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不定期連載小説『YOU&I』53話

國立は車に乗ったのを確認すると、大久保はゆっくりと車を発進させた。助手席には小金井が乗っており、一人後部座席に座っている國立。この状況が全く飲み込めずにいる。

「あ、あの……。これは一体どういう状況なのかな?」

國立は小金井へと質問をした。

「ドライブだよ! カフェとかだとお金かかるから、こうやって先輩に車を出してもらったんだ」

「いや、それはさっき聞いたからわかるんだけど……。まず、どこへ向かってるの?」

「あー、特に決めてなかったなぁ。先輩、どこ行きますか?」

小金井が大久保へと聞くと、

「あぁ、どこでも良いよ。國立くんだっけ? いきなり連れ出してごめんね。いま戸惑ってるでしょ」

と大久保は國立へと話しかけた。

「あ、いえ……。まあ正直言うとかなり戸惑っていますが」

「そうだよな。俺だって逆の立場なら戸惑うもんな。いやー、立夏ってたまに唐突にこういうことするからお互い大変だよな」

大久保は笑ってそう話した。大久保の話しを聞いて、「この人は常識のある人だ」と國立は少し安心をした。

「大久保さんは、立夏と長いんですか?」

「そうだな。何だかんだでもう2年くらいの付き合いになるのか?」

「そうですね。私が高校生のときにバイトを始めて、それからなので2年くらいですね」

「そうなんですか……」

「國立くんは、立夏と仲良いんだ?」

「あ、いえ……。仲が良いっていうか、何て言えばいいんですかね」

「えー、仲良いでしょ?」

「い、いや。ま、まあ悪くはないけど……」

國立は照れもあってか歯切れ悪く答えた。

「そういえば、この前先輩とあそこのカフェに行ったんだけど、亜希と会ったよ」

小金井の口から亜希という言葉が出た瞬間、國立の顔が強張った。その反応を、大久保はバックミラー越しにも見過ごさなかった。

「……そ、そっか」

明らかに声のトーンが下がっている。小金井もそのことを感じ、大久保へ「ほらね」というような目線をやった。

元々、このドライブは大久保と國立を会わせるために小金井が計画したもの。大久保に二人の仲について知ってもらい、何か解決策を出してもらおうと考えていた。

小金井の目線を感じた大久保は話しを続ける。

「中野さんのこと、國立くんも知ってるんだ。二人は友達なの?」

大久保は國立の反応を確かめるため、あえてこのような質問を投げかけた。國立は下を向きながら、

「……い、いえ。そんな友達っていうような仲じゃないですよ……」

と答える。

「そうなの? あれ、なんか今度みんなで旅行に行くんじゃなかったっけ?」

大久保は確信をつくため、更に國立へと質問を投げかけた。


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