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今も現役で働きつづける風車~世界遺産・キンデルダイクの風車群~

オランダのシンボル的存在である風車。
オランダ各地に現役の風車はたくさんあるが、規模が最も大きいのはキンデルダイクの風車群だ。

キンデルダイクは、オランダ第二の都市ロッテルダムからバスで約40分の郊外にある。
バス停に着く手前、車窓に風車群が現れた。

運河で泳ぐ現地の若者

キンデルダイクの風車群は、干拓地の排水をするために1740年代に建てられた。
全部で19基の風車がある。

国土の4分の1が海面よりも低いオランダでは、排水システムは最も重要な問題だった。
アルブラセルワールト地方では、13世紀から排水の問題に悩まされており、運河を掘ることで解消していた。

しかし運河では問題が解消されず、建物によって地盤沈下は進み、川の水面は上昇した。
ポルダー内の水面を維持するために、新しい方法が求められた。

そこでオランダ人は風車を建設し、一定の水面に達すると風車のポンプでポルダー内の水を外へかき出すようにした。


風車ミュージアム

風車ミュージアムが2つあり、風車の中へ入ることができる。
風車守は、風車の中で生活しながら、風車の調整や維持を担っている。

風車の中は5階ほどあり、なかなかオシャレに作られている。
階段はとても急なので上り下りの際は注意しないといけない。

ミュージアム入場料とボートクルーズ料が含まれて19€(約2850円)だ。

ボートクルーズは1時間ほどで、とても気持ちがいい。

風車の中からの眺め

幕末の日本とのつながり

キンデルダイクでは、1855年に咸臨丸が建造され、日本へ回航された。
オランダ語では「Japan」、ヤパン号と呼ばれた。
咸臨丸は幕府の軍艦として、1860年には遣米使節団を乗せて太平洋を横断した。
勝海舟や福沢諭吉らが乗船して、日米修好通商条約の批准書を携えてサンフランシスコへ入港した。

風車群の入口には、カフェがあり、軽食を提供している。
観光地だが価格はとても良心的で、アムステルダムの観光スポットよりずっと安い。
コーヒーが3€(約450円)、サンドウィッチが7€(約1050円)だった。

風車を眺めながら休憩できるのでおすすめだ。
比較的空いているので利用しやすい。

キンデルダイクの風車群は、1997年にユネスコの世界遺産に登録された。
文化遺産は、遺跡のように今は使われず保存されているものが多いが、風車たちは今もバリバリの現役で、国土を水没から守るという極めて重要な役割を担い続けている。

どれだけ技術が進歩しても、風車で水をかき出すというシステムは変わらず、昔のままの美しい景色で訪れる人々の心も癒してくれる。


キンデルダイクの風車群へのアクセス

アムステルダムから所要2時間。

アムステルダム
↓ 鉄道
Rotterdam Blaak駅
↓ メトロABCのいずれか
Kralingse Zoom駅
↓ 489番バス
バス停Molenkade

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