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血も凍る

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怪談ツイキャス「禍話(まがばなし)」で放送された怖いお話を、色々な方が文章に“リライト”しています。それを独自の基準により勝手にまとめたものです。
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2020年12月の記事一覧

禍話リライト:呼ぶビデオの女

大学2年の夏休み。 サークル仲間のひとり、A君が 「ゴミ屋敷になっちゃってるから悪いけど手伝ってくれないか」 と、親戚の家を片付けるバイトの話を持ってきた。聞けば、報酬もけっこう良い。サークルのメンバー7~8人で行くことになった。 バイト当日、朝集合して到着したその家は一軒家。思わず「これ全部!?」と戦々恐々としたが2階建ての2階部分だけだとのこと。A君から順に玄関に入ると1階の居間から老夫婦が出てきた。「よろしくお願いしますねー」と迎え入れてくれたが特に何の説明もなく、2

禍話リライト「リベンジ」

他人のリベンジにつきあってもろくなことにならない、という話であるのと同時に、合コンなどというものに行くべきではない、という話だ。 合コンの二次会で、季節がら怖い話になったのだという。 体験者の名前は仮に田中さん、としておこう。ちょうど話の中心がご当地の怖い話だったので、田中さんはこう訊いてみることにした。 「俺この辺に住んでるんですけど、怖いところってあるんですかね? 俺、地方から出てきて就職したんで全然わからないんですけど……」 ●●トンネル、■■ダム……そんな名前が挙が

禍話リライト「一員になる家」

Aさんという女性には、Bさんという中学校時代からの女友達がいる。 中学、高校時代を共に過ごし、大学こそ違う地域の大学を選んだが、同窓会などの機会がなくてもしばしば二人で会うような仲だった。長期休暇のたびに近況を報告しあっていつもお互いを高め合うことができる、そんな仲だった。親友、というものに違いなかっただろう。 大学を卒業し、二人は地元の会社――同じ職場ではなかったが――に就職した。職場が違っても、二人の仲の良さは相変わらずだった。一か月に一回は顔を合わせて、彼氏できた?とい

禍話リライト『土葬だった家』

大学生のDさんはある日、仲のいい友人に「悪いけどちょっと付き合ってくれねぇかな」と声をかけられた。 その友人は実家が割とお金持ちの為か奢り癖というようなものがあり、Dさんも金欠のときに何度か助けてもらったことがある。 「なに、どうしたの?」と尋ねたDさんに、彼は随分と済まなさそうに用件を話し始めた。 「俺の親戚に、ちょっと人間のクズみたいな奴が居てね」 「随分と直球だな。俺、お前の親戚って皆上流階級みたいな感じかと思ってたわ」 「そういう環境にいると努力しない奴が出てくるんだ