【詩】海辺の墓地
噎せ返るような熱を撹拌しつづけて夏
やはり甘いアイスクリームを口に運び
スコールがまた気まぐれに降り注いでいく
アスファルトの白線が墓標のように連なり
立ち昇る陽炎は還ってきた魂たちだろうか
海辺の墓地には白ユリのざわめき
本能とともにはいきられなかったよと
最後に残していった人々が眠る
そこには
制約も
苦楽すら存在しない
墓石の前で足を止める
左手に握らせた白ユリを手向ける
独りで泣くような風が
鳴りやまないでいる
鳴りやまないでいる
ひんやりとした死の床によこたわり真夏のむこう側へ
(過去に投稿した詩に加筆修正を加えたものです)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?