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現代

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社会人、学生時代など現代系の物語をまとめています
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#創作

絵とワードの物語 『Don't Stop Me!』 

 油を差してくるのを忘れたチェーンが悲鳴を上げる。軋むその音に構うことなく全体重をかけて…

絵とワードの物語 『顔一杯の水族館』 

 海が、ちょっぴり怖かった。  深いところは溺れそうだなとか、怪我したらどうしようとか、…

絵とワードの物語 『いっしょがいいな』

 ブランコを、漕いでいる  戯れる子供達に向けて、ゆらゆらと  うらやましそうに、手を伸ば…

絵とワードの物語 『青空にはためいて』

 お行儀良く風に揺れる洗濯物に、満ちたりた吐息を落とす。  週末の雨が洗い流した空気はと…

絵とワードの物語 『似たもの親子』

「お父さん、はい!」 「お、ありがと」  渡されたグラスはありがたいことにキンキンに冷えて…

絵とワードの物語 『青、蒼、碧』 

私はひとり、靴先で地面を弾きながら歩いている。 気持ちはすっかり土砂降りなのに、本当に雨…

絵とワードの物語 『きみにあいたくて』 

いつもなら鞄に入れっぱなしのスマホが、てのひらの中で震える。 通知の中身を把握する前に開いたメッセージ画面、添付された画像を開くと、画面いっぱいに半泣きのきみがいる。 少し拗ねたようにレンズに視線を走らせて、くちびるをとがらせて、いかにも怒ってますと言わんばかりの表情で。 けれどその写真に添えられた文章には、素直なきみの本心が、ほら。 「パパ、はやくかえってきて!」 ごめんね、あともう少しで帰るから、もうちょっとだけママと待ってて。 絵 はしもとあやね ( @enaya

絵とワードの物語 『ハッピーアワー』 

いやだってそうでしょ。この日のために頑張ったのよ。 仕事もそうそうに切り上げちゃってさあ…

絵とワードの物語 『虹の橋』 

どこまでも伸び往くその色彩は、長く、永く、ながいけれど、その先に必ず果てはある。 そう信…

絵とワードの物語 『ころころ、みちびかれ』 

 同じ場所、同じ時間で、ほぼ毎日すれ違うその人を、何とはなしに覚えちゃったのは、仕方がな…

絵とワードの物語 『とじこめられたのは』 

 ガラスのなかでぷくぷくと泡が弾ける。  瓶底に生まれ、じりじりと膨らみ、ふわりと浮いて…

絵とワードの物語 『またね』 

 いつもより少しだけ重い鞄を手に、硬い座面から立ち上がる。明日からは夏休み。明日から毎日…

絵とワードの物語 『きっかけはきらめいて』 

「ボトルメールだね」  首をかしげた私に向けて、手に持った本をポンポンと叩く。タイトルだ…

絵とワードの物語 『いっぱいしゃべるきみがすき』 

 その口は留まることを知らないみたいに、次から次へと言葉を降り積もらせていく。その話が続く間に、後ろを何人もの客が通り過ぎて行ったが、彼はおかまいなしだ。  まぶしくて目が潰れそうなのに、ガラスを見る目はそんなことお構いなしにきらきらと輝きを増していくから不思議。どうしてそんなに夢中になれるんだろう。  ねえ、きみは気付いている?  その横顔に、きみと同じ熱量で、じっと当てられている視線があることに。 「そういうところが、好きなんだよね」  語り終えて少し息をついたその姿に、