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サラワク州では狂犬病が流行

 マレーシアのサラワク州では2017年から狂犬病が流行っていますので気をつけましょう。

 ボルネオ島の一部のサラワク州政府によると、2017年に流行宣言を発してから今年5月までに366人が狂犬病の犬や猫に噛まれました。うち66人が死亡したといいます。残り300人の症状はわかっていませんが、重症である可能性があります。

 亡くなった66人のうち59人が治療が遅かったことから死亡したとのことです。また、今年に入ってもすでに9人が亡くなっており、同州ではやはりまだ流行していると言っていいでしょう。

 同州が認定した地区は72地区。クチン市近郊のスリアン郡の22地区が最も多く、次にクチン市の7地区で、あとは州内にまんべんなく感染地区が広がっています。

 狂犬病は犬や猫、コウモリなどがその菌をもって噛むと人間に感染します。かかった動物も発症すれば死んでしまうのですが、発症する前に人間を噛むとそこからうつるのです。

 同州はキリスト教徒が多いためか犬に寛容で、野良犬も多いのです。クチンの町中でさえも大きな野良犬が結構おり、僕も一回飲み屋で後ろから触ろうとしたら噛まれそうになりました。これは僕がいけないのです。見知らぬ人が後ろから触られるのは犬は大嫌いなので。

 おそらく何も知らずに野良犬に近寄って触ろうとしたりするので、地元の人も噛まれたりするのでしょう。そうでなければ、ここまで被害が拡大するはずがありません。

 なぜ狂犬病のウイルスが来たのか原因はわかっていませんが、おそらく隣のインドネシアから持ち込まれたとみられています。サラワク州とインドネシアのカリマンタンは陸路で長い国境を接しています。ほとんどがジャングルで人も入り込めないほどですが、犬は平気で入ってきてしまうのでしょう。

 感染した犬がさらにほかの犬に感染させ、そこから人間を噛んで感染させるという構造だと思いますが、要は犬に近寄らないことが肝要です。また、犬だけではなく、病原菌は猫やコウモリなどももっており、噛まれないようにしないといけません。

 サラワク州では人間に対してだけでなく、犬に対しても狂犬病予防接種を促しています。野良犬は何万匹もいるとかでそれを全て捕まえて注射を打つという気の長くなることをやっているそうです。ペットとしての犬や猫の予防接種は同州では義務化されています。
 
 人間の予防接種も推奨されています。というのも狂犬病は治療法がなく、予防接種のみしか感染防止がないからです。僕も実はこの予防接種は受けました。3回打つのですが、2週間毎に注射をします。有効期間は2年ほどらしいのです。日本では毎年打つことが義務付けられているようですが、マレーシアでは完全に任意になっています。

 この狂犬病は噛まれてから発症するまでの潜伏期間は1~3か月ほど。噛まれた場合はその傷口を15分以上、水で洗うことがいいとされています。予防接種を受けていない場合はそのときに注射を打って対応するようです。
 
 発症してしまうと興奮、意識障害、錯乱、幻覚などの神経症状が出て、最も顕著なのは水を怖がる恐水症です。水を飲もうとしても飲めなくなるのだそうです。致死率は非常に高いため、発症したら死を覚悟するしかありません。生き残ったとしても何かしらの後遺症は残るようです。

 いずれにしても、サラワク州を訪問される方は狂犬病の予防接種をしたほうが無難です。僕は昔、バンコクで複数の野犬に路地裏で追っかけられた経験がありますが、サラワク州でも同様の事態が起こるとも限りません。できることだけはしておいたほうが身のためなのです。

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