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悪魔は僕の名前を知っている。

 タイトルは、映画『悪魔とダニエルジョンストン』上映時に販売されたパンフレットからだが、それから14年、今年彼は亡くなった。享年58歳。心臓発作だったそうだ  *1。

 ダニエル *2 は、長く「躁鬱病」を患っていた。それは、暴力的な一面があったり、激しい感情の起伏があったりという形で顕在化する。それらは当然のことながら、健常者や一般の人からは、理解されることもなく、というよりどうしても理解されない彼の性格の一部分だったにもかかわらず、時折、偏見がダニエルを苦しめた。

 ところで、僕の父方の祖母と母方の家系筋にある叔母は「認知症」を患っている。祖母は早くから有料老人ホームに入所することができた。叔母さんは、従姉妹が看護師兼ケアマネージャーをしていることから、自宅にいながら、週何回かデイサービスを利用している。2人とも一見なんでもないのだが、よく言われているように同じことを繰り返す、徘徊して帰り道が分からなくなる。祖母はお金を盗られたと言う。

 祖母は、元郵便局員で丁寧な文字を書き、自分にも他人にも厳しい人だった。叔父さんは、若いころは、水道工事を請け負う寡黙な職人だった。叔母さんはその叔父さんを支えて経理をやり、他の職人さんのご飯を用意したり。

 さて、中曽根元総理大臣が先般亡くなったとの報道があった。1980年代は、日本は中曽根、アメリカはレーガン、イギリスではサッチャーがともに国の宰相になり、それぞれの政治手法で政治を担った。日本における国有事業の民営化が始まったのは、中曽根政権下時の旧電電公社をNTTに、旧国鉄をJRに、旧専売公社をJTと改編したことに始まる。晩年、レーガンもサッチャーもアルツハイマー病(認知症)を患ったとの報道があった。

 今日、初めて立ち寄った定食屋さんでは、徘徊癖のある老婆が来ることが日常的になっているようだった。店主も「また来たのね」とやんわりと帰宅を促す。周りも「どこの誰か」を知っているようで、すぐに家族の人が迎えに来た。

 闇に溶け込む。そうすることで、新しいなにかが産まれることがあるのかもしれない。すぐに排他するのではなく、時間がかかっても融合する社会が必要とされているのかもしれない。誰かの夕暮れは、誰かの夜明けでもある。逆もまた然り。そんなことを考えさせられる今日という日は、日本ではクリスマスイブ。全ての人にメリークリスマス。

*1 https://hypebeast.com/jp/2019/9/daniel-johnston-died-at-58

*2 http://www.hihowareyou.com




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