マレーシアの会社は北京語堪能者を重視
マレーシアは多民族国家で、英語が準公用語です。しかし、ここ数年、中国企業との取引が増え、マレーシアの雇用主は英語だけでなく、北京語ができる人を重視してきているようです。
大手人材会社のジョブストリートがこのほど発表した報告によると、マレーシア国内の多くの雇用主はあまり学歴を重視していないことが判明。高い職業倫理、職務経験、企業文化への適合性、上昇志向を促進する学習能力といった要素をより重視しているそうです。
企業内では研修や自己学習プログラムを導入している会社も多く、成果を上げるためのトレーニングを施しているため、学歴はそれほど重要視されていないとも報告しています。
しかし、雇用する際の新たな「条件」として北京語の堪能者を求める雇用主が増えているともこの報告書では指摘。中国企業のマレーシア国内への参入や取引が増えていることから、北京語の読み書きができる人材の需要が高まっているとのことです。
マレーシア雇用主連盟のサイード・フスマン会長は「雇用主は正式な教育、実践的なスキル、関連する経験を組み合わせて考慮し、候補者をより総合的に評価する方向に向かっている」と述べる一方で、北京語能力の重要性も高まっているとも指摘しています。
ただ、英語が必要ないというわけではなく、結局英語と北京語ができるバイリンガルの人材の需要がマレーシア国内では高まっているというわけです。
確かにマレーシア国内で人材を探している日系企業でもときおり北京語堪能者を探している会社があります。マレーシアの日系企業でさえも北京語でのやり取りが必要になってきているというわけなのですが、どこかの国の中小企業の人たちのように自動翻訳で何とか乗り切ろうとマレーシアの人たちは考えていません。また、そのために通訳を雇おうという発想も彼らにはありません。
自動翻訳は確かに便利ではありますが、直接話さない限りビジネスの交渉も成り立たないのではないでしょうか。そんなことは何言語も操るマレーシアの人たちは身にしみて感じているのだと思います。僕はいろんな人たちと話しますが、マレーシア人の間で「自動翻訳で何とか乗り切ろう」や「通訳を雇っておこう」と考える経営者に会ったことがありません。
少し話は変わりますが、サラワク州では北京語を州の公用語の一つにすることを検討しているようです。この州は英語が公用語同然になっていますが、それだけでは足りないというわけなのです。
僕はアジア各国を歩き回っていますが、実際、英語と同等に北京語の必要性が高かったりします。外国人にとって英語を話せることは必須で、もはや「話せない」というのアジアではあり得ませんが、それだけではだんだん足りなくなってきているのも事実。プラスで北京語が話せれば、アジアで野垂れ死にするということはないのでしょう。各国にはそれぞれの公用語がありますが、それを越えて英語と北京語は重要だという傾向になってきている。それを踏まえて現地語も話せると、マレーシアやその他アジアの国で日本人でも働こうと思ったら受けがよくなります。
日本人は英語だけでかなり苦労していますが、もはや英語はできて当たり前の時代になっています。いつまでも「話せません」ではもう職は見つからず、貧乏になっていくだけです。少なくとも海外では「日本語しか話せません」ではもう生き残ってはいけません。
さらに、アジアでは向こう数年で北京語も「できて当たり前」という時代になると思いますが、さて、そんな時代になったら日本人はどうするのでしょうか。マレーシアを含めたアジアの華人は基本的に英語と北京語などが堪能です。そうなってくると日本人はもうここで差がつけられ、太刀打ちもできません。
言葉というのはコミュニケーションの単なる手段でしかありませんが、でも、この手段でさえも身に着けておかないとコミュニケーションが成り立たない。コミュニケーションが成り立たないということは仕事も思うようにいかないということになります。
中国人や華人と話をしているとわかりますが、やはりその言語で直接コミュニケーションを取るのは大変重要です。特に大陸の中国人は食事の場での話し合いを重視したりするので、ここで「話せない」となると大きな機会損失になります。
AIが席巻していますが、自動翻訳などに頼らず、自身の言葉で主張するなりしていかないと人の心には通じないものです。その意味で語学をしっかりと身につけるというのは大変大切なことだと思います。