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NPO採用のトレンドと資質の見極め方、社会変革プログラム、デジタル活用、他「ETIC.ソーシャルイノベーションセンターNEWS」2022年1月25日号

こんにちは。ソーシャルイノベーション事業部の白鳥です。

年も明け、新年度が始まる4月に向けて、各団体の採用意欲が高まる時期になってきました。

今回はインタビュー企画として、ETIC.が運営する求人サイト『DRIVEキャリア』で活動している腰塚に、NPO・ソーシャルベンチャー業界の求職者の最新トレンドや採用のコツについて聞きました。

腰塚 志乃 / 事業本部 DRIVE
学生時代にETIC.を通じてベンチャー企業でインターンを経験。大学卒業後、ITメーカーへ入社し、ソリューション営業を6年間担当。縁があり、2010年ETIC.へ参画。インターンシップを通じた中小企業・ベンチャー企業の経営支援、ソーシャルビジネス創業支援を約10年間行ってきた。2020年よりDRIVEキャリアを担当。2児の母。

―はじめに、腰塚さんの現在のお仕事内容について教えて下さい。

私はETIC.に参画して去年で10年目になります。これまでの9年間は社会起業家支援と中小企業の経営支援としてのインターンシップを中心にやってきましたが、去年からDRIVEキャリアチームに異動し、人の採用支援や採用を通じて組織をサポートするお仕事をしています。

DRIVEキャリアでは人材紹介を担当しています。採用したい組織側とは、人材ニーズや採用方法の相談に乗っている一方、求職者とのキャリア相談も担当し、仕事以外の広くどういうキャリアを歩んでいきたいかの相談にも乗っています。どちらのニーズも大事にしながら最適なマッチングを心がけています。

また、起業支援と人材紹介の両方をやっているので、経営課題としての相手の組織の人材の話に的確に対応できるのがETIC.の強みだと思っています。

求職者の求めることが直接の社会貢献に変化している

―コロナ禍によって求職者の動向に変化はありますか?

とある市場調査ではコロナ禍で転職を検討しはじめたきっかけの一位はやりがいを感じないからとなっています。

私も仕事の中で実感していて、大きく2つの理由があると考えています。1つ目の理由は、外部環境の要因として、コロナ禍でコミュニケーションが薄れたおかげで、これまでは仕事の意義をなんとなく身近な人との繋がりで感じていたものが見出しにくくなっているためですね。2つ目は、内的な価値観として、社会に目が行きやすくなっている状況にあるため、手応えを持って社会に貢献したいと感じていると思われます。

求職者が仕事に求めるやりがいがイコール社会貢献となっていて、今の仕事も社会の役には立っているが、もっと直接的に手応えを感じたいと感じている人が多い印象です。そのため、NPO・ソーシャルベンチャー業界は注目されていますし、実際に求職者も増えています。

カジュアル面談を通じたお互いのフィットの確認がより重要に

―動向に変化のある中で、いい人材との接点の持ち方に変化はありますか?

検索ワードで多くなっているのが「カジュアル面談」です。カジュアル面談とはエントリー前に求職者と企業がカジュアルに話をして、お互いの知りたい情報を交換する機会のことです。

求職者としては、今は企業が社会に資するのは当たり前という感覚が広まっている中で、相手企業が社会に本当に良い事業を行っているのか、そして、社会性が強くても自分の価値観にフィットしているのかを、より深く知って判断をしたいというニーズがあります。

そこで、これまで通りの採用説明会を続けるよりは、ベーシックな部分は動画公開にして、あとはカジュアル面談の申込みを受け付けたほうが打率が上がる印象です。採用説明会にはとりあえず話を聞いてみたいだけの人もいますが、基本的な部分は動画になっていて、もうちょっと踏み込んで話したいという人と話すのが、より求職者のニーズに沿った動き方だと思います。

求める人材像はシャープに絞るべし

―そのようにして人材と出会った後に、採用したい人材とうまくマッチングできている団体の特徴を教えて下さい。

一番重要なのは、求める人材像をシャープに絞ることです。団体さんから相談を受けるときには、団体は非常にハイスペックな人を希望する傾向があります。

例えば、「大企業でしっかり教育を受けていて、自分で稼げる。さらにクライアントコミュニケーションに安定感があってファシリテーションもできる」人材を希望される団体もありますが、このような人はなかなかいないですし、条件面でも採用は難しいです。

10年前よりは遥かに改善されているものの、NPOやソーシャルベンチャーの待遇は、スタートアップの段階は特に、まだまだ悪い場合も多いです。

「社会を変える仕事」の経験者はいない

「社会変革を目指す」ソーシャルセクターの仕事は、誰も経験したことのない仕事ともいえると思います。一般企業より採用難易度が高いのは、キャリアアップが基本思想の中途採用市場の中で、「経験者がいない」ということだと思います。スタートアップで育てる余力がない中では、自立的に動ける人に来てほしい、と思うのは最もです。でも、そもそも経験者なんてこの世にいないことを思うと、経歴・職種の親和性よりは、経験がない中でも学びながらコトを前に進める実行力のある方を採用する方が、いろんな団体さんを見ていても、結果的に戦力になっている団体が多いです。

そもそも経験者が存在しない場合は資質を見るしか無いですし、その業務ができる人はどのような資質を持っているか、要素分解して考える必要があります。

例えば、この業界には人の共感を得てファンドレイズするのがうまい方もいますが、そのような人が必ずしも前職でトップ営業パーソンだったわけではありません。その分野への情熱や信念があり、人を惹きつけ巻き込むことができるという特性は、営業経験が5年以上あれば身につく、というわけではないです。

要素分解するのはスキルだけでなく、求める人材像が持っている特性や人柄も考えてみてください。スキルであれば採用後に身につけられますが、特性や人柄を採用後に培うことは難しいでしょう。

ETIC.ではその人が持っている特性を見るために、必ず過去にさかのぼって話を聞くことにしています。挫折経験やチャレンジ経験の他、その人の生い立ちから部活動の経験までを聞くことで、その人の人柄を理解することでよりマッチングがうまくいくと考えています。

​ともに自立的な成長ができる人を仲間にする

必要な人材と出会うためには、求職者に求める絶対に外せない素養は何かを絞り込み、採用してからともに成長するという意識への転換です。まずは最低限できる人を成長を見越して採用するということです。求める点がきちんと絞れていれば、そんなにハイスペックな人を取る必要はないですよね。

「この力さえあれば、まずは一人前としてスタートできる」という一点に絞ること

―最後に、求める人材像をどのように絞り込むか、方法があれば教えて下さい。

以前担当したある団体の例では、求める条件を、ビジネスセクターの人と対話ができ、企業のニーズを会話の中から正しく把握できるという力に絞っています。

この場合、打ち合わせでビジネスセクターのニーズをしっかり把握できれば、その後の研修や運営等は社内の他の人に任せられますし、ノウハウは社内にあるので吸収して成長してもらうことができます。

「この力さえあれば、まずは一人前としてスタートできる」という一点に絞ることが重要です。

―なるほど。今日はありがとうございました!

- INFORMATION -


【2月13日(日)】締切
0からの事業創造と社会変革をはじめる超実践プログラム
Bari Challenge University × 774-nanashi-


ひとりひとり誰もが持つ「自らのリーダーシップ」を原点に、
確かなビジョンと実行力で、社会をより良くつくり、多様に変えていく
社会変革リーダーが次々に育まれることを目指し、生まれた新しいプログラムです。

強力な応援団、支援環境を活かしながら、2か月間にわたる
リアルとオンラインのハイブリッド型の実践で、
0からの事業創造と社会変革を始めることができます。
​​​​​​
▼参加パターンは大きく分けて3つ!
(1)アイデア持ち込み型
(2)アイデア発案型
(3)フォロワーシップ型

実施するアイデアに制限はありません。実績も不問です。
幅広くアイデアを持ち込み、この場でブラッシュアップしながら、
実践を開始することができます。
今はまだ名も無き、未来の社会変革リーダーを広く募集します。

▼プログラムの特徴
<ゴール>
様々な個性を持つ仲間と共にチームを設立。
2か月で、社会変革に繋がる商品・サービスを開発し、
15万円の売上をつくり、顧客や社会との対話を積み重ねながら、
次の時代を拓く社会変革シナリオを描き、提案する。

●実社会を舞台に、仲間と共に超実践
実践を通じて、世界を探索することが、前例にとらわれない10年後、
100年後の新たな時代の姿を描くことに繋がると信じています。
この場に集まる仲間と共に、あなたの挑戦をこの場から始めることができます。

●リアルとオンラインのハイブリッド型プログラム
野外でのキャンプ生活を取り入れた合宿からスタート。
その後、2か月間にわたるリアルとオンラインの
ハイブリッドで実践を進めていきます。
本業や学業と両立して参加することも十分可能なプログラムです。

●各分野の最前線で活躍するメンター陣
自らも社会を変えるべく、いまを拓き続けるメンター陣が、
社会変革のシナリオづくりを後押しします。
最終日は、2ヶ月間の試行錯誤や、その経験をもとに磨いた
社会変革シナリオをメンター陣にプレゼンテーション。

<メンター例>
青野慶久 氏(サイボウズ社長)
小泉泰郎 氏(株式会社FiNC 代表取締役副社長 CFO)
藻谷浩介 氏(里山資本主義 著者)
藤沢久美 氏(シンクタンク・ソフィアバンク代表)
鈴木寛 氏(東京大学教授、慶應義塾大学教授、前文部科学大臣補佐官、社会創発塾塾長)
岡田武史 氏(サッカー元日本代表監督、株式会社今治.夢スポーツ会長) 等

【締切】2022年2月13日(日)
【主催】NPO法人ETIC.、株式会社今治.夢スポーツ

▼プログラム詳細&エントリー方法はこちら

【2月4日(金)】オンライン無料開催
デジタルを活用した社会変革の可能性
〜PayPal Community Impact Grants Program オープンセミナー~


前号のメルマガでもお伝えしました、「デジタルを活用した社会変革の可能性​​​​​オープンセミナー

デジタル×ソーシャルの活用について、どんな事例があるのか?どんな考え方があるのか?知って、ワクワクするきっかけにご活用いただけたらと思い、企画させていただきました。

セミナー参加後、ご希望の団体には、デジタル活用の具体的アイデアを膨らませる、アイデアワークショッププログラムにご案内させていただきます。​​​​
(※定員あり。詳細についてはセミナーでご紹介させていただきます)

もやっとしていたデジタルのイメージを具体的なアイデアに落とし込むきっかけにしていただき、事業や支援のインパクトを広げるお手伝いができたら、嬉しいです!(NPO法人ETIC.林)


社会課題の解決に、デジタルをどこまで活用できていますか?

デジタルをソリューションに取り入れたくても、苦手意識があったり、どこから始めたらいいかわからないという人も多いのではないでしょうか。もしくは「デジタルの活用」と聞くと、システム導入による業務効率化等の
イメージが先行するかもしれません。

今回ETICでは、デジタルの可能性を最大限引き出し決済のイノベーションを牽引してきたペイパルと協働し、社会課題解決におけるデジタル活用の可能性を再発掘するためのオープンセミナーを開催します。

デジタルを単なるITによる効率化と捉えるのではなく、「デジタルを活用することでいかに新たな価値を創出できるのか?それにはどのようなパターンやアプローチが存在するのか?」といった、ソリューションそのものを進化させるためのヒントを得られる時間にできればと思います。

例えば、AIを活用すればアダプティブラーニングのように学習最適化に向けて人間より受益者に更に寄り添うことが可能になります。生体認証とブロックチェーンを掛け合わせれば、難民のような金融システムの対象になりえなかった人たちも包摂できるようになります。

ゲストには、社会課題解決におけるデジタル活用の専門家をお招きし、デジタルの捉え方や国内外の事例についてご紹介いただきます。デジタル化の潮流をキャッチし、自団体の活動をアップデートさせる機会に是非ご参加ください。

<参加対象条件>
民間非営利組織もしくはそれに準じる社会的企業または
行政機関(学校法人含む)で活動される方に限らせていただきます。
※参加対象条件に合わない方は、ご参加をお断りする場合がございます。
あらかじめご了承ください。

<こんな方におすすめ>
・困難な社会課題を解決したいけど、未だデジタルの可能性は探りきれていない
・推進中のアイディアにデジタルを掛け合わせてより昇華させたい
・デジタルを基にビジネスモデルを根本から見直してより持続可能にしていきたい、など

◆イベントお申込み・詳細は、Peatixサイトをご覧ください。
※本セミナーは、PayPal Community Impact Grantsの助成のもと実施されます。

Editor's Note - 編集後記 -


みなさま、こんにちは。ソーシャルイノベーション事業部の白鳥です『ETIC.ソーシャルイノベーションセンターNEWS』のインタビュー企画の第二弾として、採用をテーマにインタビューを担当しました。

普段採用に携わっていないので、コロナ禍をきっかけとした求職者の変化や、NPOにはNPOならではの採用のコツがある、というのが印象的でした。

今回のインタビューで関心を持たれた方は、ぜひDRIVEキャリアをのぞいて見てください。

このメールマガジンでは、今回のようなETIC.スタッフが持っているスキル・ノウハウの紹介をはじめとして、これからも読者の皆さまの参考になりそうな様々な企画に取り組んでいく予定です。​​​​​皆さまも、ETIC.スタッフに聞いてみたいことや知りたいことがありましたら、ぜひリクエストをお寄せください。

発行元:
NPO法人ETIC.ソーシャルイノベーション事業部
incu@etic.or.jp

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