【詩】『水槽』

ながらく水槽の中に居たもので
託された自分の名前など忘れてしまっている
バスタブ代わりのガラス張り
愛おしくはないので今ここでその手で破いて
外界ではあまりにも呼吸が拙くなってしまうので私の皮膚の外側は置き捨てることにする
人格にも皮膚は存在するのだ私は真皮から私は詩を書いている何の問題もない
まずは
どうか
深呼吸を、
ひとつ。
ことばたちを散乱したガラス片と手でパズルをしよう今はどこまでも自由だ

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