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【追悼】現代のソクラテス、マイケル・サグルー博士へ捧げる

2024年1月16日、哲学者でYou Tuberでもあったマイケル・サグルー(Michael Sugrue、1957-2024)博士が逝去された。享年67歳だった。

何かと取っつきにくいのが哲学。言葉や文章自体が難しい事もあるが、哲学者の人生や時代背景を理解しないと、書いてあることをどう理解したらいいのかわからない/確信が持てない。

そんなときに出会ったのがサグルー博士の講義画像。博士の娘さんがアップしたらしいその講義。西洋哲学の歴史的背景から入り、ストア派哲学の解釈(徳とその実践)、その体現者として哲人皇帝と呼ばれるマルクス・アウレリウスを掘り下げる回。

その講義内容は、私が大学時代に受けた教科書をなぞるような哲学講義とは大違い。ポケットに手を突っ込み、教壇を右往左往しながら淀みなく自分の見解を語り続ける。キレッキレの一言。

そして乱暴なまでに圧倒的な知性を感じさせる、そんな講義。豊富な哲学知識、確固たる歴史的知見、哲学書を深掘りし尽くせる鋭い分析力。何よりも自分に対して揺るぎない確固たる自信を持っていることがその口調や顔、素振りから強く感じる。そしてそれが嫌みではなく心地よい。

ジョン・ロックの名言で、「読書は知的材料を与えてくれるだけ。それをものにするのは君の思考だ」というのがあるが、サグルー博士がまさに生きるお手本。哲学書をしっかりと自分のなかで消化吸収、それを批判的に考察し、自分の言葉でストーリーを紡ぎ出す。

博士のそのstory tellingは、多くの人を魅了。マルクス・アウレリウスという結構マイナーなタイトルなのにも関わらず、視聴数は1.3 millionを突破している。

そして哲学者としては著作をほぼ世に出していない点にも逆に好感を持てる。論文書くことにリソース費やすよりも、自分の理解を深め、知を追い求め、それを実践し、世に広める、まさに現代のソクラテス。

ちなみに肩書きとが学歴とかは以下のWebサイトに掲載されてるので割愛。

そして娘さんが運営しているYou Tubeチャンネルは以下

ソクラテスは死を前にして笑った。おそらく博士もきっとそうだろう。私のような凡人は、尊敬する博士の死を悲しみ、残念と思うが、それでは毒をあおる前のソクラテスにたしなめられた弟子と同じ。

なのでここではあえて、私が尊敬してやまないサグルー博士に感謝の念を伝える形で本文を締め括る。

Dear Prof. Sugrue,
Many thanks for your life changing teaching and generous sharing of your knowledge with people across the world.
You gave us the best example of Socrtates' "examined" and "philosophical" life.
R.I.P.
Sincerely,
Brusco

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