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19歳のリトリートメント:カンガルー島でのド田舎生活を体験してみた

突拍子もない質問ですけど、オーストラリアの大学に来ることの意義って何でしょうか?

私はよく
「豪州は東南アジアやインドから近いから旅がしやすい」
「基本的にどこの大学も教育レベルが高く、就職後の給料も高い(その分、学費の額もえげつないですが…)」
「自然が多いのでアウトドアに最適」
という3つの理由を挙げることが多いです。

特に最後のアウトドアは、先住民の歴史文化と同じくらいにオーストラリアに来る前に知っておいた方が良い点として強調したいところ。

先日イギリスから留学していた女友達とも話していたのですが、彼女の大学(UCL)では豪州に留学へ行くことは人気no.1(二番目はカナダ)に近いらしく、その目的は主にビーチや山登りなどが挙げられるそうです。

欧州や日本と比べるとオーストラリアで歴史的な景勝地を求めることは国の成り立ちからしてなかなか難しいですが、日本の20倍の国土を誇るこの国で野外活動を行うことは間違いなく一生の思い出になると思います。


Work Away in KI

ということで、前置きが長くなりましたが今回はそうした経緯も踏まえ、夏休みの1週間を使って自然の聖地とも呼ばれるKangaroo Island(カンガルー島)という場所に行ってきました!

Kangaroo Island、地元の人の言い方で言うとKI(ケーアイ)は私の住むアデレードからバスとフェリーを乗り継いで2-3時間のところにある、本土から見るとかなり辺鄙なところにある島です。

現在住んでいるアデレードからKangaroo Islandまでの道のり
(参照:https://www.kimkim.com/ab/adelaide-to-kangaroo-island)
こんな感じのフェリーに乗り込み、揺らり揺られてKIへ!地元の人にすれば当日の波はかなり穏やかだったそうですが、船に乗ることに慣れていない私は船酔いが激しくデッキの上で何もない海の景色を眺めて気分をそらしていました(笑)

驚かれる方も多いかもしれませんが、今回のKI滞在にはWork Awayというサービスを活用しているのでホテル代/ 食費は一切かかっていません

Work Awayはあまり日本ではメジャーでないのでご存じでない方も多いかもしれませんが、欧米やオーストラリアではかなり有名なボランティアサービスです。

サービスの仕組みはとてもシンプルで、遠くから旅をしてきたゲストが期間中、ホストのお仕事をお手伝いする代わりに食事と滞在場所を提供してもらうというもの。私は今回、KIに来るにあたってこの島で園芸を営む老夫婦の家に招待してもらい、農地のお手伝いをしたりしていました。

島唯一の船着き場Penneshawより:Kangaroo Islandに着いてから最初に撮った写真
ここで1週間お世話になるホストに迎えに来てもらいました

Work Awayの魅力は何といってもホストとの交流の時間

当たり前ですが、期間中はホストとも仕事や食事をともにするわけで若い時に世界中を旅してきたり多くのバックパッカーを受け入れてきた経験をもつような彼らと話す時間ほど濃いものはありません。

運がよければ近くの観光名所を案内してもらったりすることも可能です。私もKIで有名な観光名所であるPennington Bay(写真下)やProspect Hillに連れてってもらいました。

カンガルー島の産業

Kangaroo Island(KI)の人口は2016年のデータによると4,852人ほど。規模で言うと、日本の与那国島の約3倍(1,692人)というところでしょうか。島内の住人のうちの大半はリタイアをした老人夫婦であることが多く、その年齢の中央値(Medium Age)は49歳とオーストラリア全体の38.5歳、日本の48.4歳を上回っています。

カンガルー島と南オーストラリア州全体の人口比率の比較。州全体と比べて55-74歳の割合がとてつもなく高いことが分かる。(Office of the Commissioner for Kangaroo Island, 2017, Kangaroo Island: Monitoring Economic Progress)

そう。KIにある家のほとんどは仕事を引退した人たちや、リトリートメント用で別荘を持つ人たちが所有する不動産ばかり。漁業、林業、農業の他に観光業も有名で、夏場になると本島から多くの観光客が訪れます。

ただホストしてくれたKangaroo Island歴30年のおじさんによれば、急増する移住者と観光客に対して住宅の建設が追い付いていない一方で、皮肉なことに夏場のオフシーズンにしか人が来ることはないので1年のうちほとんどは誰も人が住んでいないそうです。

調べてみて衝撃だったのですが、Kangaroo Islandのホテルの平均占有率(Occupacy rate)は2016年のものを見ると44%だったということが発覚。これは2018年に沖縄県が記録した83%の約半分ということになります。

ホテル予約サイトBooking.comで調べてみましたが、夏場(12-1月)にKIでホテル滞在するとなると、その費用は一泊最低でも230ドル(約2万円)ほどはかかるでしょう(幸い、私はWork Awayで滞在させてもらっているのでゼロ円でしたが…)。島全体を挙げて大々的に観光業を押し出している訳でもないので(自然保護の観点から)、こうした結果になっているのだと予想します。

こんな感じの掘っ立て小屋をまるまる貸してもらって贅沢に1人で住んでいました。意外と夜も暖かくて良かったのだけどベットの中にアリが入ってくることだけは、やめてほしい(笑)

離島で過ごしたクリスマスと年末

Kangaroo Islandを訪れて良かったなと思うのは離島という文化的な圧力が強い場所に来ることではじめて、オーストラリアの”伝統的な”年末の雰囲気を知ることが出来たという点です。

KIに来るタイミングがちょうとクリスマスと重なる時期だったということもあり、12/25にはホストの老夫婦と3人で自作のバナナケーキとワインを少々頂きました。ホリデーらしくゆったりとしたクリスマスを過ごせて、日本に持って帰るすごく良い思い出が出来ました。

本当は近く(といっても車で20分以上)のところに住むホストの友人夫婦の家でクリスマスパーティを行う予定だったのですが、イギリスから帰省中のお孫さんとそのお父さんがコロナに罹ってしまったらしく残念ながら中止となりました。残念…!

Kangaroo island(KI)には本島アデレードに負けないくらい良いワイナリーがいくつかあります。Work Away中はホストの老夫婦にいくつか美味しいKI産ワインを飲ませてもらいました。写真にあるのはフランスのワイン醸造家Jacques Lurtonによって作られたThe Islander という白ワイン。

遠隔地で暮らすことの醍醐味・苦労

東京で生まれ育った私にとってKangaroo Islandで見つける遠隔地の生活の1つ1つはとても新鮮。目を奪われるような自然の景色を横目にゆったりと暮らす生活に憧れを抱きながらも、何かと不便な島の生活の一面も目にしてきました。

特に気になったのが水資源の少なさ。もともと乾燥地帯が多く使える資源の量も限られているオーストラリアですが、Kangaroo Islandでは特にこの傾向が強いみたいでした。基本的に私のホストは雨水をタンクに溜めておき、必要な時に使えるようにしているようです。

入浴や食器洗いの際にはなるべく水の量を少なく済ませるようにアドバイスされたり、農作業を行う際にもどのようにして水の周りを良くするか頭をこすりながら考えるホストの様子を目にしたりして、私なりに離島に住むことの難しさを実感しました。

島内で2つ目に出来る予定の海水淡水化装置(desalination plant)の建設現場。降雨量の予測が難しい分、水を確保するうえでこうした代替手段の検討は欠かせないのだろう。
もちろん名前から察していただけるように島中にはカンガルーがうじゃうじゃいます。
はじめてオーストラリアに来たときカンガルーを見てはしゃいでいた時期が懐かしいです(笑)

結構思いつきで来てしまったKIでしたが、ホストにも恵まれて2023年を締めくくる良い思い出が出来ました。


毎度ながら長くなってしまいましたが、今回はこの辺りで締めさせて頂ければと思います。夏休みということで2週間後からは主に中国アジア周辺を旅行して日本に帰国する予定です。アデレードで書く記事はこれが最後になるかなと思うので、来週はこの半年間のいくつか振り返りを行えればと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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