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身近に神話がある幸せ

この習慣が身について3ヶ月になろうか。出雲神話に縁のある河川沿いを毎日一時間ほど歩いている。だんだんと夏が近づいてきて、川沿いにふく風はヒンヤリとして気持ち良い。

この川というのが日本神話のヤマタノオロチ伝説に登場する斐伊川のことだ。

スサノオが高天ヶ原から追放され、降り立ったとされる船通山(島根県奥出雲町と鳥取県日南長の境に位置)に源を発し、そこから宍道湖まで流入する一級河川である。(宍道湖は島根県出雲市と松江市の間にある全国で7番目に大きく、シジミの漁獲量が日本一の湖)

スサノオがこの斐伊川沿いを歩いていると、上流から流れてきた箸を発見し、それをきっかけにヤマタノオロチを退治し稲田姫と結婚をして、日本初の和歌を詠むに至る壮大なストーリーのきっかけになった場所だ。

【日本初の和歌】
八雲立つ出雲八重垣妻ごみに八重垣作るその八重垣を

斐伊川沿いを歩いていると、スサノオが箸を発見しストーリーが始まったように、何かの発見やきっかけがあるのではないかと期待してワクワクしている。

さらに歩いていてもう一つ心地良く感じるものがある。この田植え時期に聞こえる蛙の大合唱の音だ。その壮麗さはコンサートホールを凌ぐほどに感じる。もし30代になって20代と比べて一番変わったことは何だったかと問われると、蛙の鳴き声と山の紅葉に感動する耳と目を得たことだと答える。

さてこの蛙、日本神話では「多邇具久(タニグク)」という名で登場し、隠れた活躍を見せるシーンがある。

オオクニヌシが出雲の美保の岬(島根県松江市美保関町)を訪れたとき、向こうから船に乗ってくるとても小さな神様を見つけた。

この小さな神様が名前を名乗らないため、誰か名前を知っているものはいないかと尋ねた時、タニグクが「それなら案山子のクエビコが物知りだから知っている」と助言をする。

そしてこの神様が「スクナビコナ」という名前であることがわかり、これをきっかけにオオクニヌシとスクナビコナは二人でタッグを組み国づくりをすることになる。

あまり知られてはいないが、実は出雲大社の浄の池の近くでこのタニグクの像を見ることができる。

いつもこの蛙の鳴き声が、なにか大事なことを助言をしてくれているような気がして、耳を澄せながら歩いている。

こうして出雲には身近に神話を感じられる場所がいくつもあり、普段の生活の中で楽しみながらそれを感じられることをとても幸せに思う。

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