バックパッカーズ・アンセム / Backpacker's Anthem
『バックパッカーズ・アンセム (旅人讃歌)』は、いつもとは少し違う制作プロセスを経て生まれた曲だ。実のところ、この曲のもとになったのは、私がGAPという会社を退職した後、人生の気分転換に出た旅の最中に書き溜めていたメモや日記だった。
その旅の中で、私は初めて足で国境を越える経験をした。カオサン通りにある安いチケットを売る旅行会社から、ラオスやインドへ向かったのだ。この旅の先々での経験は、20年経った今でも私に大きな影響として心に強く根付いている。
旅の途中、日本ではmixiというSNSが大流行していた。私はネパールでそのmixiに登録し、初めてのユーザーネームとして「佐野エチケット」を選んだ。旅の日記を書くたびに、その内容に関連した名前に変える仕掛けを施したりしながら、旅の報告をSNSで楽しんでいたのだ。
その後、私はタイのフリーペーパー「DACO」に記事を書くことになる。そこで聞かれてとっさにつけたペンネームが、再び「佐野エチケット」だったのだ。面白いことに、その記事の題材となったのが、当時私がタイ語を勉強していたサイアムのチュラロンコン大学の目前で、私の誕生日である2005年12月9日にオープンしたサイアムパラゴンというショッピングモールだった。今では、私はそのモールを運営するザ・モールグループで働いている。
このように人生の出来事は旅路のようにつながっていて、それを広げたり、良い方向に進ませていくのが人生そのものだと思う。そして、一人旅はその人生経験を体で学ばせてくれる。
アジアで日本人が自分なりの生き方や価値観を見出していくことが、今私たちに必要なことかもしれない。「バックパッカーズ・アンセム」は、そんな人生の旅路から生まれた願いの曲なのだ。
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