もったいない履歴書
少し前の話になるが、履歴書は手書きがいいかデジタル(PDF)がいいかがツイッターで論争になっていた。
論争の内容はもう何度も繰り返し議論されていることで目新しいことはないのだが、この件がきっかけで、私は過去に見た何千通もの履歴書を思い浮かべた。確かに、手書きかデジタルかというポイントもそうだし、それ以外にも「もったいないなぁ」と思う書類はたくさんあった。
悪気があるわけではなく、採用する側の視点を知らないだけで損をしているケースが結構あり、いつかこのネタでnoteを書きたいと思っていた。
良い機会なので、今回はそういった履歴書についてお話ししてみたい。
志望動機の使い回し&募集要綱のコピペ
短時間で何十通、何百通もの履歴書を見ていると(実は履歴書を見るという作業はとても大変なのである)、時々「あれ?」と思うことがある。志望動機が酷似している履歴書が存在するのだ。
気になってそのうちの1つの志望動機をコピペしてGoogle検索してみると、どうもウェブサイトに載っている例文をほぼ丸パクリしているらしいことがわかる。そこに、募集の文言に書いてあったフレーズを当てはめて、なんとなくそれっぽい文章に仕上げているのだ。
たとえば、私の所属企業では最近マーケティング部のメンバーを募集したのだが、その際にはホームページにこういった文言を載せていた。
これと定型文を組み合わせて作文すると、こんな感じの志望動機になる。
見比べてみるとわかるが、ほとんど採用担当のメッセージの丸パクリである。これでは、企業についてきちんと調べたうえで応募してきていないと思われても仕方がないのではないだろうか。
おそらく今後はChatGPTなどのAIを活用した志望動機も増えてくると思うが、そうなるとさらにこのような事例が増えることが予想される。確かに内容は間違っていないし、文章にもおかしなところはない。しかし、短時間に何十通、何百通と読む側の立場に立てば、こういったテンプレ型の志望動機は「悪手」とすぐにわかるだろう。
ファイル名に履歴書メーカーの名前が入っている
これだから不採用にするということはないのだが、オンラインの履歴書メーカーを使った場合に、ダウンロードしたときのファイル名のまま送るのは避けたほうがいいかもしれない。
というのも、似た名前のファイルがたくさんあって、どの履歴書が誰のものなのかファイルを開かないとわからなくなってしまうからだ。
具体的に言うと「Yagish」という履歴書メーカーなのだが、最近流行っているのか、直近2-3年の採用ではこのYagishで作られた履歴書が非常に増えており、私のパソコンには一時的にyagish_rirekisho_20xx-xx-xx.pdfというファイルが山ほど保存されていた。
最初に開いたときにファイル名をこちら側で変更すればいいことなのだが、こういった時にもこちら側の手間を考えてわかりやすいファイル名をあらかじめつけてくれている人がいると「お、この人は仕事ができるかもしれない」と思う。
スマホ世代の人たちの中にはファイル名など意識せずに暮らしている人も多いと思うのだが、仕事をする上では、ファイル名をわかりやすく、整理しやすい形でつけることは基本的なマナーである。残念なポイントというよりは、うまくすればさりげなくアピールポイントにできるということで、覚えておいて損はないだろう。
履歴書をスクリーンショットで送ってくる
私のような世代の者にはびっくり仰天なのだが、手書きの履歴書をスマホで撮影して画像ファイルを送付してくる人が結構な確率でいる。多くは20歳前後の学生さんである。
言うまでもなく、非常に読みづらいし、内容の検索もできないので、書類を受け取る側としては避けてもらえるとありがたい。
ちなみに、こういった場合応募者が学生であれば、私は「問題なし」としている。というのも、単に知らないだけで、教えてあげればすぐに改善できるようなことだからだ。
履歴書の他のポイントもそうなのだが、基本的に学生の場合は、教えてすぐ改善できそうな不備は不問にすることが多い。そういった点も含めて、新卒採用とキャリア採用では見ているポイントが違うと言えるかもしれない。
新卒採用は主に「意欲」や「書面から滲み出る人柄」を見ていて、キャリア採用では「スキル」や「書面から滲み出る他者への配慮」を見ている。
今回の表題の「もったいない履歴書」を一言で表現すると、他者への配慮や想像力に欠けるように見えてしまう履歴書なのではないかと思う。そしてそれらの履歴書がなぜ損をしてしまうのかというと、仕事ができる人の多くは、他者への配慮ができて想像力が働く人だから。できればそういった方と一緒に働きたいという人が多いので、配慮が感じられない書類は不利になってしまうのではないかと思う。
番外編:超個人的なネガティブ評価ポイント
上記が「一般的な」もったいないポイントであるのに対し、個人的にマイナス評価をしがちなポイントがある。
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