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不定期連載小説『YOU&I』38話

授業が終わり、市ヶ谷と神田は中野の様子を見に行くことにした。

教室へ入ると、中野と小金井が仲良さそうに話している姿を見つける。

「やっぱりあいつのコミュ力すげーな」

その姿を見て、市ヶ谷は思わずそうつぶやいた。

「だね。私たちも話しに行ってみる?」

神田がそう言うと、

「そうだな。ちょっと話してみるか」

と、二人で中野たちのところに行くことにした。

「お疲れ様!」

まずは神田が二人に話しかける。

「あ、智ちゃん! お疲れー! 立夏ちゃんと友達になれたよ!」

と、中野は笑顔で答えた。小金井は、神田と市ヶ谷の方を見て、軽く会釈をする。

「そうなんだ! 立夏さんって言うんだね。私は神田智美です。よろしくね」

「俺は市ヶ谷冬真。よろしく」

それを受け、神田と市ヶ谷が簡単に自己紹介をした。

「私は小金井立夏。よろしく」

小金井は表情を一切変えず淡々と答える。

「立夏ちゃんもね、旅行一緒に行ってくれるって!!」

中野は満面の笑みで市ヶ谷と神田に報告をする。

「本当に! どこ行くかとか日程とかまだこれからだけど、大丈夫?」

神田が小金井に質問すると、

「うん。あまりお金がかからなければ大丈夫。春樹も一緒に行くんだよね?」

と小金井もまた神田へと質問をする。

「うん! 春樹くんも誘ってるから、一緒に行く予定だよ! ならこれからどこ行きたいか、立夏さんも一緒に考えよう」

「うん。あ、あと、立夏でいいよ。私も智美って呼ぶから」

「本当に! なら立夏って呼ぶね!」

こうして神田とも急速に仲を深めていく小金井。そのやり取りを見て、

(何か亜希とは違ったタイプのコミュ力を持ってる人だな)

と市ヶ谷は心の中で思った。中野とは違い、天真爛漫という感じではなく、どちらかと言えばサバサバしているように見える小金井。しかし、良い意味で、子どものようにスッと距離を詰めてくるところがどこか憎めず可愛らしい一面があると感じた。

そんなことを思いながら市ヶ谷は小金井のことを見ていると、小金井がそのことに気づき、

「……冬真は春樹と仲が良いの?」

と話しかけてきた。見ていたことに気づかれ、少し動揺した市ヶ谷は、

「う、うん。結構仲が良いと思うよ」

と答え、いきなり下の名前で呼ばれたことには触れなかった。

「そっか。なら、今度春樹も含めて皆でご飯でも食べない?」

小金井は、動揺する市ヶ谷をよそに話を進めていく。

「いいね! なら今度みんなでご飯でも食べながら旅行の計画を立てよっか!」

「うん、そうしよっか!」

中野と神田は賛同し、國立のいないところで5人でご飯を食べに行くことが決まった。

▶To be continued

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