見出し画像

突然目が見えづらくなった経験について -その後

前回、まだ本当にぼんやりとしか周りが見えず、スマホなどのアクセシビリティ機能を最大限利用しても字が書きづらい時に、下記記事を書きましたが、

緊急入院をし、いち早くステロイドパルス療法をしていただいたおかげで、先日無事に退院をすることができました。

上記記事にも書いた通り、結局私の病名は、

急性後部多発性斑状網膜色素上皮症(APMPPE)

というもので、原因は不明とのこと、いっときは本当にどうなるのだろうと思うくらいに視野が曇り、周りが見えづらくなったものの、ステロイドがよく効いてくれているおかげか、今は眼科に駆け込んだ時くらいまでに視力が回復しているように思います。

そういうわけで、今回の記事では、今回経験したことの記憶がまだ新しいうちに、自分自身色々と考えたり学んだりしたことを、少しまとめてみたいと思います。

視覚障害にもいろいろなパターンがある

今回、自分の見えづらさをどう説明するかが一つの課題でした。

もちろん病院の先生たちはプロなので、こちらのたどたどしい説明でも、おそらくこの眼の画像の状況だとこんな感じに見えているのだろうと察してくれるのか、私の見え方の状況を把握してくださいましたが、私の場合、最初ひどいときは世の中を濃霧を通してみている感じで、かつ眩しいのがとにかくきつく、かといって手元の物は見えるし、色も判別できるので、まったく見えないというのでもなく、この状況を周りにどう理解してもらうか、説明に苦労をしました。

例えば、もっとも見えなかったときは、紙に書いてる文字が、どんなに顔を近づけても見えず、よって字も書けず、鏡に映った自分の顔もぼんやりとしかみえず、外を歩くのも本当に怖かったです。

ぼやけて見えるのは専門用語的には霧視(ムシ)といい、まぶしさがだめなのは羞明(シュウメイ)ということは、今回初めて知りました。

霧視対策としては、とにかく歩いているときに、周りがよく見えておらず危ないので、まずはヘルプマークを取得し、羞明については、つばの大きな帽子とサングラスを携帯するようにしました。

世の中は見えることが前提で動いている

私自身、このような状況になるまでは、白い杖を持って歩いている方がいればさすがに意識をしましたが、世の中には盲目の方以外でも、視覚障害で見えづらい方が多くいるということをほとんど意識したことがなく、なので周りのこともあまり気にせず、どちらかというといつも早歩きでせかせか歩いている方でした。

しかしいざ自分が見えづらい立場になると、世の中、前から人が歩いてきても避けるつもりがさらさらなく、かつ歩行速度も落とさない人、ママチャリなどバランスの悪い自転車が平気で歩道を前から突進してきたり、お店の会計時にレジに表示されているでしょといわんばかりに、合計金額を読み上げてくれない店員の方、世の中は見えることが前提で動いているのだな、と、そのことを痛感することとなりました。

一方、眼科病棟に入院してみると、様々な眼の疾患により、今までクリアに見えていた人もみえづらくなることが本当に多くあるということに気づかされ、スマホなどが浸透してますます目を酷使することが当たり前の世の中になりつつある今こそ、目に頼りすぎる生活について、再考をすることも大事だな、と、少し思うようになりました。

ITガジェットのアクセシビリティと音声による情報発信の検討

今はだいぶ見えるようになったというのもありますが、一番見えづらいときでも、スマホなどのアクセシビリティ機能のおかげで、情報収集や情報発信をできたことには、本当に感動をしました。紙だと黒い紙に白いインクで文字でも書かないとどうにもならないところ、アクセシビリティ機能を使えば、すぐに背景をダークモードにでき、このように文字を書くことも、読むこともできます。

上述したように世の中は見えることが前提で動いているため、サイトによっては本当に眩しいもの(背景が白っぽかったり文字が小さく見にくかったり)も多いですが、そういうサイトについても、反転機能などを駆使すれば見ることができますし、本も、Kindleなどを用いればダークモードで読むことができるので、少なくとも視覚障害においては、ITガジェットは強力な味方になることを痛感しました。

あと、見えづらいときに結構困ったのは、セキュリテイ機能としての、二段階認証や、小さなスペースにパスワードを入れないといけないといった場面でした。普段からなるべく顔認証設定等、小さな字を見ながら何かを入力するという場面を減らしておく工夫の必要性を痛感しました。


さて、私は職業柄、どうしても文字で情報発信をすることが前提となり、今まではこのnoteも含め、当然のように文字媒体での情報発信をしてきましたが、今回の経験をきっかけに、音声による情報発信という選択についても、検討をしてみたいと考えるようになりました。

音声による情報発信は、視覚障害に限らず、例えば混雑した車内など、スマホ画面を見るのが難しいシチュエーションなどでも利用しやすいと思うので、今まで文字媒体に偏っていた情報発信の方法について再考することができたという意味では、今回いい経験をしたと考えています。


*エトワール国際知的財産事務所 

*事務所へのご依頼はこちらをご覧ください

*lit.link(SNSまとめサイト)



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?