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12.入院中の外的要因に打ち勝つ

写真は病棟の廊下から見えた六本木方面の夜景です。普段であればワインでも飲みに行きたい!ところなんですが、私はしばらくここから出ることができせん。

そういえば入院初日も恐怖でしばらく寝付けませんでした。死ぬかもしれない経験をし、奇跡的に出血は止まり今生きているが、明日目が覚めないかもしれない、目が覚めても手が動かないかもしれない、話すことができないかもしれない。そんなことばかりが頭にグルグルしていました。それはさすがにしょうがないですね。

そんな心細さが入院7日目に再び襲われました。今回は入院中の外的要因(自分ではなく周りで起きること)に揺さぶられないようにすることが大切という話です。

ベットでも『かかかかかかか』

リハビリを受けてみて、運動(PTさん)や作業(OTさん)はそのうち生活していれば治るだろうなーという根拠のない自信があり、私の課題は舌の動きのみ。病気には根拠のない自信が一番大事!です。

ST(言語聴覚士)の先生から出された宿題はかなり難易度が高かったので、ケンシロウになるべくひたすら『(あ)たたたたたたた』とか『かかかかかかか』の練習をベットでも頑張りました。
※実際には(あ)はつけてませんので笑

これがけっこうハードル高くて、日を追うことに喋りやすくなってきたものの入院中は、か・か・か・か・・・くらいの速度しか出ませんでした。(速度をテキストでは伝えるのは無理がありますね。。)

リハビリの様子はコチラ↓↓↓

隣の患者さん

SCUは6人部屋で人の入れ替わりが激しいです。私の滞在期間中にも多くの患者さんの出入りがありました。意外なことに最近は30〜40代の方が増えているみたいで私も含めると4人いました。コロナによるリモート化は少なからず影響しているんですかね?

隣の患者さんもその一人。時折彼のベットから、か・か・か・の発生練習が聞こえてきていました。お互い会話できるような状況ではありませんでしたが、お互い頑張ろうぜ!と心の中で思いました。

彼は43歳、脳梗塞。私と同じように発音がうまくできないことと手の痺れも出ているようでした。脳梗塞の初期対応は血管の詰まりを流すため薬で血液をサラサラにして血圧を高めにコントロールするようでその影響かとても息苦しそうでした。

SCUにきた直後に先生から病状の説明を受けている時、彼は泣きだしてしまいました。3人のお子さんがいて一番下はまだ1歳。聞こえちゃって切なかった。こういうことが入院中の日常です。

容態急変。

ベットにばかりいると必然的に横になってしまうし、本を読んでいると腕が疲れるし、気がつくとウトウトしているので、日中はデイルーム(広い共有スペース、お茶が飲めたり、通話もできる)で過ごすことが多かったです。

この日も午後に引き続き、夕飯を食べ終えてからデイルームに行きiphoneで映画を見ていました。入院中に見る映画はできるだけ心が揺さぶられないのが良かったですね。ハラハラドキドキするのは血圧があがりそうなので、ちょうど良いのが釣りバカ日誌でした。あれは名作!西田敏行は天才です!

一話見終わり心地よい眠気もあり部屋に戻ると、隣の彼の容態が急変していました。病室は看護師さんたちが彼を搬送用のベットに移しているところで緊迫した状況、本人は呼吸が苦しそうで体が強張っていました。

あとで看護師さんに聞いたところ、血圧を高めに維持してたため今度は脳出血してしまったとのこと。各患者さんの血液、血管、血圧の状態を見極め処置することは非常に難しいことです。

状況を見ていることも忍びないのですぐ自分にベットに戻りましたが、カーテン越しに伝わってくる空気感に耐えられず廊下に出ました。

夜は心を弱くする

彼の身を案じる思いよりも、自分もこのあと急変してしまうのではないか?そのことが頭から離れませんでした。自分は出血が止まってからすでに数日が経っており、日々回復を実感していましたが、自信を持つにはまだ時間が足りなさすぎました。彼がこんな状況の時に自分のことしか考えられない心の狭さも嫌になりました。

人間は夜になると心が弱くなるんだと思います。どうにもできない不安に耐え涙を流しながら夜景を見ていました。

受け入れる、呼吸が心を救ってくれる

考えを止めようとしても止めることができませんでした。だったら無理をして止めなくてもよい、今は考えてしまう時なんだ。この事実を受け入れ呼吸に集中し、心が落ち着くまでじっと待つ。この不安に打ち勝つためには何事もない時を重ねることでしか心は休まらない、時間が必要なんです。自分のことだけ考えてても良い。これもしょうがない。

たぶんこれから残りの人生に必要なスキルのひとつ、修行だと思って向き合うことにしました。私はまた強くなる!

彼の無事も祈る!助かりますように。



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