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不定期連載小説『YOU&I』20話
何も整理がつかないまま迎えた翌朝。
「……今日、このあと中野さんの家に行くのか……」
國立は鏡の前で葉を磨きながらため息をついた。なんせ、好きになった女性の家に行くなんて國立にとっては初めての経験。いくら男女でと言っても、どう対応すればいいかなんてわかるはずもなかった。
そして一番頭を悩ませたのは服装である。
もちろん、大学生なので毎日私服で登校しているのだが、中野の家に行くということで必要以上に気にしてしまう。普段よりもオシャレをした方がいいのか、それともいつも通りでいいのか。オシャレといっても、國立のクローゼットにはそんな余所行きの服装なんて入っておらず、結局いつも通りの服装で行くことになった。
「冬真とは駅前のコンビニ集合だったよな。……家に上がらせてもらうんだから、何かお土産的なものを買っておいた方がいいかな? ちょっと早めに行ってコンビニでお菓子でも買うか」
國立はそう考え、集合時間より早めにコンビニへと向かい、数個のお菓子と飲み物を買い込んだ。
(……ダメだ。家に行くなんて、意識したくなくても意識しちゃうよ。しかも俺ゲームなんてあんまりしたことないから、ダサいところをまた見られることになるかもしれない。……体調悪くなったって言って、今日行くのやめようかな……。でもドタキャンなんてしたらそっちの方が迷惑か……)
市ヶ谷を待っている間、とにかく國立の頭は緊張とネガティブなことで一杯となっていた。
「あれ? 春樹早いじゃん」
そんなことを考えている間に市ヶ谷がやってきた。
「あ、うん。ちょっと早めに着いちゃってね」
「さすが春樹だな。ちょっとコンビニ寄っていい?」
「うん、全然いいよ」
「ありがと! ちょっと待ってて!」
そういうと、市ヶ谷はコンビニの中へと入っていった。
(冬真は全然緊張している感じないな。……当たり前か。俺も冬真くらいのイケメンで人気者だったら、あんなに堂々としてられるのにな)
市ヶ谷のことを少し妬ましく思うほど、この時の國立は緊張していた。
「ごめん、お待たせ。なら行こっか。昨日亜希から家の場所聞いておいたから、俺が案内するよ」
「あ、あれ、神田さんは一緒じゃなくていいの?」
「あー智美は先に朝から亜希の家に行ってるんだって。あそこの二人は仲良いから、先に二人で遊んでるんだろ」
「そ、そうなんだ」
こうして市ヶ谷と二人で中野の家へと向かい歩き始める。コンビニから中野の家までは5分ほどで到着するらしい。その間、市ヶ谷は持ってきたゲームのことを楽しそうに話してくれたが、國立の頭には一切入ってこなかった。
それから数分後、
「お、ここのマンションの3階みたいだな」
と市ヶ谷が立ち止まり目の前のマンションを指をさす。いよいよ中野の家に到着したのであった。
▶To be continued
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