22/3/7 《プレミアリーグ21-22 第28節》 トッテナム vs エヴァートン レビュー
こんにちは。えつしです。
プレミアリーグ21-22第28節、トッテナム対エヴァートンの試合をレビュー。
1. スタメン
・スパーズ
ロリス
ロメロ-ダイアー-デイビス
ドハティー-ベンタンクール-ホイビィア-セセニョン
クルゼフスキ-ソン
ケイン
46’ セセニョン⇄レギロン
52’ ロメロ⇄サンチェス
67’ ソン⇄ベルフワイン
直近のミッドウィーク、ミドルズブラ戦からウィンクスに代えてベンタンクールを起用した〔3-4-2-1〕。
タンガンガとスキップが怪我で欠場。ベンタンクールとモウラが怪我から復帰。
・エヴァートン
ピックフォード
コールマン-ホルゲイト-キーン-ケニー
ドゥクレ-アラン-ファン・デ・ベーク
ゴードン-カルヴァート=ルーウィン-リシャーリソン
46’ キーン⇄ブランスウェイト
59’ ファン・デ・ベーク⇄マイコレンコ
69’ カルヴァート=ルーウィン⇄デレ・アリ
直近のミッドウィーク、ブレアム・ウッド戦からベゴヴィッチ、ブランスウェイト、パターソン、マイコレンコ、タウンゼン、ロンドンに代えてピックフォード、コールマン、ホルゲイト、ファン・デ・ベーク、カルヴァート=ルーウィン、リシャーリソンを起用した〔4-3-3〕。
キーンは体調を崩している中での出場だったそう。
2. 1st half
前節のマンチェスター・シティ戦で良いゲームをしたとは言え、勝ち点には繋げることができず、チーム状況は依然として絶不調と言っても過言ではなさそうなエヴァートン。
そんな彼らが選んだのは〔4-3-3〕。チャンピオン相手に善戦した前節のマンチェスター・シティ戦と同じフォーメーション、ほぼ同じメンバーで、唯一違うのはイウォビに代わってカルヴァート=ルーウィンがスタメンに戻ってきていることです。
頼れるCFが戻ってきたエヴァートンでしたが、ミッドウィークに試合があったとは言えこの試合に対する準備に疑問が残る出来でした。
2-1. エヴァートンのチグハグなプレス
まずはエヴァートンのボール非保持時の守備について見ていきましょう。
守備の基本配置は〔4-1-4-1〕でミドルブロックを組みます。
問題はそこからのプレスです。右サイドはソンのスピードを警戒してSBのコールマンをセセニョンまで出したくないからか、デイビスに対してSHのゴードンではなくIHのドゥクレが出てきます。
このドゥクレが出ていくタイミングと向きが悪かったと思いました。
それが顕著に表れていたのが1失点目に繋がったスパーズのビルドアップの部分で、ダイアー→デイビスのパスに対してかなり内側から寄せてしまい、デイビスに外側へ持ち出され、セセニョンとスイッチする形でプレスをかわされ、ダイアーに戻されてやり直されてしまっています。ここでセセニョンに寄せる際にステップを細かくして止まることができていないことを見ても今回このタスクをドゥクレに託すことは正解だったのだろうかと疑問に思ってしまいます。
さらにその後のダイアー→ロメロのパスでリシャーリソンがふらふらとロメロまで寄せて行ってしまい、ガラ空きになったドハティーに左SBのケニーが出ていかなければならなくなります。リシャーリソンがロメロに少し運ばれることは許容してロメロとドハティーの中間ポジションを取れていれば、というところでしたが、実際はロメロまで出て行ってしまい、さらにケニーの空けたスペースに走ったクルゼフスキに対して、CBのキーンのスライドも確かに間に合っているとは言えませんでしたが、IHのファン・デ・ベークまでもがついて行ってしまっていました。それによってこのとき右ボランチの位置にいたホイビィアをマークする人がいなくなり、ドハティーから平行のホイビィアへのパスコースが開きます。なんとかそこをリシャーリソンのプレスバックで防ぎましたが、スパーズはまたCBのロメロに戻してやり直せるように。
そしてロメロからダイアーを省略した一つ飛ばしのパスでこのときデイビスの位置に降りていたベンタンクールへ。
一度デイビスに出てそれをかわされ左サイドにスライドし、さらにまた右サイドへスライドしているドゥクレはさすがにベンタンクールに寄せることができず。
ハーフスペースに人がおらず内側は気にしなくても良いにも関わらず、なぜかスライドの足を遅めたゴードンにギリギリ触られず足元より少し先に出すベンタンクールの正確なボールが大外のデイビスに届き、エヴァートンの中盤のラインを越え、完全にゴードンを置き去りに。
そしてコールマンの内側、視野の外から走り出したセセニョンへデイビスからのスルーパスが届き、なんとか折り返したクロスはニアに飛び込んだケインが邪魔になったのもあってキーンのオウンゴールに。
この得点を見ると、そもそものドゥクレがスイッチを入れるタイミング、リシャーリソンのポジショニング、クルゼフスキのSB裏を狙う動きに誰が対応するかなど様々な問題があったことがわかります。
さらにスパーズの2得点目。
デイビスに対してゴードンがプレッシング。
そのプレッシングも、前述した通り基本的にデイビスにプレスにいくのはドゥクレであり、ゴードンはセセニョンにパスが出たときに対応できる位置取りをするということが頭にあったからか、ポジションを下げすぎていてダイアーからデイビスへのパスのボールの移動中に十分にデイビスに寄せることができていませんでした。そしてドゥクレがデイビスからソンへのパスコースを気にしてホイビィアを捨てて下がることでデイビス→ホイビィアのパスコースが開通。
ホイビィアにファン・デ・ベーク、ベンタンクールにリシャーリソンとずれることによってロメロがフリーでアンカー脇のケインに縦パスを刺すことができ、ボディフェイクでアランを欺いたケインからクルゼフスキ、ホルゲイトがクルゼフスキに出て行って空けたスペースに走り込んだソンと繋がってゴール。
このように、エヴァートンはどのようにプレッシングで嵌めていくか、そのタイミング、速さ、どれもが曖昧に見え、失点後はよりプレッシングに出るようになりましたが、前線がプレスをかけていてもIHやSBの選手がついて来れておらず、スパーズのボランチやWBの選手をフリーにしてしまうことが多々ありました。
2-2. 狭いCB間の距離
エヴァートンはボールを保持した際はコールマンがバックラインに加わって3枚を作り、右は右WGのゴードンが幅を取り、左は左SBのケニーが幅を取る形、もしくはCBは2枚のままコールマンが右の幅を取ってゴードンが内を取る配置でした。
スパーズは守備時〔5-4-1〕のブロックを組み、キーンがボールを持った際にはベンタンクールがブロックから出ていき、コールマンが幅を取る取らないに関わらず基本的に彼にはソンが出ていく形。
エヴァートンのビルドアップには、CB同士の距離が近すぎ(CBの幅が狭く)て幅を取るゴードンやケニーに対してのパスコースがなくなってしまうという問題がありました。これはコールマンがバックラインに加わる左肩上がりの形でも同様でした。
スパーズのブロックを左右に揺さぶってベンタンクールやソンがキーンやコールマンに出て来れない状況でも、彼らの立ち位置の幅が狭いために運べばより幅を取る選手へのパスは出せなくなってしまいます。
2-3. 1st halfまとめ
上述の通りエヴァートンは攻守共に整理されていないという印象で、チグハグなプレスを回避してのスパーズの擬似カウンターが炸裂したり、無理な縦パスでボールを失ってのロングカウンターであったりと常にホームチームペースで進んだ前半となり、先述した13分30秒の1点目、16分23秒の2点目、さらにロリスのロングボールにケインが競った流れでベンタンクールのダイレクトスルーパスからケインがゴールし、36分25秒には3点目。
スパーズもここ最近決して調子が良いわけではなかったですが、エヴァートンがそれを遥かに上回る低迷具合を見せつけた45分となりました。
3. 2nd half
ハーフタイムには両チーム共に交代カードを切り、エヴァートンは体調を崩している中での出場だったキーンに代えてブランスウェイト。スパーズは前半に負傷したセセニョンに代えてレギロン。
後半、スパーズは左肩上がりのビルドアップをするエヴァートンに対して3トップでバックライン3枚に合わせにいき、幅を取るゴードンにレギロンがプッシュアップしてのショートカウンターで開始41秒で4点目を決めます。さらにその9分後、コールマンとアランのワンツーでプレッシングに出たレギロンをかわした後のコールマンのパスミスから、ドハティーの正確なキックをコールマンの空けたスペースを狙ったケインがしっかりと合わせて54分51秒には5点目。
後半が始まって10分足らずでさらに2点を追加され、さすがに勝敗は喫したなと言ったところで59分にファン・デ・ベークに代えてマイコレンコを投入し、並びも〔3-4-2-1〕に変更したエヴァートン。
はっきりとCBを3人にすることで前半よりはCB間の距離は広がり幅が取れるようにはなっていました。
しかし、自らミラーゲームに持ち込んだことによって逆にスパーズのプレッシングが嵌まりやすくなってしまい、後方からパスを繋いでいくことに慣れていなさそうな選手たちのパスミスからショートカウンターを受ける機会が一段と増えました。
守備時は〔5-2-3〕の並びで臨むも、前半のチグハグなプレスで疲れ果ててしまったのか、ビハインドの状況にも関わらず前線はなかなかプレスにいけず。
プレスをかけるタイミングも定まっていないからか、3トップがプレスをかけたとしても中盤が押し上げられておらずにCBからのパスで2ボランチを使われまくってしまっていました。
いかにも下位に沈んでいるチームという雰囲気だったエヴァートンが、最後までスパーズに傷一つつけることができずに試合は終了。5-0、結果はスパーズの大勝となりました。
4. おわりに
図もなしで長々と書いてしまい申し訳ございません🙇♂️
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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