ニャンニャンウォーズ

 ネコが人間打倒を求めて起こした戦争、通称『ニャンニャンウォーズ』の勃発から三年。荒廃した地球を宇宙ステーションから眺めていたターシャはため息をついた。

「雲は晴れた?」アキコがターシャの横に座る。ユーラシア大陸を中心として巨大な灰色が空に満ちていて、とてもステーションから見通せない。

「全然。というか、ネコが超能力に目覚めるとか意味不明だよね。電気も兵器もぜんぶ吹っ飛んで家が見えない」

「ウチも見えないね。ウチさ、ネコ飼ってたんだ。名前はシーソー。どうなったのかな」

「……ねえアキコ、あれ見える?」ターシャがいう。アキコが観測スコープを覗き、息を呑む。

 地球からシャトルが迫り来る。ステーション直結のカメラが映像を複合し、状況をパネルに映し出す――名前は『シーソー号』。推測される搭乗員は、ネコ。

 ネコは一匹ではない。押し詰められたネコたちの数は百を超えている。

【続く】

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