世界の一流は雑談で何をしているのか、グジバチ

元Googleの人材育成統括部長のグジバチが雑談について書いた本。

・雑談=無駄話ではなく、下記の目的を持って雑談をするべきである。
①状況を確認する
②情報を伝える
③情報を得る
④信用を得る
⑤アクションを決める
どちらかというと、small talkやchatよりは、dialogueに近い

・1on1が導入され始めた背景には、メンバーがプライベートな問題を抱えていると、仕事のパフォーマンスが著しく下がるという考え方が定着したからだが、コロナ禍によるメンバーの孤立が、1on1の必要性をさらに高めている。その目的は、管理職とメンバーの信頼を構築し、心理的安全性を確立することにある。

・雑談はこのようにプライベートな領域にも踏み込まないといけない場面があるが、不躾に「結婚する気はあるの?」と聞くと、女性だから大きなプロジェクトは任せられない、女性差別だ、と受け取られることもある。だが、目的に向かって深みのある話ができる人、こそが雑談がうまい人なのである。

・天気の話などをするのではなく、どのような情報を得たいか(または提供したいか)、戦略的に考える必要がある。家族とどのように過ごしているのか、という質問からでも、多くのことが得られる。「子供のことが大好きで、できるだけ長い時間子供と一緒にいたい」と考えている相手ならば、飲みに誘うのではなく、「できるだけ早く面談を終えて、早く帰れるようにしましょう」という結論が得られるようになる。

・雑談の際は、無条件の肯定的関心(カール・ロジャース)を持つのもよい。好き嫌いの判断はせず、何故そのように考えるのかにフォーカスする手法。

・日本はある程度同じ価値観を共有しあっている「ハイコンテクスト社会」だが、欧米は多種多様な民族や価値観の混ざる「ローコンテクスト社会」。ゆえに、雑談もチャンスと捉えて、価値観のズレが起きていないか、確認するのである。

・欧米のビジネスマンは、徹底的に相手のことを調べ尽くした上で雑談に臨んでいる。それにより、信頼を獲得してラポールを生み出している。「出身はどちらですか?」のようなくだらない質問ではなく、「著書を読みましたが、この点について私は別の見方をしています」という話をされると、前のめりで聞くようになる、など。逆に、無駄な雑談ばかりを延々としてしまうと、相手が上の立場であればあるほど、時間を無駄にした、この人とは仕事ができないな、と思われてしまう。雑談は常に学びの場であり、有益な情報(ビジネスでもそうだし、美術や歴史などリベラルアーツで学んできたはずの知識やものの見方)がないならば、その雑談は失敗なのである。

・バイアスには様々なものがある(アンコンシャスバイアス、親和性バイアス、確証バイアス)が、「子供のいる女性に大変なプロジェクトを任せるのはかわいそうだ」などという、慈善的な殻を被ったbenevolent sexismと呼ばれる差別も存在する

・雑談は予習も大事だが、復習も大事。質問と回答をメモしておくことで、質問の重複を避けることができる。

・プライベートにいきなり踏み込まないために、「結婚してますか?」とは言わず、「休日は何をしてますか?」と聞けば、子供と遊んでいますと答えがあるかもしれない。質問のアングルを変えることで、当初の目的は達成できることもある。また、相手の出してきたキーワードを活用して質問を重ねることで、プライベートに過干渉せずに情報が得られる。

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