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三つの国の魔法使いのチャイーその1

⁂オーストラリアのローレンのチャイ

出逢いはまだ片足すら夏にかかってもいないような涼やかな日の出前。海辺のチャイスタンドが彼女の館だった。

愛とパッションだけで生きているような軽やかなヒッピーのたたずまいに驚くほど澄んだ瞳は一目でわたしをドキリとさせた。でも心躍ったのはなによりもそのメニュの多さだった。

おすすめは?と聞くと有無を言わさずといった感じで、まずはわたしのチャイを飲んでみろと言った。

”オリジナルのチャイに対しての敬意はいつも心にある。でもね、だからこそチャイってものに定義はないって信じてる。だから私は自分探しのようにひたむきにわたし!っていう味を探すのを楽しんでいるの。”

どう?と聞かれたから正直に、ちょっぴりダーティでユニークな味だと言った。最高の誉め言葉だといって彼女は向日葵のように豪快に笑った。

・シナモン1本、スターアニス1つ、クローブとカルダモンは5粒ずつ、ブラックペッパー3粒、ジンジャーひとかけを砕いて1カップの水と煮詰める。

・茶葉大さじ1.5-2(あえてアッサムやセイロンなんて言わずお好みでいくのがローレン流)と1カップ弱の水を加え、煮立ったらミルク1.5-2カップとハニーを適量いれて煮つめる。(水の代わりに2.5カップのミルクや豆乳で煮たって最高よ、とも彼女は言う)

・エスプレッソ(濃いのが好きならダブル、苦手ならさらにお湯を足して100mlにする)

仕上げにシナモンとカルダモンをひとふりするのがいいそうだ。

”でも、わたしは自分の味に100%満足したことはないからあんたも人の味に満足なんてしてないでいろいろいじってくんだからね?”とつけくわえた彼女は、最後に不敵に笑った。