少しずつ物とカタをつけていく。自分を書き換える。
スパイスチャイを作りながら
ラベンダーの束の香りがなくなってきたので
揉み込んで一つ一つぱらぱらと落としていく。
いろんなところへ飛び散るラベンダーを見ながら、おおお。元気だなぁと思う。
おしゃれに聞こえるけれど、
現実はそうではない。
気にはなっていた。
引き出しを開けたら
スパイスカレーのためのスパイスたちが
ジップロックにたくさん詰まっていたり
飴ちゃんがぽろりと
あなたどこにいたの?
みたいなところから出てきたりしていた。
玄関のラベンダーのブーケの束は
少し乾燥した色になって
香りを持たなくなっていた。
気にはなっていた。
行ってきます、ただいま。
毎日見ていた。
だけど、やらなかった。
やりたい気持ちのエネルギーと
やりたくない気持ちのパワーが噛み合ってくれなかった。
パワーはゼロ。
そのうち毎日見ているのにも慣れ
その都度気持ちも重くなるみたいだった。
小さくここだけやってみよう。
そう思い棚の中の
アクセサリーをまとめた。
こんなにごっちゃりしていたなんて。
いつもゴソゴソして同じものを身につける。
3つだけ捨てた。
けっこう疲れるな。考えたくなくなってきた。
ならば、考えなくても良い環境を作ろう。
そんなことから始めてみた。
テーブルの上にカタをつけたものたちと
今使っているものたちが合流した。
過去に必要だったものたち。
今必要なものたち。
これから使うものかもしれないものたち。
じーっと見つめる。
こんなに買ってきたんだな…
心と寂しさと物の量は比例する気がした。
お金を使いものを買い
お金を使い部屋に留め続けて
お金を使いものを捨てる。
そこから私は何を学ぶのだろう。
一つ一つに理由をみつけたくなるけれど
これからの私は感覚でもいいのかもしれないと思った。
理由なんていらないや。
無理やり理由をみつけては言い訳をしてきたから
新しく自分を書き換える時には
え?
なんかワクワクするし
心地がいいから。
これでいこうと思う。
私のパワーは
香りや色のスパイスで成り立っているみたい。
小さくなったラベンダーは袋に4袋詰めることができた。揉み込むとふわりと私の周りが優しい色で包まれるような気がした。寝室にも玄関にも置いてみた。紫の色が優しく生き返った。
『ラベンダーです。ご自由にお持ち帰りください。』
と玄関の棚に書いて置いた。
来客の友人たちが欲しかったら持って帰るだろう。
眠っていたスパイスチャイを使い切った。
またひとつ引き出しの中から
昔の私がありがとう、と消えた。
ごくごく飲んでプハーっと言ってみようかな。
やりたかったことができない時はもうやらない。
そして少しだけ手に取ってやってみることにした。
シンプルに自分をデザインしていけばいい。
私は私の形を物とカタをつけることで
また柔らかくしていきたいのだ。
そう思うこの頃。