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旅に行きたくて。

 出不精ったらもうほんとデブ。そしてときおり急に「あー京都いきたーい」みたいなことを言う。言うだけ。とくにこのご時世、ココロの「いきたーい」ばかりがつのってて。
 そんなときは過去の旅を思い出します。
 出不精ながらも、たまには仕事以外の旅に出ることもありまして。それが、ふだんの地味生活の反動のような旅なのです。いちいち説明いたしますと「下書き」で終了してしまいそうなので、思い出した順番にかいつまんで書いてみましょう。

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明日ハワイいかない?

 と、さいしょの勤め先の同期から電話が来ました。まだハタチそこそこの話です。ちょっと考えてかけ直すね、と切ってから五分後にはパスポートの期間を確認して「行くわ」と折り返し、初めてのハワイへゴー。
 なんて聞くとフットワーク軽快な、しかもちょっとバブリーな雰囲気もあるエピソードに思えますが、実情はそうでもない話。
 さいしょの会社は航空関係。ファミリーツアーという格安旅行や割引チケットが福利厚生のひとつでもありました。同期の彼女もその割引をつかって有給取ってハワイ計画を立てていたところ、同行者が急に忌引きか何かで行けなくなってさあたいへん。そこで思い出されたのがワタクシでした。
 ワタクシ、実は一年ちょっとで退職し、いわゆる「プー太郎」をしておりました(いちおうイラストレーター目指すのでと依願退職)。そこで「カオリちゃんならパスポート持ってるし、ぜったいにヒマなはず」と連絡が来たというワケです。
 ほんとうに「明日」だったかどうかは忘れちまいましたが、たしかに行った三泊五日のオアフ旅。ホテルはまったくオーシャンビューじゃない、エアコンの音ばかりうるさいアロハサーフホテルだったけれど、ハタチ、21くらいの娘には無問題(いやそうでもなかったか?)。真っ赤なアロハシャツを買ったり、ワイキキビーチでボーッとしたり、キングスビレッジで衛兵交代式を見て、アラモアナで買い物をするというハワイ入門な旅でした。期間が短かったからか、派手な思い出はないリゾート旅。何を食べたか覚えていないな。緊張していたのかな。でも誘ってもらえて嬉しかったのは確かです。

マチュピチュ見に行かない?

 と、友人に誘われていきおいで行くことに。また誘われた話。インカな響きにときめきました。結局友人に子どもがさずかり、ワタシはひとり参加となりました(このメンバーチェンジのもろもろで別の友人はイタリアひとり旅をすることになったという話もある)。現地にくわしい写真家さんとその仲間たちと行った個人旅行。
 この旅のおかげでチャンカイ文化のキュートさを知り、ハバネロ以上に辛い実を食べた人の変化を目の当たりにし、ウニのセヴィーチェの魔性のおいしさに出合い、ダチョウのしたたかさを知る経験をして、アディオスアミーガと少女に言われたうるるん滞在記でしたが、その話は長くなりますのでそのうちに。ああ、ペルーレイルに月の神殿も、思い出が連鎖してきた。
 この旅に出かけるにあたり心配事が。デザインプロダクションで働き、預貯金乏しい生活をしていたワタクシ、なんとか旅費はできたがおこづかいの余裕がない。どうしよう。利尻島に行ったりするからお金がないんだ。思えば利尻の神社でひいたおみくじも末吉。みんなは大吉だったのに。そんなとき職場で流れていたのは札幌のFMでした。なんと開局記念のプレゼントで現金が当たる週間ということで、こっそり応募することに。
 番組の最後、ひとり静かに仕事するふりをしてラジオに集中。社長が話かけていたとしてもきっと無視していたでしょう。「今日の当選者は」くううううう(念じている)「札幌市○区の」うううううう「ラジオネーム、末吉さん!」ぐおっ。変な声が出ました。「どうかしましたか?」と同僚が声をかけてくれて当選を暴露してしまったけれど、ごめん用途が決まってて何もご馳走できないからと非道な先輩ぶりを発揮。でもおかげで旅の心配は減ったのでした。ありがとう北の波ラジオ。
 そうそう、この旅のおかげで良い婦人科医さんとも知り合えたのでした。

北の娘たち

 年に数回思い出しては「はああ」と反芻する旅があります。ああまた行きたい。数年連続で2月の沖縄を訪ねました。ライターの友人たちの誘いでオフシーズンの沖縄へ。何度か行ったことはあったけれど、この旅はある意味濃かった。海で泳がないのに楽しかったのです。たぶん笑いすぎて腹筋割れました。
 なぜ2月なのか。
 ひとつは同行の三人はかなりの日ハムファンなので。この季節の沖縄ではプロ野球のキャンプが開催され、間近に選手が見られるのです。彼女たちほどじゃないけれど、ワタシもかつては阪神ファン。野次と六甲おろしを楽しめるくらいの野球好きとして、有名選手に会えば「キャッ」となります。じっさい、有名じゃない選手でもアスリートのかっこよさにキャっとなっていました。
 もうひとつは凍結路面からの解放。当時は札幌在住。冬の道は歩くだけで肩がこって疲れるのです。横断歩道が宿敵の冬から逃亡するために沖縄へ行く!といっても間違いじゃなかったはず。あの夏靴の開放感たるやっ。
 キャンプも楽しかったけれど、なんといっても沖縄のおいしいものが忘れられません。日中はレンタカーで移動して夜は居酒屋へ。みんな酔いどれなので、ホテルへは毎晩代行で帰っていました。どうして沖縄で飲む泡盛ってあんなにおいしいんだろう。
 いろんなお店に行ったけれど、やっぱりココロに残るのは名護の居酒屋おかめ。さいしょに行った年はあまりに感動して、まさかの旅先で泡盛のボトルキープ。翌日さっそくボトルを出してもらうと、なんとラベルに「北の4人娘」と書いてあります。湧き立つアラフォーたち。娘たちって歳じゃないよおお、と照れながら言いますと「この店に来た子はみんな私の娘さあ」と女将。思わぬ一言に感動してしまったのでした。また行きましょうねえ。
 はああ。また行きたいなあ。

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写真のフルーツはアテモヤ。ペルーでチリモヤのおいしさを知り、沖縄で親戚のようなアテモヤに出合って思わず購入。札幌の自宅で数日熟成させてからおいしくいただきました。でもきっと現地で食べた方がおいしかったのかな。

 取材旅も楽しいけれど、誘われ旅のゆるっとした感じ、いいんだよなあ。ともだち旅、次はいつになることやら。

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