不定期連載小説『YOU&I』49話
小金井と大久保は、中野のバイト先のカフェへと向かう。
「ちょっとさ、俺がその子を見たところで何にも解決しないと思うんだけどな」
大久保は渋い顔をしてそう話した。
「でも、その人のことを知っているかどうかで話は変わってくると思うんで。ぜひ一度会ってみてください!」
小金井はそう言いながら強引にカフェへと向かっていく。
(この子、一度言い出したら引かないからなぁ。まあさっとカフェだけ行って帰るか)
小金井の性格を知っていた大久保はそんなことを考えながら小金井の後をついていった。
そして、二人はカフェへと到着する。
「とりあえず何も注文しない訳にはいかないから、何か食べる?」
大久保が小金井にそう聞くと、
「ここのケーキオススメですよ」
と小金井は答える。
「そっか。ならケーキ2つ頼むか」
ケーキを2つ注文し、席へと座る。小金井は嬉しそうな顔でケーキを頬張った。
「で、その子はどこ?」
大久保もケーキを一口食べたあと、そう質問をした。
「うーん。今の所いないみたいですね。前ははレジにいたんですが」
「へ? 今日いるから連れてきたんじゃないの?」
「いるかもしれません!」
何故か自信満々に答える小金井を見て、大久保は頭をおさえた。
「それだったらただケーキを食べに来ただけじゃん……」
「でも、先日はいましたよ!」
「そりゃシフトが入ってたからだろ。もし今日シフト入ってない日だったら来ないかもじゃん」
「確かに」
「確かに、じゃなくてさ。立夏もバイトしてんだから、それくらいわかるだろ? もう少し考えようぜ……」
「……すいません。でも、ケーキ美味しくないですか!」
小金井は全く気にしていない様子だった。
「……はぁ。何か立夏に振り回された気分だよ。まぁ、ケーキが美味しいから許すけど。このケーキ食べたら帰るからな。車もコンビニに置きっぱなしだし」
「はい。わかりました!」
そうして二人でケーキを食べていた。それから数分後、
「お疲れ様です!」
と、レジから元気な声が聞こえてきた。小金井は、その聞き覚えのある声にレジの方へと視線を向けた。
「先輩! 来ました!!!」
小金井は急に大きな声を出す。
「びっくりした。何だよ急に大きな声で」
「来ましたよ! 私の友達です!」
小金井はそう言いながらレジを指さした。その先には、確かに中野の姿があった。しかし、レジには中野以外の人も数人おり、大久保は誰が中野なのかよくわからなかった。
ただ、この場は適当に合わせて早く帰ろうと考え、
「そうなんだ。良かったよ。俺も一目見れたし、これで問題なく帰れるな。さ、ケーキ食べて帰るぞ」
と答えた。しかし小金井は、
「いや、せっかくなので挨拶だけでもしましょう! 今連れてきますね!」
と言いながらレジへと向かっていった。
「……ったく、強引な奴だな。ま、適当に話しして帰るか。あ、そういえばさっき誰かから連絡きてたな」
大久保はそう言うと、スマホを見始める。一方小金井は、
「亜希! 遊びに来たよ!」
とレジにいた中野に声をかけた。
「立夏ちゃん! また来てくれたんだね! え、えーと、今日よ春樹くんと一緒?」
「ううん。安心して。今日はバイト先の先輩と来たんだ。もし良かったら挨拶だけでもしない?」
「そうなんだ! うん、喜んで!」
どうやらこの二人は波長が合うらしく、話はスムーズに進んだ。そして、中野を引き連れ小金井は大久保の元へと向かう。
そして、
「先輩! 連れてきましたよ!」
小金井が大久保へと声をかけ、
「はじめまして! 中野亜希です!」
と中野も元気に挨拶をした。大久保もスマホから目をあげる。
「あ、大久保です。こちらこそよろし……」
挨拶をしようと中野を見た瞬間、大久保に衝撃が走った。
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