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ベンチャー企業も、そこで働く人も、マネジメント次第で変わることができる。EVeMが目指したい世界とは

はじめに

EVeM代表の長村です。EVeMは、「すべてのチャレンジに、マネジメントの力を」というパーパスを掲げ、ベンチャー企業のマネジメントや経営の支援を行っています。
今回は、私の半生を振り返りながら、創業のきっかけやEVeMを通して実現したい世界についてお話しします。

見たことのない世界に飛び込んで、自分を変えたい


学生時代の私は、人の目を見て話すこともできず、友達も少ないような青年でした。

人生最大の転機が起こったのは、大学1年生のとき。友人に連れられて行ったレストランバーが、私を変えてくれました。浪人を経て大学生になった私には無縁なオシャレなお店で、お客さんも店員さんも自分が避けて通ってきたような人ばかりだったのです。

キラキラした空間に面食らいながらも、「自分だって、本当はこういう人になりたかったはずだ」と強く思った私は、その場で頼み込み、アルバイトで働き始めました。今まで避けてきた世界にあえて飛び込めば、自分は変われる。その直感を信じて夢中でアルバイトをしているうちに、気づけば人の目を見て話せるようになっていました。

この経験から、就職活動でも「自分とは違う経験や視点を持つ人と働きたい」と考え、それを実現できそうなリクルートに入社しました。

リクルートではゼクシィの営業担当になりました。式場の事業計画や資金繰りまで中小企業の社長さんと一緒に考えるソリューション型の営業スタイルで、仕事が楽しかったですね。関西でトップクラスの営業目標を担いました。仕事は順調でしたが、残念ながらマネージャーにはなれませんでした。チームを率いて、一人で実現できることよりも大きなことを実現したいと日々思いつつ叶わない状態で、いつしか自分の中で停滞感を感じるようになりました。その停滞感を打破すべく、DeNAに転職しました。

転職のきっかけは、当時DeNAの執行役員だった柴田大介さん(現 株式会社ユニラボ代表取締役COO)との出会いです。知人の紹介で会った柴田さんは、当時20代ながらも東証一部のDeNAで執行役員となり、大きな事業・組織を担っていました。視座が高く、自分の人生では出会ったことのないような人でした。

「DeNAで、自分は変われる」。アルバイトの時と同様、またもや直感でそう思った私は、DeNAに入れてほしいとその場で直訴します。夕方5時から朝の5時まで酒を酌み交わしながら拝み倒して、柴田さんからようやく「わかったよ」と言ってもらえました。(もちろん、そのあと面接も受けました)

ところが、最初に担当したゲームサイトの広告営業ではまったく結果を残せませんでした。ゼクシィと同じ広告営業でもゼクシィほどお客さんにとって重要パートナーになりきれていないサービスであるという違いがあり、リクルートで学んだことだけでは通用せず売上は半年間ゼロだったのです。

見るに見かねた柴田さんが広告代理店向けの営業にポジションを変えてくれると、すぐに成果が出て、異動して半年で全社MVPをもらいました。この激動の1年を経て、自分は大きな視点で物事を見て、方向性を示し、仕組みを作ることに長けていると気付かされました。結果を残したことでマネージャーに昇格し、その後は事業部長や関連会社の取締役などを歴任します。

そして2017年、ベンチャー企業であるハウテレビジョンへ取締役COOとして入った自分に課せられたのは、2年後のIPOに向けた経営改革でした。同社は「外資就活ドットコム」という素晴らしいサービスをもっているにもかかわらず、当時の社内は離職率が高くなっていたのです。

マネジメントの経験を積んできた私には、「良いサービスをやっているのだから、マネジメントがうまくいけば必ず成長できる」という確信がありました。約20名の既存社員と関係性を築くのに苦労しながらも組織の立て直しを図り、ターンアラウンドに奔走。結果として2年後に上場し、私のミッションは果たせたのです。

この経験から、「マネジメントの力があれば、会社は成長する」という仮説を、自分の身をもって証明できたように感じました。そしてDeNAで柴田さんが自分へしてくれたように、社員のパワーを引き出すマネジメントこそが自分の仕事だと、心から思えたのでした。

大企業とはまったく異なる、ベンチャーでのマネジメント

ハウテレビジョン退職後、フリーランスを経てEVeMを設立しました。経営改革の経験を通して感じた「ベンチャーのマネジメントは、大企業とはまったく違う」ことを、EVeMのサービスを通して伝えたいと思い、今に至っています。

これから成長フェーズに入っていくスタートアップは、良いサービスを生み出せているものの、組織がそのサービスを成長させられる状態になっていないことが多い。0から1を生み出しただけでは大きな「事業」にはなりません。そのため、同時に組織も成長させて、1から10、10から100に育て上げるマネジメントが欠かせません。その役割を担うのは、CxOと呼ばれる経営陣やマネージャーです。

私がハウテレビジョンにいた頃、マネージャーを育成する必要がありました。社内には前職でマネージャー経験があったメンバーもいたのですが、大企業からの転職者も多く、「ベンチャーでのマネジメント」ではなかったのです。

ベンチャーのマネージャーは、自分の考えを社長にぶつけて、目標やアクションプランを自ら決めて動けないと務まりません。上から降りてきた方針に従って動く大企業からのマインドチェンジが必要です。

加えて、ベンチャーは人もお金も足りないし、戦略も仕組みも整っていないことだらけの「ないない尽くし」。大企業からベンチャーへ転職すると、そうした整っていないことに対して「この会社はダメだ」「社長がダメだ」と思ってしまいがちです。

ベンチャー企業におけるマネジメントでは、さまざまなバックグラウンドを持った中途採用者がマネジメントを担当することが多く、こうした問題や認識のズレが起きがちなのに、ビジネス書や既存の研修には、ベンチャーに特化したマネジメントについて論じられているものがありませんでした。

だったら自分が作ろうと思い、資料化したものをブログで公開したところ、想像を遥かに超える反響があったんです。ベンチャーでのマネジメントに困っている人が多くいることを知り、「ニーズがあるなら、自分が伝えるべきだ」とスイッチが入った瞬間でした。

一人の考えをもとに、誰もが実践できる“型”に昇華させるのがEVeM流


私のこだわりは、「他の研修や書籍で述べられているような一般論は展開しない」ことです。多くの研修や書籍の内容は、実務までは踏み込んでいません。EVeMのサービスや私の書籍では、肝心な実務が本人に丸投げにならないよう、ベンチャーのマネジメントとはつまり何をどう行動すればいいのか、行動レベルで定義した“型”がふんだんに盛り込まれています。

その内容は、私が身をもって経験してきたことばかりです。成長できると思った環境に身を置いて自分を変え、大きな視点で仕組みを作るのを得意とし、マネジメントの経験を積んできた私という1人の人間から湧き出た考えに対して、サービスを利用した多くの人からフィードバックが集まります。そうしてブラッシュアップされ続けて生み出された理論が、EVeM流の「ベンチャーマネジメントの“型”」です。

起業家は、若いうちに起業した方が多く、会社員としてマネジメントを経験した人が実はほとんどいません。創業当時は小回りが利く人数ですが、メンバーが20人、30人に増えてきた時にマネジメントの壁にぶつかるんです。不確実で高すぎる目標を課してメンバーがメンタル不調を起こしてしまったり、社内のルールを作らず自由にさせすぎて組織が荒れたりすることが多い。

EVeMでは、こうした悩みを抱えるベンチャー経営者やマネジメントの皆さんに、なぜ高すぎる目標を掲げてはいけないのか、なぜルールは作るべきなのかといったベンチャーならではの背景も含めて伝えています。

ベンチャー企業の「エコシステム」の中で人材育成を

日本では、起業家の支援策やコミュニティは出てきたものの、ベンチャーの従業員やマネジメントへのアプローチはほとんどありません。EVeMは、起業家が生み出した事業を、永続的に発展させるために、マネジメントを支援する役割を担いたいと考えています。

ベンチャーは、大企業に比べて教育体制が圧倒的に整っていません。マネージャーも若手社員も、失敗を重ねながら手探りで仕事を進めているのが実情です。前述したように起業家自身のマネジメント経験が乏しいので教えてあげられないですし、教育体制を作る余裕もありません。

それゆえに、ベンチャー企業への就職を避ける若手の方もいらっしゃるでしょう。でも、大企業に入った優秀な社員が、最初の数年を創造性不要の仕事やOJTで埋め尽くされる話を耳にするたび、もったいないと思うんです。だからこそ、EVeMも含めたベンチャーのエコシステムを作り、その中で人を育て、ベンチャーで働きたいと思う人を増やしたいとも考えています。

私は、マネジメントの力を信じています。マネジメントによって、人の能力が引き出されて、その集合体である会社が成長する。DeNA時代、柴田さんが私にそうしてくれたように、多くのベンチャーのCxOやマネージャーを支援していきたいと考えています。


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