見出し画像

29歳のひとりごと—若くないって辛いかな

この歳になって、最近良く思い出す言葉がある。

新入社員2年目の頃だっただろうか、良く面倒を見てくれていた50歳くらいの男性の上司に言われた一言、

「女性は年齢を重ねるごとに市場価値が落ちていく。女性にとって若いって最強のカードだからね。だから、ただただ歳を取るだけではだめだよ。教養とか経験とか沢山身につけて中身のある女性にならないとね。」

飲みの席だったのだが、それでも今のご時世、もしかしたらモラハラ認定をされてしまう発言にあたるのかもしれない。

当時22,23歳だった私は、まだまだ自分が若いという認識があったからなのか、「まあ、たしかにそうなのかもしれないな。仕事も頑張って中身ある女性にならないといけないな。」と思い素直に聞き入れた。

どうしてこんなことがフラッシュバックされるようになったのか。

絶賛、20代最後の1年間を過ごしている私だが、最近自分の年齢を他人に伝えることを若干憚るようになってしまった。もう若くはない。30代に突入すると、アンチエイジングの化粧品を使う人が出るくらいだから、そういう年齢に自分がなっていることに驚く。

そして、私の母が30歳の時ってどんなんだったんだろうと思い返すと、私は6歳だったのだが、母は私の友人の前で母自身のことを「おばちゃんはね…」と言っていたのだ。子供がいるいないという状況の違いはあるにしても、私が今自分のことを「おばちゃん」だなんて言いたくもないし、言えない気がするのだ。そしてやっぱり、そういう年齢に自分がなっていることに驚いてしまう。

20代前半の子からなんて、「えー、Etoileさんってそろそろ30歳なんですか?びっくり!見えない!若いですね!」と言われるようになってしまった。

私も20代前半の頃は、女性の先輩の年齢を直接聞く場面になると、「見えませんね!若くてびっくりしました!」とかしばしば言っていたが、自分が言われる立場になって初めて、案外この手の言葉は傷つくということを知った。だって、「若い」と伝えるということは、伝えている側にとっては、その人のことを「若くない年齢」と見なしているということな気がしてしまうから。

そして、私が20代前半の時、30歳前後の先輩が、「自分はもうおばさんだ」的なことを言っていると、「え?ほぼ年齢変わらないじゃないですか!そんなこと言わないでくださいよー」と本心は変わると思いつつも言っていたが、この現象が最近自分が受け手になって経験していることに気付く。

よく、「男性の仕事のポジションやら年収やらが女性の若さにあたる」なんて言う人もいる。悲しいけれど、そういった風潮が未だ日本社会にあることは事実なんだと個人的に感じる。

男性が仕事を頑張って評価されたり、年収をアップさせたりすることは時間を経るとともにできる可能性はあるけれど、女性の若さは時間を経るごとに確実に失われてしまう。「なんて皮肉なんだろう」とたまに女子会のトピックになったりするものだ。

また、29歳の私は、最近人と関わる上での立場が変わってきているなと感じるようになった。「えー分からない」「知らなかった」「できない」というような発言って、なんとなくもうやたら発するのはタブーになっている気がしているのだ。それらの言葉の連発は、若い子が言うから許され得たり、可愛いとみなされ得たりするものである。立派な大人はそんなこと軽々しく言うものではないはずだ。

「若いからまだ大丈夫だよー」「これから経験するよー」と言ったり、自分の年齢を自虐ネタにしたりすることも増えてきている。

そんな中、最近思っていることは、度を超えた年齢至上主義にはなりたくないなと思っていることだ。そして、年齢至上主義的思考がまだ世の中にあることは認識しているので、そんな考えが存在すると認めたうえで、若い子を妬むような女性にはなりたくないなということである。

まだまだ日々過ごしていると、若いっていうことだけで可愛がられたり、許されたりする場面に遭遇することがあると思う。その人が若くて、自分は若くなくて、その理由だけで自分の方が不利になってしまうような理不尽なことが起こってしまうかもしれない。

そういった時でも、「若いってね、素晴らしいことなんだよ。」と寛大に若い子に伝えられて、彼ら彼女らの将来への希望をふくらませられて、自分の教養や経験談をつかって上手く示唆できて、自分の生きてきた日々に誇りを持っている、そんな素敵な女性になっていきたいなと思っている。

もう若くはない。今までは若さは一種の自分の武器だったのかもしれない。でも、もうその武器は手放さなければならないのだ。その結構な武器の代わりに、自分の新たな武器を育んで身につけていかなければならないのだ。

29歳って本当に難しいお年頃だな、
なんて思いながら土曜日の昼中、美味しいコーヒーを飲みながら物思いに浸っております。

サポートいただきまことにありがとうございます。 読者の方の日常を少しでも彩ることができるよう、精進して参ります。 引き続き、よろしくお願いします🍀