不定期連載小説『YOU&I』44話

急に店を出ていった國立。そして、中野の不自然な態度。

小金井は店を出たあと、二人の関係について考えていた。

「春樹が急に帰ったのは、多分亜希が関係してるっぽいな。それに亜希のあの態度。……もしかして、二人は仲悪いのか? で、たまたまカフェで鉢合わせてしまって、気まずくなって春樹は帰ったとか?」

小金井はそう考えた。またしても勘違いである。

中野たちは、國立と小金井が付き合っていると勘違いし、國立は中野に避けられていると勘違い。そして小金井は國立と中野の仲が悪いと勘違いしてしまった。

家についた國立は、そのまま布団へと潜り込んだ。

「……明らかに俺のことを避けてたよな、中野さん。正直、避けられるようなことをした覚えはないから、やっぱり俺の気持ちに気づかれたとしか考えられない。多分、俺と立夏が一緒にいることを知って、中野さんはそれを立夏に相談してたんだ。だから急に立夏も旅行に行くことになったんだよ、きっと」

どんどんネガティブになっていく國立は、勝手にそう思い込んでしまう。

「……だったら尚更旅行なんて行けないよ。多分冬真とかが気を使って誘ってくれたんだろうけど、避けられてまで一緒に行くほど俺も無神経じゃない。冬真に相談して、旅行は断ろう。で、もう中野さんとも関わらないようにしよう」

そんなことを考えて、そのまま眠りへとついた。

一方、中野はというと

「立夏ちゃんに気づかれちゃったな……。でも、二人のことには気づいてない感じで振る舞ったから、多分大丈夫かな。でも、今度からはもっと気をつけなきゃ。立夏ちゃんにも悪いから、春樹くんとはもう少し距離を置いたほうがいいかもね」

と、考えていた。中野の良さでもあるが素直すぎる故、市ヶ谷の言ったことをそのまま真に受けてしまっている。これからも、國立と小金井の邪魔をしてはいけないと考え、國立と距離を少し置こうと考えてしまったのだ。

さらに小金井は、

「何で春樹と亜希は仲が悪いのに一緒に旅行なんて行こうとしてるんだ? もしかして、周りの人たちはそのことに気づいていないのか? 二人ともいい奴だから、空気を壊しちゃいけないって気を使ってるのかな? だったら私がみんなにそのことに気づいてもらえるようにするしかないかな。私は二人とも好きだから、お互い無理はしてほしくないし」

と更に厄介な考えを深めてしまっていた。小金井はサバサバしている性格だが、仲良くなった人間にはお節介をやくことがあった。そのことが裏目に出たのである。

こうして、3人はそれぞれ勘違いをしたまま、翌日を迎えた。

▶To be continued

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