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30日間の革命 #毎日小説13日目

 加賀は翌日から最後の主要メンバー探しに動いた。坂本曰く、この革命を成功させるためには、主要メンバーが4人必要らしい。そして、その4人はそれぞれ違う役割を担うため、似た者を集めれば良いという訳でもないと坂本から言われていた。現在の役割を考えると、坂本は総指揮、森下は実行部隊。しかし、自分の役割は何なのかを加賀はまだ理解していなかった。

 ただ、現メンバーは少なくとも全員目立つ人物ばかりだということには気づいていた。坂本は生徒会長であり成績もトップ、森下は野球部のキャプテンである。そして加賀自身も、人気者として知らない人は少ない。最初は校内で影響力のある人を主要メンバーに加えても良いと思っていたが、それでは全員似た者となると考え、学校では目立ちはしないものの、何か秀でているものを持っている人。そういった人物を探すことにした。

 何か特殊な経歴や技術を持っている人がいないか、各クラスや学年をまたいで聞き込みを始めた。さすがにそんな人物は簡単には見つからなかったが、ある情報が加賀の耳に入った。学校では非公認であるものの、同好会のような立ち位置で活動しているクラブがあるということだ。非公認のため、表立っての活動はなく、参加している人たちも、あくまで趣味の合う人たちでの集まりとして活動しているだけらしい。そのため、その活動を知っている生徒はほとんどおらず、加賀はそこに目をつけた。そしてさらにそこから情報を集めていくと、ある一人の生徒の名前が浮かび上がった。

 手崎恭子は、2年生であり、学年内でも成績、体力ともに秀でたものはなく、ましてや学校全体でも目立つ存在ではない。しかし、彼女はある同好会に所属していた。それは”将棋同好会”である。将棋同好会程度であれば、加賀も気にはとめていなかった。しかし同好会のメンバーは、昨年の先輩が卒業をしてしまったため、現在手崎一人で行っているということを聞き興味を持った。毎日放課後、図書室の角で将棋盤を開き、将棋の勉強しているらしい。実際に放課後図書室へ行ってみると、確かに一人で盤を広げて、将棋の本を片手に黙々と将棋をさしている姿があった。その行動に興味を持った加賀は、坂本に報告をした。

 「--っていうまあ、少し変わった2年生がいるんだって。特に将棋の腕が良いって噂も聞かないんだけど、何か気になってね」

 「セトはその手崎さんを主要メンバーに入れた方が良いって思う?」

 「うーん。まだしゃべったことないからわからないけど、何か引っかかるというか、気になっちゃうんだよね。そういえば、主要メンバーが2年生でもいいの?」

 「うん。学年は特に問わないわ。ならセトは、手崎さんのことをもっと調べてみて。それだけセトが気になるなら、何か彼女にはあるはずよ。自分の勘を信じてみて」

 「そうだな。単なる将棋オタクって可能性もあるけど、ちょっと色々と調べてみるよ。本人に話しかけるのはあり?」

 「うん。まだ革命の話はしないでほしいけど、接触するだけなら大丈夫だよ」

 「了解。ならさっそく今日の放課後、図書室へ行ってみるか」

 こうして、加賀は放課後、図書室へと向かったーー


▼30日間の革命 1日目~12日目
まだお読みでない方は、ぜひ1日目からお読みください!

takuma.o

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