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不定期連載小説『YOU&I』59話

國立らは、先日飲み会をした駅近くの居酒屋に集まることになっていた。

その時同様に、國立は近くのコンビニで市ヶ谷を待っている。コンビニをウロウロしていると思い出すのは中野の家での出来事。

(結局あのときも、コンビニでお菓子とか買ったのに出すことすら出来なかったな……。それに、あのときから何となく卑屈になっていったような気もするなぁ……)

中野の家に遊びに行ったとき、市ヶ谷と仲の良い姿を見て抱いた嫉妬心。そのときから、ただの恋心ではなくとても重たいものへと変化していた。

そんなことを考えていると、

「お待たせ!」

と後ろから市ヶ谷が声をかけてきた。

「お疲れ様」

國立は笑顔で返事をする。いくら嫉妬心を抱いたとはいえ、國立にとって市ヶ谷はかけがいのない友人であることには変わりない。出来れば中野ののことは忘れて市ヶ谷と普通に接したいとも思っていた。

「ならお店に向かうか」

市ヶ谷がそう言い、二人はコンビニを後にする。居酒屋まで向かう道すがら、

「大久保さんってどんな人?」

と市ヶ谷は國立へと質問をした。

「……俺も一回しか会ったことないからよくは知らないんだ。りっ……小金井さんのバイト先の先輩なんだってさ」

國立は自分の感情は抑えながら答えた。

「へー。でも自分より年下の連中と旅行に行こうってなるのも凄いよな。しかもほとんど話したことない人たちと」

「それは俺も思う。あ、でもコミュニケーション力は凄そうな人だったよ。友達もたくさんいそうな感じの人たちだったかな」

「そうなんだ。まあ面白そうな人なら全然いいけどね。車まで出してもらうんだし」

「そうだね……」

國立は複雑な心境だった。出来れば旅行には行きたくないが、もし自分抜きで大久保が旅行に行ったら、その間に何が起こるのかわからない。今日、大久保が正式に旅行に参加すると決まったら、國立自身も旅行に参加しようと考えていた。

そして二人は居酒屋に到着する。店内に入ると、そこには既に中野と神田が座っていた。

「あれ、二人とも早いじゃん」

市ヶ谷がそう声をかけると、

「前ちょっと遅れたからね。2回連続で遅れるわけにはいかないでしょ」

と神田が答えた。

「まだその大久保さんって人は来ていないみたいだな」

続いて市ヶ谷は店内を見渡してそう話す。

「うん。多分立夏ちゃんと一緒に来ると思うから、もう少し待ってよう」

神田はそう答え、4人で大久保たちを待つことなった。そして程なくして小金井と大久保が姿を見せた。

「こんばんは! 大久保です。あ、もしかして待たせちゃったかな?」

大久保は陽気に皆へと声をかけた。

「はじめまして! 神田と言います! 私達もさっき来たところですよ」

神田も笑顔で答える。

こうして集まった6人の食事会が始まった。

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