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30日間の革命 #毎日小説12日目

 「うーん。ごめん、正直まだこの話を聞いただけだと判断できないよ。坂本さんとしっかり話したのも今日が初めてだし、そんな状態で答えは出せない。そっちが本気なら、なおさら中途半端には答えられない」

 森下は頭の中を整理しながらも、正直に自分の言葉で伝えた。

 「うん。ありがとう正直に言ってくれて。もしよかったら、明日から昼休み、第二視聴覚室に来てくれない?」

 「第二視聴覚室に? なんで?」

 「そこで、この革命についての打ち合わせを行うんだ。参加するしないの判断は、その打ち合わせの内容も聞いて判断してほしいんだ。もっとお互いに自分たちのこと知り合うためにも、どうかな?」

 「……わかった、行くよ。こんな話を聞いたんじゃ、明日から君たちのことが気になって普通に生活出来なさそうだから」

 「ありがとう! なら明日からよろしくね! 遅くまで付き合ってくれてありがとね!」

 そして、森下と坂本たちは解散した。加賀と坂本は途中まで帰り道は同じだった。

 「やっぱ小春は凄いよね。いきなり革命なんて話をするもんだから、こっちが焦ったよ。それでも明日の約束とりつけちゃうんだから流石だよな」

 「森下君には真剣に話さなきゃって思ってたから。変に回りくどく話すよりも、そっちの方が伝わるかなって」

 「まあそういう性格だもんな森下は」

 「でも、まだ参加してくれるって決まった訳じゃないからね。明日の打ち合わせでしっかりとこっちのことを知ってもらわなきゃ」

 「そういえば気になったんだけど、明日は屋上じゃなくていいの?」

 「うん。屋上はセトとの場所だから。それにベンチはそんなに人数座れないし。第二視聴覚室は、生徒会で押さえてあるところだから、そっちの方がいいかなと思って」

 加賀は「セトとの場所」という言葉に少しだけ動揺したが、また平然を装った。

 「そっかそっか。そうだよな。それがいいよ! よし、明日からまた頑張ろうな。 ならまた明日!」

 そうして逃げるように坂本と別れた。

 翌日から、三人は毎日顔を合わせて話し合った。坂本は、革命の必要性や、計画などを事細かに話し、森下も正直な感想を述べたり、質問をしたりして議論を深めていった。加賀は、二人の間に入り、いつしか議論を調整する役割となっていた。そして、この話し合いが始まってから、一週間が経った頃、森下から、

 「わかった。俺も参加させてもらうよ。本気で考えていることもわかったし、それに何より革命が必要なんだって、自分自身でも思えるようになってきたから」

 「本当に! ありがとう森下君。でも、革命を起こすってことは、大友先生にもいつかは立ち向かわなくちゃいけなくなるよ」

 「うん。それも分かってる。でも、今まで俺はあくまで自分の意志で監督に従ってきた。だから、これからも自分の意志で監督に立ち向かう。自分の意志で動くことに変わりはないから大丈夫」

 力強く答えると、坂本も納得した表情を見せた。

 「ありがとう。ならこれで3人ね。でもあと1人主要メンバーが欲しい。そして、時間も限られているから、ここからは役割を分担していこうと思う。私は全体の計画を決めていくから、セトは最後の主要メンバーをピックアップしておいて。森下君は、集会に参加してもらう生徒を集めて欲しいんだ」

 「集会って?」

 「革命は私たち数人で行えるものじゃないからね。できれば、全校生徒一丸となってやりたい。でも一人ひとりを誘ってちゃいくら時間があっても足りない。だから、集会を開いて一斉に呼びかけるの。ただ、いきなり全校生徒を集めるわけにはいかないから、少なくとも20人くらいの規模で最初の集会を行いたいんだ。野球部でもいいし、その他の生徒でも大丈夫だから、集会に来てくれそうな人をピックアップして集めて欲しいんだ」

 「結構難しそうだな。集会はいつやるとか決まってるの?」 

 「まだ具体的に日程とかは決まってないから、まずは集まってくれそうな人をピックアップするところからお願いしたいの」

 「うーん。まあとりあえずやるしかないか。了解」

 すると、加賀は

 「森下が20人ピックアップで、俺は一人だけでいいの? 俺も集会メンバー探そうか?」

 「ありがとう。でも、主要メンバーはやっぱり中途半端には決めたくないし、この革命の根幹をなす重要な部分なの。だから今はそれだけで大丈夫だよ」

 「そっか。わかったよ」

 こうして、革命は徐々に動き始めていったーー


▼30日間の革命 1日目~11日目
まだお読みでない方は、ぜひ1日目からお読みください!

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