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〜目に見える変化。それだけでは勝てない理由〜 21/11/7 《プレミアリーグ2021-22 第11節》 エヴァートン vs トッテナム レビュー

こんにちは。えつしです。


今回は、プレミアリーグ21-22第11節、エヴァートントッテナムの試合をレビュー。
コンテ体制発のリーグ戦となるスパーズ。リーグ戦3連敗、4戦勝ちなしのエヴァートンとの一戦、どのような試合になったのでしょうか。


1. スタメン

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・エヴァートン
ピックフォード
コールマン-ゴッドフレイ-マイケル・キーン-ディーニュ
デルフ
ゴードン-タウンゼン-アラン-グレイ
リシャーリソン

60’ デルフ⇄トム・デイビス
82’ アラン⇄ホルゲート
90’+3’ グレイ⇄グバミン

エヴァートンは、直近のウルヴズ戦からホルゲートグバミンイウォビに代えてディーニュデルフゴードンを起用した〔4-1-4-1〕


・スパーズ
ロリス
ロメロ-ダイアー-ベン・デイビス
エメルソン-ホイビュア-スキップ-レギロン
モウラ-ソン
ケイン

71’ レギロン⇄ドハーティ、モウラ⇄ロ・チェルソ
85’ ソン⇄エンドンベレ

スパーズは、前節ユナイテッド戦からロ・チェルソに代えてレギロンを起用した〔3-4-2-1〕
直近のミッドウィーク、ECLフィテッセ戦からはスタメンの変更はなし。


2. 1st half

スパーズは、フィテッセ戦同様にCBからボールを繋いでいくことにチャレンジ。CB、WB、ボランチ、シャドーの4人で菱形を作ってのビルドアップ。


それに対し、エヴァートン〔4-1-4-1〕の布陣で、IHがボランチを捕まえたところから左右のCBに対して出ていく形でプレッシング。2分53秒スキップからデイビスへのバックパスにタウンゼンがそのまま出ていった場面のように、左右CBへのバックパスには積極的にIHの2人が追っていきます。

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スパーズがうまくボールを前進させることに成功していたのは、ピッチ中央でスキップがボールを受け、タウンゼンを引き出し、そのスペースにソンが降りてデルフを引きつけ、開いた中央へのパスコースを使ってデイビスからケインにボールが出た18分7秒
さらに、デルフ脇で受けようとするソンタウンゼンが引きつけられ、デイビスからスキップへボールが出たときにタウンゼンが寄せきれず、スキップが反転してモウラケインレギロンへと繋がり、レギロンのクロスからエメルソンのヘディングで決定機を迎えた21分52秒の場面など。


このように、IHを出してくるエヴァートンの守備に対してスパーズがうまくその裏を使うことができていたときもありました。しかし、クリーンな形でボールを運ぶ回数が多かったとは言えず。


コンテの指導で全体的な配置はある程度整ったとはいえ、CB陣はまだプレミアリーグのプレッシングに対して、ある程度引き付けてからボールを離したり、運んでいったりするプレーに関しては慣れていない様子。
例えば、ダイアーリシャーリソンを引きつければ、下図のような形でタウンゼンスキップへのコースを消しながらベン・デイビスにプレスにいくこととなり、デルフソンに釣ららればケインへの縦パス。コールマンソンを捕まえにいくようであればレギロンケインがその裏に走ったりという展開が作れるかと思います。

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実際は、WBにSHのゴードンやグレイをついて行かせ、ハーフスペースで受けようとするシャドーにはしっかりとコールマンやディーニュが潰しに行くというのを試合が進むにつれてより徹底してきたエヴァートンに対して、スパーズレギロンやエメルソンの裏抜けケインの流れる動き出てくるSBの裏へのロングボールのパターンを使えず。


CBまで出てはまたすぐにスペースを埋めに下がるエヴァートンIHタウンゼンとアラン、WBの上がりに対して献身的に下がって対応するSHゴードンとグレイ、ハーフスペースで受けるソンをアグレッシブに潰しにくるゴッドフレイやコールマンなど、プレミアリーグではそう簡単にいかないぞと言わんばかりのエヴァートンの守備に困らされるスパーズでした。


一方、エヴァートンの攻撃に関して。〔5-4-1〕で構えるスパーズに対して、エヴァートンはグラウンダーで繋いでいくことにはあまり拘らず。
CBや、フロントスペースで受けたデルフから、グレイや高い位置を取ったディーニュ、一気にDFライン裏を狙うゴードンへのロングフィードを蹴り込んでいきます。彼らの質の高いロングボールで、グレイは受けてから攻撃の起点となったり、自らPA内に仕掛けていくことができていました。


ロングカウンターやハイプレスからのショートカウンター、またシンプルなロングボールからの抜け出しやグレイの個人打開で得点を狙うエヴァートンに対し、後ろからの繋ぎやカウンターでWBが決定機を迎えるシーンを2回程作ったスパーズ


3. 2nd half

後半もスパーズがボールを持つ展開が続き、ロメロの視線を使ったフェイクでアランに縦を切らせてホイビュアへ通すパスや、ベン・デイビスタウンゼンをいなして縦パスそしてソンスキップとレイオフで前向きを作る動きでライン間にボールを届けるまでは割とできていました。
しかし、シュートを枠に届けるまではいかず。コンテの言う通り、前へのパスのミスは何度も見られ、ライン間にボールが入ってからの判断とプレーの精度はこれから向上していかなければならない点だと思いました。
相手の1stラインを越えるのに5,6人かけていたときと比べると、ライン間に入ってからのことについて考えられていることは大きな進歩ですが笑


スパーズが決定機を作れずにいると、62分11秒アランからのロングフィードに抜け出したリシャーリソンロリスがPA内で倒したとしてエヴァートンにPKが与えられます。結局オンフィールドレビューによりこの判定は覆ることとなりましたが、ここから試合のテンポは上がっていきます。

エヴァートンの勢いに乗せられるような形でスパーズも前へボールを送ろうとする意識が高くなり、もったいないパスミスなどが目立つように。
それまでもライン間にボールを入れるところまではある程度できていたので、ここで急ぎ過ぎず、ボールを一旦落ち着けて再びスパーズが保持するフェーズに持ち込めれば、ホームで勝利を得ようと前に出てくるエヴァートンを裏返して点が奪えていた気がしないでもないです。


しかし、まだ新しいフットボールに適応しようとしている最中のチームは、そこで大人な戦いをできず、90’+2分ホルゲイトが退場するもさすがに時間が足りず、0-0で試合終了となりました。


4. 試合総括、感想

明らかに今までのリーグ戦と比べて良くはなっているものの、いきなり勝てるようになるわけでもないのがサッカー。
スパーズは、エヴァートンの用意してきた守備とサイドの献身的な走りで、勝ち点3を持ち帰ることはできませんでした。


・もう少し左右のCBやWBのところで我慢して時間を作って相手のブロックがスライドしてきたところで逆サイドに展開し、ライン間にボールが入れやすかったり、ライン間にボールが入ったときに前の選手がうまくプレーできたりするようにしたい

ソンはまだイマイチハーフスペースを取る役割に慣れていない感あり。プレミアリーグの厳しいプレッシャーの中で、レイオフでシンプルに落とす以外にも、内側でボールを受けたときにやれることのレパートリーが増やせるか

ケインも未だカウンター時のパスミスなどが散見される。守備タスクとしてはデルフにボールが出ないようにずっとみているということはなく、全然難しいことをやらされていたわけではないので、早いこと以前の調子を取り戻して攻撃面での貢献をしてほしいところ

コンテになってゴールキックは蹴らずに繋ぐことがほとんどになったものの、ゴールキックのときに嵌めにこられるとWBのところで詰まって相手のスローインになったりしていたので、インテルのときのようにGKを使ってプレス回避するなど、ゴールキック時のビルドアップの形も今後作れるか

課題をまとめるとこんな感じです。

ビルドアップの配置がはっきりし、以前より格段にボールを前進させることは上手になっていて、目に見える変化がピッチ上に表れているので、システムにも慣れ、オフサイドやもったいないパス、判断ミスを減らしていくことができれば、段々得点は増えていくかと思います。


5. おわりに

番記者のGoldさんの情報によると〔3-4-1-2〕への変更も考えられているようですが、どうなるでしょうか。
個人的にはモウラのところをロ・チェルソにしたり、チームとしての守備が機能するのであれば〔3-4-1-2〕のトップ下にエンドンベレを置いたりするのはおもしろいかなと。ビルドアップの整理がされてきて、ボールを前進させることはできるようになってきたところで、前線でエンドンベレに仕事をさせられればかなりの期待は持てます。


代表ウィークには"鬼軍曹"と言われるコーチコンテの指揮の下、二部練でコンディションを上げるためにかなり追い込むトレーニング戦術トレーニングを行うようなので、次節のリーズ戦が早くも楽しみですね。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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