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企業とのパートナーシップのあり方を再考する

こんにちは。番野です。

「もう11月!?」とカレンダーを二度見しました。まだ9月だと思っていました。もちろん知っていたんですけど、現実を認めたくないのです。同じ心境の方も多いのではないかと思います。

10月の記憶をたどると、ほぼ毎日研修や講演でした。徐々に対面での研修も再開しており、オンラインとは違う良さを実感しています。

研修の多くが、ソーシャルセクター向けですが、近年増えているのが企業の社員向け研修です。社会起業家の講演会や、現場訪問をコーディネートしています。

今日はその中で私が感じていることを書いてみたいと思います。


社会起業家向け研修のオブザーブに300名が参加

2002年から続く「社会起業塾」という看板プログラムがあります。NECのスポンサーシップで始まり、現在は花王、電通にも協賛頂いています。

140名を超える卒塾生の多くが現在も活躍しており、ソーシャルセクター内では石を投げれば卒塾生に当たると言われることもある有名プログラムです(本当に投げてはいけません)。

しかし、企業内での知名度は非常に低かったのが実情です。10年前は社内イベントを開催しても参加者は30~50人程度集まれば御の字で、顔見知りの方が中心でした。社会貢献活動は社会貢献部門の仕事で、他部門の方の関心を集めるのは難しい状況がありました。

それが近年は200〜300名の参加者を、コンスタントに集められるようになっています。オンライン化の後押しもありますが、コロナ前の2019年秋の対面イベントでも150名近い参加者が集まりました。

 ▲2020年に開催された花王社会起業塾のイベント風景

ビジネスセクターで起きている個人の意識の変化

近年、企業の経営方針に社会課題への取り組みが組み込まれつつあることが大きな要因の1つです。NECは社会価値創造型企業への変革を、花王はサステナビリティ以外の退路を断って前進することを、それぞれ中期経営計画で宣言しています。

それ以上に着目したいのが、社員の方の関心や意欲の高まりです。

「上司の命令で参加しました」という受け身な参加者は皆無です。社会課題の具体への興味・関心や、社会起業家の活動から自身の仕事のヒントを得たいという内発的な動機が大半です。

花王社員向けのアンケートでは、参加者満足度は毎回90%を超えています。寄せられる感想も、刺激や学びにとどまらず、行動を変えていきたいという前向きな感想が多く寄せられます。

「現場の課題に向き合うひたむきな姿勢が刺激になった」
「常にニーズに向き合う姿勢は、自身の業務でも忘れてはいけないと感じた」
「自身の職種を活かして、企業としてもっと社会に貢献できるのではないかと感じた」

依然として社会課題は山積み、力不足を痛感する日々ですがこうした機会を頂くたびに「援軍がたくさんやって来た!」と感じます。当然これはNECや花王以外でも起きていることです。

この延長として、企業の社員向けの研修を人事部門やサステナビリティ部門、事業開発部門から受託することも増えています。10月は地方創生や介護・福祉の現場訪問をコーディネートしていました。

企業の変容にかかわる意義は何か?

今でこそ、チーム内でこれらの取り組みを積極的に位置づけられていますが、以前はそうではありませんでした。

「なぜ企業の人材育成を手伝うのか」
「社会起業家の支援が自分たちの仕事ではないのか」
「研修となれば一定の売上は頂けるが、そのためだけにやるのか」

チームメンバーで、議論を重ねてきました。関心を持ちきれないメンバーがいたのも事実です。

私も、社会起業家向けの研修に社員が100人単位でオブザーブするという企画には最初は大きな違和感があったのが事実です。見世物にはしたくない。

ただ、それでも何かやる意味がありそうだ。言語化を試みました。

「私たちの仕事はソーシャルセクターの支援ではなく、より良い社会の実現のために、一人ひとりの思いや力を引き出すことだ。であれば、それは企業セクターの個人も対象ではないか。そしてそれがソーシャルセクターの人が願う変革にもつながるはずだ」

チーム内や企業の担当の方との対話を重ね、今はそう考えています。

正直に告白すると、以前は無意識に企業の人を切り離して考えていました。「支援だけしてくれればいい」という傲慢なメンタルモデルもあったと思います。冷静に考えると、社員の人が意義を感じられないのに支援が続くわけがないのですが。

いまは前提を書き換えて、お一人お一人の心に語りかけ、その向こうにいる人にも届くような機会をつくることに腐心しています。

とはいえまだまだ長い道のりです。読者の皆様とも何かご一緒できることがあればと思います。ぜひ感想・ご提案をお寄せください。

◎感想・ご提案・リクエストはこちらから:フォーム



- INFORMATION -

【11/7(月)締切】
《ザルツブルクグローバルセミナー主催》
日印トランスフォーマティブ・テクノロジー・
ネットワーク参加者募集


本プログラムは、アジアの技術進化の最前線にある2つの国、日本とインドから、社会課題解決にテクノロジー活用で挑むイノベーターを集め、参加者の経験・知見の共有を目的に実施するものです。参加者は「医療システム」「アクセシビリティ、モビリティ、インクルージョン」「快適に生活できるコミュニティの充実」に関連する3つの課題について、テクノロジーと社会課題解決の両側面から議論し、解決策やアイデアを共に考え推進します。

【プログラム概要】
◎応募締切:2022/11/7(日本時間23:59)
◎プログラム期間
 ・オンライン交流:2023年1月〜6月(月3時間のオンラインセッション)
 ・対面交流(オーストリア・ザルツブルク):2023年6月9日~13日
◎活動分野:
 ・ヘルスケア、インクルージョン、モビリティ、地域活性
◎活動職種:
 ・R&D関連(アカデミア、企業研究員など)
 ・政策・戦略立案関連(行政、ジャーナリスト、教育者、市民社会アクティビストなど)
 ・実装・商品化関連(ビジネス、社会起業家など)
◎参加費:無料(日本財団による助成)

【こんな方におすすめ】
◎国内外でテクノロジーによる社会課題解決に取り組む仲間と知り合い、
 ネットワークをつくりたい方
◎異文化交流・国際プログラムへの参加といった非日常体験から、
 現在の活動へのブレクスルーを見つけたい方
◎社会課題解決におけるテクノロジー活用の具体的な共同プロジェクトに
 取り組みたい方

【お問い合せ】
ETIC.では、2021年秋よりインターナショナルチームを立ち上げ、現在海外のリーダー育成プログラムへの参加者推薦や接続支援を行っています。応募書類作成に関する相談や、参加中の面談フォローなど、グローバルな体験機会における伴走が可能です。お気軽にご相談ください。
担当:インターナショナルチーム(川島)info@etic.or.jp




【11/25(金)15時締切】
子どもの貧困問題の解消に取り組む事業に最大300万円の寄付を提供
「SMBCグループライジング基金」2022年度寄付先募集



ETIC.は、2021年4月に発足した日本初となる「フィランソロピック・プラットフォーム」のパートナー団体です。この度、プラットフォームの事務局である一般社団法人ジャパン・フィランソロピック・パートナーズが運営協力する、SMBCグループライジング基金の2022年度寄付先募集が開始されましたので、みなさまにご案内させていただきます。

SMBCグループは、社会的責任を果たすための『良き企業市民』として、豊かな社会を実現すべくさまざまな社会貢献活動を行っています。その取り組みの一つとして、役職員有志の給与から毎月天引きする積立募金制度『SMBCグループライジング基金』を運営しており、2021年度より一般公募で寄付先募集を行っております。

本年度の公募対象となるのは、「子どもの貧困」をテーマとし、子どもの貧困問題の解消に取り組む事業です。ライジング基金の寄付が、次世代を担う子どもが直面する貧困問題の解決の一助となり、SMBCグループが目指す社会のサステナビリティ実現への一歩となると考えています。

また、本年度はライジング基金の社会的インパクト評価を実施し、ライジング基金の寄付が社会に与えるインパクトを可視化してまいります。寄付先団体におかれましても、対象事業の評価を実施いただきます。実施の際は専門機関の伴走もありますので、これを機に社会的インパクト評価にチャレンジしたいという団体に、ぜひご応募いただきたいと考えております。

皆さまからのご応募を心よりお待ちしています。

◆募集概要
◎公募対象:国内外の子どもの貧困問題の解消に取り組む事業です。
◎採択予定団体:5団体(予定)。最大300万円の寄付を提供いたします。
◎対象法人:NPO法人、社団法人、財団法人、社会福祉法人等の非営利組織です。
◎インパクト評価:専門機関の伴走のもと事業のインパクト評価を実施していただきます。
◎公募締切:2022年11月25日(金)15時です。
◎寄付先募集URL:https://jphilpartner.com/rising2022oubo
※詳細は寄付先募集URLをご確認ください。




【11/8(火)9(水)説明会開催】
仕事を通した越境体験をしてみませんか。
《Beyondワークβ(ベータ)》参加者募集!



Beyondワークβは、今年始まった「まだ名もない挑戦」に
加担できる人材マッチングの機会です。

仕事を通して他団体の活動に関わってみることで、
自社の取り組みや役割を俯瞰できたり、
新しいネットワークが広がったり、
また、自分のスキルや経験の棚卸にもなります。

職員やスタッフの方に越境体験をさせてみたい方は
​​​​この情報をご展開ください。また、ご興味ある方は
ぜひ、プロジェクト説明会にお越しください。

◆Beyondワークβオンライン説明会概要
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◎日時:
・11月8日(火)12:00-13:30
・11月9日(水)16:00-17:30
※開催日によって登壇するプロジェクトオーナーが異なります。
詳細はpeatixページ等でご確認ください。

◎参加費:無料
◎お申込み:Peatixページからお願い致します。
◎プログラムの詳細はこちらをご覧ください。


Editor's Note - 編集後記 -

今回のメールマガジンはいかがでしたか?
企業の社員の方の社会貢献に対する関心の高さは、年々高まっていることを日々の仕事を通じて私も感じています。皆様のなかにも変化を感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

さて、この『ソーシャルイノベーションセンターニュース』を配信してから1年以上が経ち、徐々に読者数も増え、「読んでいるよ!」というお声をいただくことも増えてきました。
そこで、​​​​皆様からの感想やご提案、取り上げるテーマに関するリクエストなどを入力できるフォームをご用意いたしました。

お気軽に感想などをお寄せください。お待ちしております!(ETIC. 川上)

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