OSIICSによる診断コードがONE TAP SPORTSで管理できるようになりました!
株式会社ユーフォリア R&Dセンターの山中です。
スポーツ現場で外傷・障害(ケガ)の管理をするメディカルスタッフさんや、研究として調査をする大学院生・研究者のみなさんにもご活用いただけるはずだと確信している機能がONE TAP SPORTSの「インジュリー機能」に反映されました!
私は、日頃から外傷・障害データを管理・モニタリングして、様々な案件のために年に何回も分析をしてはレポートを作成しています。
そんな私が心の底から思うことは、「データはcompleteな(欠損のない)状態で信頼性高く集めきるまでが命!」です。
なんとなく、複雑な解析をすることに華やかな印象を持っている方が多いと思うのですが、違うのです。信頼に足るデータを集めきることこそが集計・解析結果の有用性に大きく影響すると私は信じています!
そんな中で、いつも頭を悩ませるのが「テキスト情報」です。
例えば、「前十字靭帯断裂(右)」「ACL断裂 (右)」「右膝前十字靭帯断裂」「右 ACL断裂」。全部同じものを意味しています。こういった不揃いな情報を集計しようと思うと、本当に大変です。
「前十字靭帯」と「ACL」の表現の違いだけではなく、全角・半角のカッコなどの表記揺れがあり、サクッと集計ができません。エラーも増えてしまいます。
外傷・障害の「診断名」は種類が多くて選択肢を設けることが難しく、これまでONE TAP SPORTSでもテキストで入力するしかありませんでした。
ですが、この度、OSIICSという診断名のコードシステムを導入し、診断に関する情報を自由記述ではなく選択肢から選択できるようになりました!
OSIICSとは Orchard Sports Injury and Illness Classification System のことで、IOCの共同声明でも言及されている世界的に信頼のある診断名のコードシステムです。医療にたずさわっている方は、診断名のコードシステムといえばICD(国際疾病分類)を連想されるかもしれません。
ICDはスポーツではあまり起こり得ない疾患等も含まれており、情報が膨大で扱うのが難しかったり、逆にスポーツで頻繁に起こるのにしっくり当てはまる選択肢がないこともあります。
その点、OSIICSはスポーツで発生する外傷・障害・疾患を想定したコードシステムで、スポーツ現場で働かれるメディカルスタッフさんにとっては使いやすい構成になっているかと思います。
ONE TAP SPORTSでは、「部位/詳細部位」と「外傷・障害種類」を選択すると、診断コードの項目にて関連のある診断名が表示されるようになり、そこから選択肢を選べます。
「OSIICSを導入した」とは書きましたが、正式にいうとOSIICSの公式な日本語版はありません。表示される日本語は対応するICDの日本語訳を採用したり、各種学会が公開する用語集を参照したりしながらユーフォリアが翻訳したものです。1300以上の診断名*を翻訳する作業...ぞっとしますよね。やり切りました!
もし元の英語版でどう表現されているかを確認しながら使いたい場合には、公式なサイトであるこちらからエクセルをダウンロードし、フィルターから3桁の英数字のコード(上の画像でいうと、「AJL」や「ALS」)を検索すると確認することができます。ONE TAP SPORTSでデータ収集をして、学会発表や論文化を目指す場合には、元の英語版を参照しながら使用することをお勧めします。
診断コードで診断に関する情報を整理しておけば、集計の段階では対象となるコードを抽出してサクッと集計できます。ぜひご活用ください!
OSIICSに関する論文(一部)
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