕獲成功したし、私もゆっくり眠れる。
明日はペストコントロールの人も来るし、きっと大丈夫なんて会話をして、女神様は念のためと言って残っていた2つのネズミ取りを今取れた場所に移動して帰って行った。



数分後、私は再び女神様の家の呼び鈴を押していた。




まさかの2匹目捕ったどーーーー(泣)



であった。




またまた神様降臨。
一家総出でやってきてくれて、また同じサイズの"ネズミベイベー"を見て穏やかな表情で見つめていた。
そしてまたうちではなく自分の家のゴミ箱に捨ててくれた。


さすがにに3匹目取れても夜遅くに呼べない。。。ので、その日は8時就寝でベッドルームに籠った。


朝イチでめちゃくちゃ恐る恐る見てみたけど、幸い女神さまにはお世話にならずにすんだ。
そしてペストコントロールのおじさん待ち。


ペストコントロール業者によれば、ランドリールームの乾燥機のエアダクトと壁にあったちょっとした隙間から、その横に置いてあったドッグフードめがけて入ってきたと思われるとのこと。早速塞ぎました、その隙間。ネズミってドッグフード好きらしいです。我が家、それ以来袋のまま置いてあったドッグフードは容器に入れ替えて密閉してます。



自分1人じゃ何も出来ない。



本当にそう思った。私はみんなに頼って甘えて生きてきた。恥ずかしながら、今でもそうだと思うけど。



女神様には何度もお礼を言った。だって本当に、本当に助かった。お礼なんていいのよって言ってくれたけど、翌日ちょっとした菓子折り的な物を持って改めてお礼に行った。


私が逆の立場だったら、やっぱりお礼なんて全然気にしないでって言ったと思う。彼女は当たり前の事しただけだと言ったけど、その当たり前の事をさらっと出来る優しい人がお隣に居てくれて私は本当にラッキーだと、心から思った。"ご近所の助け合い"を通して、


ミリタリーファミリーの団結



をこのPearl Cityのハウジングで何度も経験して学んだ。夫や妻が長期でいない時間、残された家族の大変さをお互い実感してるからこそ、困っていれば自然にヘルプがくる。私も助けてもらうだけではなく、やって貰ったらそれを返すのが当たり前だし、そうありたい。


ミリタリー(軍人)はベネフィットがいいのでラッキー



って思う人も沢山いると思う。
ミリタリー割引もそうだし、州によっては税金だって免除になる物もあるし、ハウジングもサポートいっぱいあるし、外から見たら楽に見えるかもしれません。


でも軍人さんは、家族と過ごせるはずの時間を軍(国)の為に働いてます。何ヵ月、時には年単位で家族と離ればなれになる。船に乗って陸に上がることも出来ず、陸を見ることも出来ず、辞令が出れば戦地に赴き、子供が生まれる時も一緒も側にいられない。初めて歩いた、初めて喋った、子供の発表会、、、子供の成長が見られない、家族に寄り添えないのは当たり前。決して簡単な仕事じゃないんです。だからこそ、ベネフィットが充実してたりもするんです。自分の国や同盟国の安全を守る為日々働いてくれてます。私はアメリカ軍人の妻であり、その同盟国である日本の国籍を持っています。私の母国が危険に晒されるような事があれば、きっと同盟国を守る為、アメリカ軍は日本を助けるための行動に出てくれるはずだと思います。その時、軍人さんたちは"自分たちの家族を残して"私達を助けに行くことになる。私の母国を守ってくれる為、自分の家族を後回しにしなければならない。家族だって、ずーーーと心配して待つしかない。その間、俗に言う"ワンオペ育児"。基本的にそういう時間ばっかり。


日本において米軍問題というのは一言で済まされる簡単な問題ではないけれど、軍に所属すると言うことはそういうこと。明日、戦地に赴くかもしれないと言う日々と背中合わせですから。


本人たちも大変だけど、残されたファミリーも大変さを理解してるから自然に助け合う。


このPearl Cityハウジングの生活は、そういうミリタリーファミリーの苦労やあり方みたいな事を理解した場所になりました。ネズミさんの事件はその一環。しかも、私はここの生活でかけがえのない出会いをしました。その名も



"ご近所運命共同体"



私の人生においてとても大切な時間、そして大切な仲間たちと出会います。



それはまた、次のお話。



《今日のヒトサラ》
•ラーメン

あの頃、まだラーメン屋さんに行く事っていうか、ラーメン屋さんがあるのかどうかも知らず、どうしても食べたくなるラーメンには、インスタントの中華三昧で対処してた。母が良く買ってたので、その味をハワイで食べられるのは凄く懐かしい気持ちになったものです。

今ではラーメン屋さんも沢山出来て、とんこつラーメン人気も高い。でも、やっぱりラーメンは日本で食べるラーメンが美味しいなと思う。









エッセイに登場する”出演者”である家族に”出演料”として温泉旅行をプレゼントするのが目標です。イッテQ!の温泉同好会の様な宴会をすべく、各自芸を磨いて待機中との事ですので、サポートしていただければ幸いです。スキ、シェアだけでもすごくうれしいです。よろしくお願いしますm(‐‐)m