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浮草家業、草を描く。

 誰が言ったかライジングサンが終われば夏終わると。
転勤族の我が家、この夏に仙台から札幌へと引っ越ししたもので、部屋を片付けているうちに夏が過ぎ去ったような気がします。

 先日、友人たちと鹿追町へ行った際、秋の七草の話が出ました。友人は野山を案内する人で、特に植物を勉強しまくっているガイドだけど「えーと…」と七つ出るのに視線を斜め上にして思い出していました。ワタシはというと「一個もわからん!」。というわけで検索して描いたわけです。

 ついでに九月のカレンダーも手描きしたので、個人的に使いたいと思った方はどうぞダウンロードしてくださいな。もう9月に入っちゃってるけど。
 どうしても、途中から「すずな、すずしろ」が出てきて春になっちゃうんだよな。

尾花はススキかあ。あ、そうか、幽霊の正体が枯れ尾花ってコレか。
はぎ、おばな、くず、なでしこ、おみなえし、ふじばかま、ききょう

 ここ十年で5度目の引っ越し。札幌>江戸川区>台東区>札幌>仙台>札幌と。
仙台暮らしはたったの二年。初めての宮城県、初めての東北暮らし。ワクワクしたけれど、コロナ禍で祭りも暮らしもイレギュラー。正直、東北入門編くらいで終わってしまい、心のこりだらけの転勤でした。
 札幌に帰ったこの夏、東北に夏祭りが帰ってきて、甲子園の優勝旗が白河の関を越えるという快挙。新幹線の中でアナウンスはあったのでしょうか?ますます、仙台への愛着がわいてきます(ときどきNHKプラスの東北ニュースで「やっぺえ」を見ている)。

 転勤たいへんでしょうと言われます。いいねえとも言われます。たいへんは大変なんだけど、知らない街で暮らすというのは「脳内メーカーほぼ好奇心」というワタクシにとってうれしいこと。スキさえあれば引きこもりがちなもので、数年に一度、環境が変わるというのはありがたい。

 あとね、北海道の生態系について描いている自分にとって、違う土地に住んで体感するというのは大切なこと。民俗、文化の違いを知ることも大きいと思っています。ふるさとが増えれば、井の中の蛙な常識も変わる(無い無いと思っていても持ってるんですよね、ステレオタイプな思い込みとか)。

 それでも最初に東京に行った時は軽いホームシックというかホームタウンシックになっていたようで、高架の地下鉄の音が除雪するグレーダーの音に聞こえたり、とにかく街が汚れて見えて(ちょっと変な潔癖症になりかけた)、丸の内とかの新しくてきれいな空間に行ってはホッとしたりして。
 それが、しばらく生活して慣れてくると、あちこちの町に愛着がわきまして。特に好きなのが下町と小さなお店のある町。せっかくだからお江戸気分の街に住もうと台東区にお引越し。すぐ裏に酒井抱一ゆかりの場所もあったりして。上野で肉筆画を見た後なんかは、このあたり歩いたのかなって想像するのも楽しかったです。
 上野、浅草、蔵前、谷中、根岸、下谷入谷に三ノ輪、日暮里と…。江戸の物産展好き、神社好きにはたまらん町並み。好みの書店、雑貨屋、専門店を見つけるのも面白くてね。街角がいい。
 ただ、歩きました。ほんと、歩かされる街、東京です。

 仙台はふるさと札幌と共通してるなと、最初から馴染みました。東京がアルカサル街なら、仙台と札幌はまとまっている街。一度のお出かけで用事が済んで衝動買いまでできちゃう感じ。
 青葉山、仙台城址、広瀬川。さいしょ繁華街に繰り出しづらかったので、近所の景色を楽しみましたね。美術館と博物館、モーツァルト各店、お世話になりました。今まで、暮らすならサッポロ一番だったけど、仙台もいいですね。ってか、そんなことみんな知ってるか。だって札幌から引っ越す時、何人に「仙台よいとこ」と言われたことか。

 北海道でも旅の滞在をきっかけに、ふるさとと化している町がいくつかあるけれど、引越しのおかげで、東京のあの町もあの街も、仙台のあの街もあの場所もと、思い入れのあるところが増えてうれしいかぎりです。東京にはぜんぜん行けてないし、東北も行きたかった場所がまだまだたくさん。機会をつくって行かねばね。
 おしりが重くてついつい引きこもりがちだけど、いちおう旅する絵描きを自称している浮草家業。今もJR北海道の車内でこれを書いています。ついさっき、エゾシカにぶつかって少し遅れました。
 いく先々でジャガイモが収穫されていましたよ。そしてタンチョウのペアを何組見たことか。もちろんエゾシカも。なんて、道東旅のこともそのうち描けたら。

 列車の中だと筆がすすんで長くなりすぎました。読んでくれた方ありがとう。
秋の七草、覚えたかな。はぎ、つわの、いなわしろこ、おみなえし…復習せねば。



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