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夢小説『スタウロライト 十字石の追憶』

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✙かつて「旧大陸」は独裁政権に支配されていたが、天変地異を機に反乱が勃発し、政権は崩壊した。大陸は四つの「島」に分裂し、それぞれ別々の国家に統治され、内戦が続いている。天変地異に…
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2023年5月の記事一覧

第一章1節「あの年の夏」

第一章1節「あの年の夏」

夢小説『スタウロライト 十字石の追憶』 私達は、奇跡も救済も無い世界に住んでいる…はずだった。そう、あの日までは…。

第一章1節「あの年の夏」 夕焼けでもないのに、空の色が鮮血に染まり、石が降り注ぐ。大地が轟き、海原が怒れる…それは、文字通りの驚天動地であった。あの日、火山・地震・津波が同時に勃発したかのような天変地異によって、旧大陸は分裂し、国家は滅び、大勢の人々が死傷した。被災は長く続き、犠

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第一章2節「君の声を聴かせて」

第一章2節「君の声を聴かせて」

夢小説『スタウロライト 十字石の追憶』第一章2節「君の声を聴かせて」「…つんつん、つんつん…おはよう、朝だよ!」

東部台地 貝塚村

 至近距離から頬をツンツンされている感触と共に目覚めると、眼前には、今日も私の顔を見られた事を心から喜ぶ少女の姿。御河童風の清楚な黒髪と、和風を好む少女らしいデザインの部屋着が、起きたばかりの私に、不思議なまでの安心感を与えてくれる。他方、ほんの少しだけ闇を感じて

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第一章3節「青い鳥」

第一章3節「青い鳥」

夢小説『スタウロライト 十字石の追憶』第一章3節「青い鳥」「…この角を、右に曲がって…あ、あった!」

「こちらが参道ですね。では、登りましょう」

 貝塚から坂道を下り、神殿に辿り着いた。大切な神霊を祀る所であるため、石段を登った台地上に建立されている。そのため、あの天変地異による洪水が下町を襲った時も、この神殿に避難する事で、多くの人々が命を守ったという。その際、住民に神殿への避難を促す「天の

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第一章4節「建国」

第一章4節「建国」

夢小説『スタウロライト 十字石の追憶』第一章4節「建国」 あの天変地異と、それに続く内戦の結果、旧大陸を支配していた独裁政権「人民共和国」は、急速に崩壊へと向かった。他方、人民共和国への反乱を率いた英傑達は、各地に新国家を建国していった。

東島 東部平原

「…予は今ここに、新しき帝国の開闢を宣言します!」

 瑞々しい素肌の上に、薄紫色のフリルを揺らし、金剛石のネックレスを輝かせながら、黄金色

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第二章1節「入学」

第二章1節「入学」

夢小説『スタウロライト 十字石の追憶』第二章1節「入学」(5話) 既に見てきたように、あの天変地異の後、旧大陸は四つの大島に、そして複数の国々に分裂した。それらの各勢力は、新時代の天下を巡って争い、長く続く内戦が勃発した。具体的には…。

「私とヒジリ、そして母さん(ミコト)が経験したのは『ウプシロン決戦』と『アルファ川の戦い』ね」

 私がヒジリ達の教会に拾われる前に、この世界(特に私達が居る東

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