「何を伝えるか」より「どんな体験をもたらすか」
オンラインイベントで話を聞いたり、記事を読んだりしていて、いまひとつ訴えかけてくるものが弱いと感じてしまうことがある。話の中には、おもしろい話題が含まれているのだけど、そのおもしろさがいまひとつ伝わってこないというか(人のことをとやかく言えるほど、自分も話せないし書けないのだが)。
これはひとつには「何を伝えるか」を意識するあまり「どんな体験を提供するか」という視点が欠けているためではないだろうか。編集の仕事においては著者の発信のサポートをするわけだが、そこで意識することのひとつは「これを読んだ人はどんな感覚を抱くだろうか」「読者にどんな体験を提供するだろうか」などの読書体験を考えることである。
たとえば身近なものの知られざる一面を取り上げて、発見の感動を提供するとか、何かに対して不安を感じている人の不安が晴れるようにするとか、〇〇ってすごい!とおもしろがってもらうとか。
そこから逆算して「であれば、この情報は余計かもしれない」とか、「これをもっと目立たせよう」「ここがもっと伝わるようにボリュームを大きくしてはどうか」などの発想につながっていく。
しかし往々にしてあるのは、伝えたいことがいろいろあって、その情報をできるだけ網羅しようとしまうことだ。これは書き手としては理解できるが、受け手にとってはえてして捉えどころがなくなってしまう。
写真や絵をイメージするとわかりやすいかもしれない。一般的には、よい写真や絵画は余計なものが映り込んでいない、主題が明快なものではないだろうか。
もちろん何を書いたっていいし、自由に書いて構わないのだが(このnoteもどちらかといえばそう)、より広い読者により強く伝えたいと思う場合には、「これはどんな体験を提供するか?」「どのように感じて欲しいのか?」と自問自答してみるのもいいのではないか、と思う。
Photo by Felix Mooneeram on Unsplash
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