犬山紙子さん×前田晃平さん「パパの家庭進出の進め方〜子育て家庭と社会のリアル」イベントレポート
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犬山紙子さん×前田晃平さん「パパの家庭進出の進め方〜子育て家庭と社会のリアル」イベントレポート

noteイベント情報

働くママの皆さん、家事と育児に追われてしんどいと感じていませんか?

「女性も社会に出て活躍しよう」「男性も育児に積極的に参加しよう」……という声は聞こえてくるものの、現実は、女性が時短勤務を選択せざるを得なかったり、家事や育児の負担が女性に偏ったりしているご家庭も多いのではないでしょうか。

noteでは、5月25日に犬山紙子さん前田晃平さんをお迎えし、トークイベント「パパの家庭進出の進め方〜子育て家庭と社会のリアル」を開催しました。子育て真っ最中のお二人による今回のイベントは、予定時間を超える盛り上がりをみせました。本記事では、日本の男性の家庭進出の現状や、家庭・育児環境の改善のヒントなどを抜粋してご紹介します。

イベントのアーカイブ動画はこちらでご覧になれます!

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犬山さんプロフィール

2011年、エッセイストとしてデビューし、その後も数多くの著書を出版する犬山紙子さん。著書の中でも多くの夫婦にインタビューをされています。娘さんは現在4歳。実際に子育てを経験されているママの視点からのお話を伺いました。

前田さんプロフィール

認定NPO法人フローレンスでマーケティングや事業開発に従事されながら、政府や行政に政策を提案し実現するソーシャルアクションも行う前田晃平さん。noteで発信している社会問題や家族の日常の記事をベースにした書籍『パパの家庭進出がニッポンを変えるのだ! ママの社会進出と家族の幸せのために』が発売となりました。1歳半の娘さんをもつパパの視点からのお話や、日本の育児制度や環境について伺いました。

「男性の家庭進出」は進んでいるのか

近頃では、パパが保育園の送り迎えをしたり、リモートワークで日中もパパが育児をしたりといった話を耳にすることが増え、パパの家庭・育児進出は進んでいるようにも感じますが、実際のところはどうなのでしょうか。

前田さんは、「大前提としてすごく良くなっています」としたうえで、「ただ現実は、男性の育休取得率は7.48%くらいと、まだまだ極めてマイノリティ。新卒の男性は8割が“育休を取りたい”と言っているものの、育休を希望すると“けしからん”という雰囲気になってしまうことも……」。

001前田さん

いわゆる、“パタハラ(パタニティー・ハラスメント)”。男性の育児参加を職場の上司や同僚などが侵害する言動におよぶこと、具体的には、育児休業取得を理由に降格させるなどといった行為が、今もなお根深く残っているのです。

家事育児において男性は女性に「怒られる」立場

「保育園のお迎えのような “わかりやすい” 家事育児は進んでいますが、それ以外の ”見えないところ” に全然手が及んでいないというのが現状」と前田さん。

アンケート調査などからも、家事育児においては男性が女性に「怒られる」側であることが多いのだそう。「女性に聞くと、男性に家事育児を任せると“非効率だ”と言うんです。僕自身も、良かれと思ってやったことで地雷を踏んで、良かれと思ってやらなかったことでも地雷を踏んで……」

男性の「家事育児参加を頑張りたい」という意欲が、女性に受け入れてもらえないのはなぜなのでしょうか。

出産直後の女性は、体と心の不調や母乳育児の負担を抱えています。そんな状態のなかで、家事育児をより合理的に回せるよう試行錯誤して環境を整えています。

「仕事も同じですが、主体的にルールをつくった人(妻)と、受け身で乗っかる人(夫)との間には、“認知の差”が出てしまいがちです。結果、“夫が怒られる”という形になる」と前田さんは分析しています。「自分自身のザンゲも含まれていますが(笑)」

男性も女性も「主体性」を持って家事育児に取り組めないものか

著書の執筆のために多くの夫婦を取材している犬山さんによると、女性側からの不満の多くは、「家事育児において主体性を持っているのは多くが女性で、男性は受け身である」ということだそう。

003犬山さん

「そうなんです! なので、夫婦で一緒に、ゼロからつくっていけたらいいですよね」(前田さん)

下のグラフは、前田さんの著書に掲載されている、妻の愛情の変遷を表したもの。ここにもお二人は「主体性」の重要さを見出しています。

004グラフ出産直後に大きく変わる妻の愛情

グラフによると、出産前は妻の愛情を一番に受ける存在だった夫ですが、子どもが生まれた途端に子どもへの愛情と反比例するようにプレゼンスが一気に低下。その後、愛情が回復していくコースとさらに低迷していくコースに分かれます。「上がるか下がるかは、出産直後の産褥期に“主体的に”家事育児にコミットして、(妻と)信頼関係を築けるか、ということですよね」(前田さん)

ちなみに犬山さんは妊娠中に、当時お住まいの自治体で開催された両親学級でこのグラフを紹介されたそう。「妊娠中のタイミングで男性にこのグラフを見てもらうって本当に素晴らしいって思いました。産後のズタボロな時期に夫が主体的にスイスイ動ける状況って、本当にありがたいんですよね!」

出産前からしっかりコミュニケーションを取って、いざというときにお互いの信頼関係のもとで頼りあえる状況を作っておくことが重要なようです。

日本人は働きすぎている

以下のグラフを見ると、日本の男性は、カナダやスウェーデンの男性に比べて極端に労働時間が長いことがわかります。また、日本の男女で比べると、男性より女性のほうが家事育児を行う時間が長くなっています。

005グラフ日本のパパは働きすぎ

とはいえ、下のグラフによると、日本人男性にも「家事育児をしなくてはいけない」という自覚は芽生えてきてはいるようです。

006日本のパパも育児時間増やしている

男性の労働時間は20年前からほとんど変わらないのに、家事育児の時間がすこ〜しだけ(!!)アップしています。「子どもが生まれて、自分も家事育児しなきゃいけないが仕事は休ませてもらえない。でも妻も頑張っているから俺も頑張る……で、体調を壊してしまう。“男性の産後うつ”も増えてきているんです」(前田さん)

002前田さん

女性の社会進出・男性の家庭進出が叫ばれる世の中でありながら、日本人男性は20年前から変わらず「働きすぎ」なのです。

「子育ては自己責任」論によりSOSが出せない

妻が本当に大変な時期に、夫が「その場にいてあげたいのにできない(会社を休めない)」というのは大きな問題ですが、会社がブラックでも辞めたら生活できないというケースもあるでしょう。「だからといって夫はなにもしなくていいかと言ったらそうではなくて、妻が孤立しないように考えることはマスト。夫が外で仕事をしてくるぶん、行政の支援を調べたり、家事代行やシッターさんを頼んだり、社会とのつながりをつくったりというのが絶対に必要です」と犬山さん。

007犬山さん

しかし、「社会のサービスを子育てで利用しようとすると、“子どもがかわいそう”といったようなエビデンスもへったくれもない、余計なお世話……と言いたくなるようなことを言われることも」(前田さん)という現実も。

「“人に迷惑かけないで一人前”とか、“母親なんだから子どものことは完璧に一人でやれるべき”といった、自己責任論で追い詰められてしまう人が多いんですよね」(犬山さん)

パートナーだけが長く働くという状況をすぐに変えられないのであれば、その分、家事育児をサポートするサービスを活用することを検討するのもひとつの手。それが、「孤育て」にならないために大切なSOSなのです。

子育てにまつわる財政が少ないことによるツケは
母親が払っている

前田さんは、「SOSを出したくても、お金や機会がないという話もある」と言います。

008グラフ政府の家族関連支出

この図から、日本が「家族関連支出」(対GDP比)が先進国の中でものすごく低いことがわかります。つまり「自己責任論」というのは、社会の空気だけでなく、政策の意思決定となっているのです。ベビーシッターを頼みたくてもほとんど補助が出なくて高額であったり、病児保育室が満員で預けられなかったりといったような子育ての不便さがたくさんあるのです。

「問題は、その不便さの負担が女性にいっているところです」(前田さん)

家族関連支出が少ない→女性に負担がいく→女性が働けない→男性はもっと働かねばならない→男性は育休をとれない……という悪循環に陥ってしまっている現状に、「子育て支援にしっかりお金をかけないと! 将来しっかりと、より大きくなって帰ってくるものですよね!」と犬山さん。「誰かの犠牲の上で成り立っている社会というのは、本当に不健全ですよね」

夫婦間の「認知の歪み」をチューニングして良好な関係へ

男性の家庭進出は、男性が頑張るだけではできなくて、女性側からもどうあってほしいかをきちんと伝えていく努力が必要です。

「男性側はイーブンで家事育児をしているつもりでも、実際は女性のほうが、男性側に見えないところでより多くのことを担っているケースが多い。これが夫婦間の“認知の歪み”。家事育児が女性に偏っていることに気づいていないのです。言われるまで気づけないことでもあるので、2人でチューニングしていく必要があります」(前田さん)

「私が実践しているのは、“私とあなたは味方同士だよね”“私たちは結婚してチームだよね”というのをお互いに再確認すること」という犬山さん。「“アイシテルヨ”も大事だけれど、現実に必要なのは“合理的にどうしていくの?”という話し合いなんです」

009犬山さん前田さん

信頼関係は生き物。今の当たり前も、少し時期がたつとまた変化していくので、認知の歪みのチューニングは“定期的に”繰り返すことが不可欠のようです。

犬山さんと前田さんから新たな気づきをいただいたトークセッションでした。おふたりのnoteも合わせてご覧くださいね!

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photo by 白倉利恵(光文社写真室) text by 三浦良恵

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