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不定期連載小説『YOU&I』36話

中野の提案はこうだった。

「春樹くんが、私達と旅行に行くのが問題なら、あの子も誘えば全部解決だよ!」

つまり、小金井も旅行に誘おうということ。その話しを聞いて、神田と市ヶ谷は顔を見合わせた。

「いや、と言っても俺らあの子ともしゃべったことないのにいきなり旅行に誘ってもなぁ」

小金井とは全く面識のない市ヶ谷は、さすがにその提案には躊躇している様子。

「うーん。私は別に代大丈夫なんだけど、春樹くんたちはどうかな? もしかして、付き合っていることを内緒にしてたりしたら、嫌がるかもよ?」

神田は國立や小金井のことを気遣っているようだったが、彼女もまた國立と小金井が交際していると勘違いしていた。

「本人たちが嫌がったらやめればいいし、まだ友達じゃないけどこれから友達になればいいんだよ! 私から声をかけてもいいかな?」

中野は二人の意見にも全く動じず、笑顔のまま話している。

「まあ別にいいけど、春樹が嫌がったらやめろよ?」

「そうね。本人たちが嫌がることはやめたほうがいいからね」

「うん! それはもちろんだよ! だからあの子に話しかけていいかな?」

中野はどうしても小金井に話しかけたいようだった。

「うーん……。まあそれを止める権利は俺らにはないから別にいいと思うけど、変に詮索したりとかするなよ?」

市ヶ谷は中野にそう言うと、

「もちろん! なら次の授業が一緒だからさっそく話しかけてみるよ!」

と中野は嬉しそうに答え、教室へと走って行った。

その後ろ姿を見て神田と市ヶ谷は

「ほんとに亜希って人のこと好きだよね。あの天真爛漫さは尊敬するよ」

「ああなったら誰も止められないしな。まあそれがあいつの良いところなんだけど、少し心配だよな」

と話した。

「心配? ……ねぇ、それってどういう意味の心配?」

市ヶ谷の“心配”という言葉を聞いて、神田は何かを察したようにニヤニヤとしながら市ヶ谷へと質問をした。

「べ、別に意味なんかないって。……何だよその笑顔は」

市ヶ谷は少し焦ったように答える。

「別にぃ? 何が心配なのかなーって思っただけだよ。まあ頑張りなさい」

神田は市ヶ谷をからかうように話して、教室へと向かっていく。

「……ったく、何なんだよ」

市ヶ谷はすこし顔を赤らめ、頭を掻きながら教室へと向かった。

▶To be continued

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