【LGBTQ】トイレ使用方法への懸念、「現行法で適切に対応」。

6月23日、LGBT法が施行され、政府は、共生社会担当の小倉將信大臣のもとに担当部署を設置した。法律に盛り込まれた基本計画の策定や政策の実施状況の公表などをおこなう。

トイレ使用方法などに関する懸念、「現行法で適切に対応」

松野博一官房長官は記者会見で、性の多様性について国民の理解が必ずしも十分に進んでいない状況を踏まえ、「関係省庁による連絡会議を開催するなど、担当の小倉大臣のもとで適切に対応していく」と述べた。
「多様性が尊重され、全ての人たちが互いの人権を尊重する、生き生きとした人生を享受できる社会の実現に向けて取り組んでいく」と語っている。

また、トイレ使用方法などに関する懸念については、「(LGBT法は)理念法であり、施行によって従来の取り扱いが変わるものではなく、現行法で適切に対応される」と説明した。

小倉大臣、”男女共同参画担当大臣”や”こども政策担当大臣”も兼務。

「G7では男女平等だけでなく性的マイノリティの権利も」

6月24~25日に、G7男女共同参画・女性活躍担当大臣会合が栃木県日光市で開催される。G7広島サミットの共同声明には、ジェンダー平等の項目が設けられており、その中でLGBTQが明記された。
小倉大臣は、2022年10月にドイツで開催された男女共同参画担当大臣会合に出席した際の記者会見(18日)で、「来年のG7(栃木県)では、男女平等だけではなく、いわゆる性的マイノリティの皆様の権利を我が国としてもしっかりと守っていく」と語っていた。

「こどもの自殺対策緊急強化プラン」

2022年に自ら命を経った子ども(小中高生)の数は、514人と過去最高となっているという。
これを受け、こども家庭庁は、子どもの自殺対策強化のため、関係省庁が連携して「こどもの自殺対策緊急強化プラン」を取りまとめた。
「リスクの早期発見」・「的確な対応」・「要因分析」の3つを取り組みの重要ポイントに掲げ、1人1台端末の活用や「若者の自殺危機対応チーム」を都道府県などに設置するなど、予防に向けた対応を厚労省・文科省・警察庁など関係省庁が連携しておこなう。

LGBT法が成立したことを受け、小倉大臣は、6月20日の閣議後の記者会見で、家族や友人など周囲の人たちに理解されないことが原因で、自身のセクシュアリティ(性的指向など)に悩む子どもがいることなどを念頭に、「性的マイノリティの方は心を許せる人間関係が作れず、自殺のハイリスク層である、という切実な声がある」との認識を示し、子どもの自殺防止に向けた取り組みを強化していく考えを示した。「子どもの政策、自殺対策の観点も取り入れられるよう努力していく」と語っている。

日本版DBS

子どもの性犯罪被害防止に関連する取り組みに「日本版DBS」がある。
小倉大臣は、この日本版DBS創設に向け、秋に見込まれる臨時国会に関連法案を提出する方向で動いている。

これは、イギリスのDBS(ディスクロージャー・アンド・バーリング・サービス、Disclosure and Barring Service)を参考にしたもので、教員や保育士など子どもに接する仕事に就職する人が過去に性犯罪歴がないことを確認する仕組みである。
就職の際は、就業先に政府発行の「無犯罪証明書」を提出することを想定している。

LGBT法に「全ての国民が安心して生活できるよう留意する」規定があるが、性の多様性の相互理解を深めていくためにも、性犯罪防止の施策は重要だ。

終わりに

共生社会担当である小倉大臣の取り組みに着目し、LGBT法の留意事項に関連する内容を取り上げてみた。今後、学術研究や知識の着実な普及など様々な取り組みがおこなわれる。基本計画の策定時期の目処は立っていないようだ。多様性社会に向けた取り組みは続く。

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