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株価を見れば世界がわかる

 コメルサントによれば、ロシアでは証券口座の開設が相次いでいるらしい。


2023年10月の結果によると、モスクワ証券取引所に証券口座を持つロシア人の総数は2850万人に達した。同時に、今年の初めだけで500万人以上が開設し、口座の総数は5000万に近づいています。つまり、各投資家には平均してほぼ2つの証券口座があります。

Деньги и мы

 日本の証券口座数のデータは証券会社が公表している口座数しかないが、SBI証券で1,000万、楽天証券で900万ぐらいらしい。IPO抽選のためだったり微妙に扱う商品が違っていたりするし、一人で複数口座を開くケースも多いので、証券口座を持っている日本人の人口ということで考えると多くて1,000万人というふうに見ればいいだろう。そうすると共産主義ロシアよりも日本のほうが証券口座を持っている人が少ないということになってしまう(笑)。

 国の経済が発展していくときは誰も彼もが投資に興じるようになる。日本でさえ、明治維新ののち昭和恐慌の前までは国民の多くが株式投資に興じており、是川銀蔵などの相場師を生んだ。国家総動員体制の構築のなかで、企業活動を軍需産業に向けさせるために株式の配当や株主の権利が制限され、同時に国民には郵便貯金が奨励された。これによって日本企業の資金調達手段は直接金融から間接金融にシフトした。その体制がいまだに続いているので、戦後は銀行も護送船団方式で保護され、企業の資金調達も銀行融資が基本だし、国民は相変わらず貯蓄が美徳だと思っている。

 預金金利が10%とか20%とかあれば、銀行に対して貸し付けておくのも良い運用方法ということになるが(預金というのは銀行に対する貸し付けだ)、いくら預けていても雀の涙ほどの金利しかつかないのに貯金に励むというのはいかに戦前から戦後にかけての日本の金融洗脳教育が成功を収めたかという例であろう。経済規模や投資リターンに関する感覚を育むことができないために、仮想通貨で一瞬で数億稼ぐとか、不労所得を得ようみたいなバカげたおとぎ話に騙され、-100%とか場合によっては-500%ぐらいの圧倒的な成績を挙げて市場から退場していくことになる。私も昔はデリバティブが10倍に値上がりすれば100万が一回の取引で1,000万になるというような皮算用ばかりやっていたので偉そうなことは言えない。

 実は日本にいてもロシアの株を買うことができた。ウクライナ侵攻があったためにいまはルーブルの取引ができないが、それ以前はSBI証券の外国株式口座でロシア株が買えて、私もロスネフチの株を少し持っていた。ロスネフチはロシア最大の石油企業で、元ドイツ首相のゲアハルト・シュレーダーが社長を務めている。ロシアのみならず海外の証券会社に直接口座を開きたいと思っていろいろ探していたときにSBIでも外国株が取引できると知り、どうせ数字を増やすだけの話ならこれでもいいかということでロシアやベトナムの株を買っていたのである。国内の株式と違ってリアルタイムに注文を出したり約定したりしないので当初は不便を感じたが、昭和の時代の株式投資はこんなものだったのだろうと思いながら気長に取引していた。

 あるとき数字が増えるだけの投資が空しくなって、外国株もいいが不動産や貴金属など、手で触れられるモノに投資したほうがいいというように考えが変わったことがあった。株を買うにしても、配当や優待がもらえるものの方がいい。外国には株主優待というものが基本的に存在しない。インフレになるなら優待で食べ物でももらって転売したほうが配当をもらうよりも利回りが上がるだろうと考えたりもして、外国株を全部売って手仕舞った。外貨も日本円に戻した。

 そしたら例のウクライナ侵攻が始まって、ロシア株やルーブルが取引できない状態になってしまった。ロシア株には致命的ではないものの結構な額を投じていたので、これが宙に浮いていたとなると困ったことになっていた。対露制裁はロシアではなく西側を自滅に追い込んでると以前からずっと言われているが、私もその被害に遭う一歩手前だったのである。しかし私は運のいい人間なので、とくに理由もなく手仕舞って無事売り逃げることができた。こんな感じで10年来投資をやっている。とにかく大負けしないのでずっとうだうだ遊んでいられる。私の言うことに耳を傾けたほうがいいような気がしてきたでしょう(笑)。

 制裁といえば制裁を受けているロシアの銀行・ソブコムバンクが上場して100億RUB(約150億JPY)を調達するらしい。制裁下にある企業としては初の上場で、2015年ぶりの銀行の上場であるようだ。制裁とは何だったのかという感じがする。一方アメリカではベゾスもザッカーバーグも自社株を売っている。これからどうなるかは明らかだろう。今日はここまで。


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