文句があるなら北袋へいらっしゃい NINA'S×しまむらの話
神宮前で逢いましょう
【文句があるなら北袋へいらっしゃい
~NINA'S×しまむらの話~】
タイトルにあるNINA'S(以下、ニナス)という紅茶ブランドのことは喫茶店めぐりを記した別エッセイでもちょくちょく書かせて頂いている。
紅茶ブランド、という世界にこの言葉を持って来ていいのかは分からないが“最推し”の紅茶ブランドをあげるとしたら確実に真っ先に名前を出すお店である。
もとヴェルサイユ宮に出入りし、マリー・アントワネットが愛した香りを作った調香師が始めたフランス紅茶店というのもありカフェには彼女の胸像が飾られ、日本の旗艦店である日比谷のニナスは“サロン・ド・テ”の風格ある素敵な店内で日比谷店限定の豪華なアフタヌーンティーが楽しめる(なお、2名さまから承っているそうで私はまず同伴して頂ける人を探すこと
から始まる)。
今年の3月までは、ロビーにかつてアントワネットが実際に履いていた靴が硝子ケースに展示されていたそうで東京の片隅にあるブルボン朝の離宮の中で、ここでだけは夢を見るような心持で薔薇の紅茶を飲みたいなぁ、とサロン内の画像を見ていて思う。
さて、今日の本題はそのニナスが作り上げた素敵な世界観やここの紅茶缶でも見られる可愛らしいパターンのお洋服や小物がしまむらの店頭に並んだ、(個人的に)2024年上半期で一番嬉しかった事件の話である。
遡ること1月、ロリィタモデルの青木美沙子さん×しまむらコラボにてニナスが(実質)初めてアパレルを出すことになったのだ。
美沙子ちゃんのインスタなどを見ても、彼女もよくニナスのサロンに行っているリールをよくあげていて1月末の夜に突然Xにあげられた告知を見て、喉まで歓喜の叫びが出かかった(夜8時だぜ)のは言うまでもない。
そのとき、頭の中ではベートーヴェンの第九がかかっていた。
小物類はロリータ以外の系統でも比較的合わせやすそうなものも多く(フレンチガーリー寄りなアイテムもあった)ワンピースは2つの型が用意されていて、そのうちの1つであるニナスオリジナルのパターンが総柄になっているワンピースが素敵すぎて人生で初めて「色買い」することとなった。
気球やヴェルサイユ宮の入り口、貴婦人や薔薇などのモチーフが私のエッセイで勝手に賛辞を送っている“トワルドジュイ“というフランス伝統のテキスタイルのようなタッチの図案がワンピースや枕カバー、カバンの裏地に使われているのだ。
余談だが、マリー・アントワネットも熱心なトワルドジュイのコレクターだったらしく何百年も経ったいま、彼女をイメージしたそのテキスタイルが可愛らしいワンピースとなって雑踏を彩ることになったのだから彼女の愛したものが現代に残ってくれてよかった…と一介の素人ながら思う。
色合いもルドゥーテの薔薇のような色づかいのピンクと、フランスらしい綺麗なグレーでパターンの中にはきちんとニナスのお洒落なロゴも組み込まれている。
他に、薔薇を模した飾りの大き目なリボンヘアピンや真ん中にカメオが入り、リボンの部分にはパールがちりばめられたバレッタなど繊細かつ綺麗なヘアアクセサリーなどもあった。
ロリィタさんに人気な紅茶店、というのは数多い。
ラデュレなどマカロンで有名な紅茶店なども“マリー・アントワネット“という茶葉の銘柄やピンクとペールグリーンの組み合わせ(日本だと桜カラー、だろうか)やとりどりの可愛らしいマカロン、アフタヌーンティーが楽しめるサロン・ド・テの店舗ごとに趣をかえつつ素敵なインテリアなどでいまもアフタヌーンティーが好きな人には憧れの場所である。
そちらも勿論好きだが、単純にほとんど好みの問題でニナスのあの世界観に魅せられて7年あまりが経つ。
ラデュレの店舗に(テイクアウトのドリンクが飲めるスタンド含めて)何回か入った事があるがインテリアの世界観、というのがどこの店舗も細部までこだわられていてそこにいる間はここがアウトレットやショッピングセンターだということを忘れそうになる。
ニナスのカフェも、勿論細部まで作りこまれている。
横浜のクイーンズスクエア(いつもお世話になっている店舗である)のお店も入り口の紅茶缶をディスプレイしたワゴンは白を基調としていて要所にルドゥーテの薔薇のような造花が飾られていて、並んでいる時に待つソファはフレンチグレーのビロード地に白い骨組みのふかふかしたソファである。
入り口にはロゴが描かれた赤い絨毯が敷かれていてお洒落なティーサロンであるがじつは客層は幅広く、色々な人がお茶を楽しんでいる。
大きな窓からはコスモワールドの観覧車やワールドポーターズが見える、という立地のよさもあり若いカップルや年配のご夫婦もいれば私のようなロリィタさんが連れだってアフタヌーンティーを楽しんでいることもある。
ニナスのサロンは“日常の中を彩るサロン”と言いたいほど、実は入りやすい。
また、食事メニューも食べやすいものが多いのとスイーツ系メニューは紅茶とセットで(ホットだとニナスオリジナルの素敵なティーポットで提供される)比較的良心的な価格帯なのもポイントである。
フランス発のカフェのショーケースに飾られたケーキ、というのはラデュレなどを見ると薔薇や菫などが前面に押し出された貴婦人のドレスめいた華やかなメレンゲだったりレモンとジンジャー、など日本人の我々からしたら少し“好みが分かれる”組み合わせの生菓子もあった(私はそういうお菓子も大好きな人間だが)。
ニナスのケーキはミルクレープやモンブラン、などの定番メニューやソフトクリームが添えられたアップルパイに春先には桜シフォン、ザッハトルテなど(マリー・アントワネットの故郷であるオーストリアの代表的なケーキである)我々にも馴染みのあるケーキと紅茶のセットもある。
あたたかい紅茶をあまり飲まない人にもティーソーダ(紅茶をフルーツや炭酸で割ったもの)や紅茶のラテなんかもある。
個人的にカフェメニューでは『紅茶のフレンチトースト』を推している。
パンからベルガモットの香りが漂うフレンチトーストで、パン生地にアールグレイが練りこまれている。
気が付いたら(例によって)ニナスを語るだけのエッセイになってしまったが私のエッセイは、ほとんど、
『自分の好きな場所をひたすら語り、あわよくば今まで見てきた素敵なものを布教する』
という目的でつらつらと書いている次第である。
執筆 むぎすけ様
挿絵 麻菜様
投稿 笹木スカーレット柊顯
©DIGITAL butter/EUREKA project